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とんでもスキルで異世界放浪メシ  作者: 江口 連


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第四百二十九話 そ、それに手を出しちゃいますか……

本日、外伝コミック「スイの大冒険」7話がコミックガルドにて更新となっております。

よろしかったらどうぞ。

https://over-lap.co.jp/gardo/

 キシャール様がとりあえずいろいろと見せて欲しいとのことで、国産化粧品メーカーの有名処からメニューを開いて見せていった。

 そして時間をかけて一通り見終わると、キシャール様はうっとりとした声で『いろいろ勉強したつもりだったけど、まだまだいろんなものがあるのねぇ。眼福だわぁ』などとつぶやいていた。

 キシャール様に聞いたところによると、神様は神力というのを使って異世界を見ることができるのだという。

 それで日本のドラッグストアの美容製品売り場を覗いたり、そこでの女性たちの話に聞き耳を立てていろいろと美容製品について勉強したようだ。

 その女性たちの話で美容雑誌があることも知って、それを購入していった女性をピンポイントで追いかけて、女性が美容雑誌を見るときに便乗していろいろな美容雑誌をチェックしまくっていたらしい。

 美容雑誌はかなり勉強になったらしく『新製品もチェックできるし、特集で保湿ならこれとかたるみに効くならこれとか紹介してくれてるからすっごく参考になったわ』と力説していた。

 ただ『見ているとついつい欲しくなっちゃって欲しいもののリストが増えるばっかりなのが困るのよねぇ』なんて言っていたけど。

 そして、一通り見て満足したのかキシャール様がいよいよ購入品の選定に。

『新製品の美容液なのだけど美容雑誌で紹介されていてね、すっごく評判がいいみたいなの。肌馴染みの良いオイルが配合されていて肌にピンとハリが出て小じわを目立たせなくなるんですって。ステキよねぇ~』

 ウキウキとした声でキシャール様が指定したのはピンク色のボトルに入った新製品だという美容液だ。

『値段が手頃なのも魅力的なのよ』

 なんてことも言ってるから、美容製品の価格のリサーチもバッチリのようだ。

 俺のネットスーパーの価格が日本での価格を反映させたものだというのも、キシャール様はしっかりと把握済みということなんだろう。

『でも、このクリームも捨てがたいのよねぇ』

 これまた美容雑誌で紹介されていたらしいクリーム。

 製薬会社が出しているスキンケアのシリーズでドラッグストアでも購入できる優れもの。

 濃厚な使い心地で肌のたるみに効き目があり、肌のハリと弾力をアップさせる効果があるとか。

「両方とも購入したらいいじゃないですか」

 美容液が銀貨6枚に銅貨5枚でクリームが金貨1枚。

 高いけど金貨4枚の予算内で買えるものだ。

『そうなんだけど、他にも気になるものがいろいろとあるのよねぇ。それでも少なくなったのよ。ドラッグストアで手に入れられるものも限られてるし』

 そう言いながら、ホントはこれもこれもすごく気になってるし使ってみたいのだと海外メーカーの名前を出してくる。

 それも美容雑誌から仕入れた情報なんだろうね。

「でもそれっていわゆる“デパコス”ってやつですよね。さすがにそういうのはカウンターに行かないと買えないですよ」

 何で俺がそんなことを知ってるかというと、美容マニアな姉貴に誕生日プレゼントだと称していろいろと買わされたからだ。

 年に一度なんだからと高いクリームやらを要求されたのは今となってはいい思い出(?)だ。

『すっごく気になるんだけど、アナタの言うとおりドラッグストアじゃ取り扱ってないのよねぇ』

 本当に残念そうにキシャール様がそう言う。

 とは言ってもデパコスに相当するものも一部ドラッグストアで取り扱っているみたいだけども。

 特にこれ。

 キシャール様に気づかれないようにマツムラキヨミの画面のメニューにチラリと目を向ける。

 まさかマツムラキヨミでこれを取り扱ってるとは思わなかったよ。

 正直、これを見たときはビビった。

 俺も姉貴に買わされたことがある、化粧水1本でウン万円するブランドだ。

 ドラッグストアでは割引されて販売されているようだけど、それでも高い。

 実を言うと、ここのページはキシャール様には見せていない。

 だってフルラインで揃えようと思ったら金貨4枚じゃとても足りない代物だからな。

 とは言っても、勘の良いキシャール様だ。

 いつまで誤魔化せることやら。

 うう、キシャール様に気づかれないことを祈るばかりだ。

 その後はキシャール様が気になるという品を見せていくことに。

「これですか?」

『そう、それよ。説明書きを読んで』

「荒れがちな肌の表面をなめらかにするって書いてありますね」

『ふむふむ。時々荒れちゃうときがあるから、こういう美容液も揃えておきたいのよねぇ。でも予算は限られてるし、吟味しないとね。次よ次』

 そんな感じでキシャール様の気になる品の説明書きを確認のために次々読まされる。

 その途中に俺は気になっていたことをキシャール様に聞いてみた。

「そういやキシャール様は化粧品、ファンデーションとか口紅とかそういうのはいいんですか?」

 美容雑誌を見ているならこういうのも必ず載ってるはずだ。

 姉貴が月に何冊も美容雑誌を買ってたから知ってるんだ。

 その姉貴だけど、スキンケアはもちろんだけどそういう化粧品にもかなり金をかけていた。

 キシャール様曰く『興味がなくはないんだけどね、やっぱり素肌がキレイなのが1番かなと思ったの。それにそっちに手を出したらいくら予算があっても足りなくなりそうなんだもの。まぁ、口紅とマニキュアだけは欲しいからこのあとそっちを見せてもらうけどね』とのこと。

 特にマニキュアには興味津々でゆくゆくはいろんなデザインのセルフネイルを楽しんでみたいと嬉々として話していた。

 要は爪だろ爪。

 キラキラしたのつけたりなんか花とか描いちゃって確かにキレイだとは思うけど、料理するときとかに邪魔そうだし面倒そうだし、そもそも爪にそんなデザイン施して意味があるのかと俺なんかは思っちゃうんだけどね。

 そしてようやくキシャール様が気になっていたものを全部見終わった。

「それで、どれにしますか?」

『ウフフフフフフ、まだもう1つ気になるものがあるの。アナタは私が気付いてないと思ってるみたいだけど、ちゃあんと気付いてるのよ』

「え、何のことですか?」

『ST-Ⅲよ、ST-Ⅲ』

 ギクッ。

『というか、忘れたの? アナタが考えていることはすべて分かるんだから最初から秘密にしておくことなんて無理なのよ』

 そうだった……。

 神様は思考が読めるんだったわ……。

 でも、その場その場で神様に思考を読まれないために全然別なことを考えるなんて器用なことなかなかできないよ。

「そ、それに手を出しちゃいますか……。ハァ、分かりました。ST-Ⅲですね。言っときますけどめちゃくちゃ高いですからね」

 そう言いながら魔の領域である高級スキンケアの代名詞ST-Ⅲのページを開いていった。

『雑誌の情報で高いことは知っていたけど、実際に見ると尻込みするわね……』

 キシャール様のつぶやきだ。

 気持ちは十分に分かりますよ。

 実際買わされたこともありますから。

 化粧水の1番大きなサイズ230ミリリットルだったかな、それが定価で22000円+消費税。

 化粧水1本で22000円だよ。

 姉貴におねだりされて買いに行ったときは、瓶に入った化粧水だから落としたら割れると思って袋を持つ手に力が入りっぱなしだったぜ。

 マツムラキヨミでは少し割引されてるとは言え、見ると金貨2枚と銀貨1枚する。

 けっこうな値段がするのは間違いなく、この1本で予算の半分も使うことになるわけだ。

 キシャール様はどうするのかね。

 ウンウン唸りながら迷っているみたいだけど。

『よし、決めたわ! これにするわよ』

「ほ、本当にいいんですか?」

『ええ』

 キシャール様の返事を受けてST-Ⅲの化粧水をカートに入れる。

「あとはどうしますか?」

『同じST-Ⅲの乳液にするわ』

「本気ですか?」

 例によって姉貴に買わされたことがあるから知っているが、こちらも高い。

 80グラムで定価17000円+消費税だったかな。

 マツムラキヨミでは金貨1枚と銀貨6枚だ。

 化粧水と乳液の2品だけで金貨3枚と銀貨7枚、金貨4枚の予算のうちの大半を占めることになるけど……。

『ええ。本気よ。どの美容雑誌でも必ずST-Ⅲは出てくるのよね。しかも、すごく評価が高いし。それだけ効果があるってことだと思うの』

 確かにうちの姉貴も高いけど効果については絶賛してたからなぁ。

 俺にはまったく分からないけど、女性にとってはそれだけの価値があるということなんだろう。

 キシャール様の言うとおりに俺はST-Ⅲの乳液もカートに入れた。

 あとの残りはマニキュアと除光液をということで、ピンク系と赤系とベージュ系のマニキュア3本と除光液をお買い上げ。

 これで予算を使い切って終了となった。

 精算をしてこちらに現れた段ボールをそのままお供えすると……。

『キャーッ! やったわ! ずっと、ずーっと使ってみたかったST-Ⅲが手に入ったわぁ! ありがとう、本当にありがとう! また次もお願いね~』

 キシャール様は余程嬉しかったのかキャッキャッしながら去っていったよ。

「ハァ、ようやく終わった。次はデミウルゴス様だな」

 デミウルゴス様の場合は神様たちとは違って別枠というかね。

 完全にこっちのお任せだし、お供えに時間もかからないからさ。

 今回もこっちで適当に用意させていただきましたよ。

 ダンジョンでかなりのお宝を手に入れられたのもあって、お伝えしてあったとおりかなり奮発した。

 リカーショップタナカの日本酒のおすすめコーナーにあった有名酒蔵の純米大吟醸飲み比べ6本セットなるものと、日本酒コンテスト金賞受賞酒飲み比べ5本セット。

 それから梅酒もおすすめコーナーにあったセットを選んでみた。

 何でも梅酒好きにおすすめするセットで、完熟梅を使った梅酒と黒糖焼酎仕込みの梅酒、それから国産梅を100%使用し完熟梅の果肉をブレンドしたにごり梅酒の3本セット。

 それからウイスキーベースの梅酒を3本揃えた飲み比べセットだ。

 あとは、ギガントミノタウロスのすき焼きをご用意。

 すき焼きをお供に日本酒を楽しんでいただければなと思う。

 準備ができたところでデミウルゴス様に呼びかける。

「デミウルゴス様、こちらをどうぞお納めください」

『ふぉっふぉっふぉっ、すまんのう。おお、こりゃあぎょうさん用意してくれたんじゃなぁ』

「お話のあった20階層でたくさんのお宝を得られましたので」

『ありがとなぁ。しかし、今日のキシャールはダメダメじゃったな。彼奴が迷惑をかけてすまんかったのう。お主には迷惑をかけるなときつく言うておったのじゃが……。これはもう1度お灸をすえる必要があるかのう』

「いやいやいや、今回はしょうがないところもあるので」

 何せ今回はキシャール様が熱望していたドラッグストアがテナントに入ったのもあるからしょうがないよ。

 俺だってずっと欲しかったものが手に入るとなったら大人げもなくウキウキワクワクしちゃうもん。

 少なからず誰だってそうなっちゃうんじゃないかな。

 でも……。

「次回も長時間付き合わされるようならちょっと困りものですけど。そんなことになったら、その時こそお灸をすえてください」

『ふぉっふぉっふぉっ、そうか。お主がそう言うのならそうしようかのう。その時はたっぷりときつ~いお灸をすえてやることにしようかのう。ふぉっふぉっふぉっふぉっ』

「フフ、よろしくお願いします」

『ふぉふぉっ、お願いされたのじゃ。それじゃあ、またの~』

 さてと、終わったな。

 キシャール様も分かってはいるみたいだし、もしものときにもデミウルゴス様にお願いしたから今後のお供えは大丈夫だろう。

「大分時間経っちゃったし、もうみんな寝てるだろうなぁ。俺ももう寝ようっと」






高級スキンケアについてリサーチがてらいろいろ調べていたら15万円以上する美容クリームがあるのを見つけてしまいました。

誰が買うのやらと思いますが、買う方いるらしいです……。

しゅごい。

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― 新着の感想 ―
ここら辺のやり取り飽きられてるよ、どうせアニメ版やコミカライズではダイジェストか省略されるだけの話なんだから
化粧品会社の上層部に聞きましたが、数十万円のクリーム買う人いるらしいですね〜〜 結局のところ化粧品て保湿と現状維持しかできないので、 より良くするなら美容皮膚科の方が効果ありますよボソッ
んー、、、他の世界覗き見れるなら 事前にこれか欲しい、俺が欲しいとリスト作っとけよ駄女神たち…
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