第三百九十五話 ドラゴン肉祭り
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※前話にてフェルの話が念話なのか普通に話しているのかわかりにくいというご指摘がありましたが、フェルは声に出して話しています。わかりにくくてすみません(汗)
イサクさんから話を聞いたあと、この街で借りている家へと戻った俺たち一行。
フェルとドラちゃん、そして眠りから覚めたスイが早くもドラゴンの肉と騒いでいる。
『おい、約束のドラゴンの肉を食わせろ』
『そうだぞ。早く食わせろ』
『ドラゴンのお肉食べるの~』
「あーもう、はいはい。夕飯にはちょっと早いけど用意を始めるから」
待ちきれないのか、キッチンにまで付いてくるフェルとドラちゃんとスイ。
しょうがないので演出も兼ねて、フェルたちの前で分厚いドラゴンの肉のステーキを焼いていく。
地竜と赤竜どっちがいいって聞いたら、みんな即答で『どっちも!』だってさ。
既にドラゴンの肉を食わせるっていっちゃってるから、今更両方はダメとも言えず、みんなの希望通り両方の肉を用意した。
まずは赤竜の肉からだ。
天日塩とミルで挽いた香り高いブラックペッパーを振りかけたキレイな色の赤身肉を熱々のフライパンへ。
ジュゥゥゥッという肉の焼ける音が耳に心地よい。
それとともに立ち昇る肉の焼ける匂い。
目を爛々とさせるフェルとドラちゃん、そしてスイは興奮からかブルブルと小刻みに震えている。
『ま、まだか?』
『早く食わせろー』
『スイもお腹すいたの~』
フェル、ドラちゃん、スイの三方からせっつかれるが、こればかりはどうしようもない。
ちゃんとしないと美味しい肉は食えないのだよ、君たち。
「うーん、もうちょっと」
いつもの赤身肉の焼き方で、両面を焼いたらアルミホイルをかぶせて5分ほど寝かせる。
そうすることでミディアムレアのいい感じのステーキに仕上がる。
『お、おいっ、まだなのか?!』
「ああ、もうそろそろいいかもなーって、フェル、きちゃない。口が涎まみれだぞ……」
『う、うるさい! そんな美味そうな匂いを漂わせて我を待たせたお前のせいだぞ』
「あーはいはい、お待ちどおさま」
フェルたちの前にドラゴンステーキの載った皿を出した。
喜び勇んでドラゴンステーキにかぶりつくフェルとドラちゃんとスイ。
『むぅぅぅ、やはりドラゴンの肉は美味い!』
『うんうん、肉汁が口いっぱいに広がりやがる。やっぱりドラゴンの肉は肉の王様だな!』
『ドラゴンのお肉は美味しいねー!』
塩胡椒で焼いただけで極上の美味さなのがドラゴンの肉だもんな。
うん、やっぱ最高だわ。
ドラゴンの肉、もちろん俺もいただいております。
この美味い肉をフェルたちだけ味わうだなんてズルいからね。
俺もしっかり味わいますよ。
「しかし、ドラゴンの肉は美味いなぁ」
フェルとドラちゃんとスイは、塩胡椒のドラゴンステーキの後にお馴染みになりつつあるステーキ醤油で一通り地竜と赤竜のドラゴンステーキを楽しんだ。
だが、それだけではまだまだトリオの食欲は収まらない。
そんなみんなのためにもう一品。
俺が用意したのは……。
『お主が作っているそれは“カツ”というやつだな』
『油で揚げてサクっとしたやつだな』
『パンっていうのに挟んでも美味しいんだよねー』
「ハハ、いろんな肉でカツは作ったから分かっちゃったか。今日はこれを塩で食ってもらおうかなって思ってな」
『塩だけでか?』
「そう。せっかくのいい肉だし塩だけでも十分美味いと思うぞ。とにかく食ってみてよ」
みんなの前にサクッときつね色に揚がったドラゴンカツを置いた。
「まずは、この塩でどうぞ」
そう言ってネットスーパーで仕入れたベージュがかった塩を振りかけた。
俺がまず選んだ塩は、口当たりがまろやかで個人的にも気に入っている藻塩だ。
『むむっ、お前の言うとおり塩だけでもイケるな!』
『うむ。肉が良いものだけにその肉本来のうま味を味わうにはこれで十分かもしれん。なかなかどうして悪くないぞ』
『お塩だけでも美味しーねー! スイ、もっと食べるー!』
「それじゃあ次はこの塩で」
次に選んだのはほんのりと黄みがかったユズ塩だ。
ほのかにユズの香りが香る塩は、揚げ物にもピッタリだと思うんだ。
『む、これもいいな。何とも爽やかな香りがほのかに口の中に広がるぞ』
『油で揚げたカツにもピッタリ合うな、こりゃ』
『スイ、こっちの方が好きかも~』
パクパクと揚げたてのドラゴンカツを口に運ぶみんなを見ていたら、ついつい俺も食いたくなってきた。
スキを見て揚げたてのドラゴンカツをパクリ。
「アチッ……。けどサクっとして超美味い。やっぱユズ塩合うわ~」
うん、揚げ物にユズ塩はベストマッチだね。
『おい、もっと食うぞ。どんどんカツを揚げるのだ』
『そうだぜ。ドラゴンの肉は楽しみにしてたんだから、もっとたらふく食うからな!』
『スイだってドラゴンのお肉いーっぱい食べるもんねー!』
ステーキとカツで大分ドラゴンの肉を食ったはずのフェルとドラちゃんとスイなのだが、まだまだ食い足りないようだ。
「しょうがないなぁ。それじゃ、じゃんじゃん揚げていくからね」
このあとフェルとドラちゃんとスイは、言葉に違わずドラゴンの肉を食いまくった。
あまりにもフェルたちが食いまくるので、在庫管理をしている俺としては笑顔が引きつるほどだったよ。
ドラゴンの肉を制限なしでみんなのご褒美にするのはダメだね。
貴重なドラゴンの肉が大分目減りしちゃったよ。
トホホ……。




