第三百八十七話 あ~、もう少しゆっくりしたかったなぁ……
お知らせが遅くなりましたがコミックガルドにて「とんでもスキルで異世界放浪メシ」のコミック10話更新されております。
よろしかったら読んでみてください。↓
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ニコニコ静画でも5話が更新されておりますので読み逃してしまった方は是非どうぞ。
ランベルトさんへの納品はつつがなく終わった。
【神薬 毛髪パワー】を1000本納品したところ、ランベルトさんが歓喜していたよ。
これだけあれば少しは落ち着けるだろうってさ。
シャンプーやらもいつもの納品の倍を納品した。
これについては、在庫もあるから言ってもらえればまた納品しますと伝えてある。
受け取った代金については、うん、すごい金額になった。
小さい袋ではあるけど、何とも言えない光を放つ白金貨が袋いっぱいに入ってたよ。
ランベルトさんは【神薬 毛髪パワー】とシャンプーやらを携えて、近日中には王都に向かうらしい。
ちゃっかりというか、冒険者ギルドのギルドマスターとも渡りをつけて一緒に向かうそうだ。
ギルドマスターとお供の教官2人が一緒ならば護衛としては頼もしいだろう。
ランベルトさんのところが懇意にしている“フェニックス”にも護衛をお願いしてるようだし、王都へ向かう旅も心配ないのではと思う。
フェニックスにとってはお偉方が一緒だから気の抜けない旅になるかもしれないけどね。
そんなわけで、ランベルトさんとの取引を終えて家に帰る途中なわけだが……。
『おい、もうそろそろいいのではないか?』
隣を歩くフェルから念話が入る。
「もうそろそろって何が?」
通りを歩いているから、他の人が怪しまないよう俺も念話で話した。
『ダンジョンに決まっておろう』
『隣の国にあるっていう難関ダンジョンだな』
『うむ。この間のダンジョンは美味い肉が手に入ったのはいいが、歯応えがなかったからな』
クッ……、フェルもドラちゃんもやっぱり忘れてはくれなかったか。
『ダンジョン~』
ダンジョンと聞いてスイも鞄の中でモゾモゾと動いている。
『これで用も済んだのではないか? なら次はダンジョンだろう。難関と言われてるそうだからな、楽しみだぞ』
『だよなー。早くダンジョン行こうぜ!』
『スイもダンジョン行きたいー!』
難関ダンジョンだというのにフェルもドラちゃんもスイも行く気満々だ。
せっかく手に入れた自宅だし、俺としてはこの家でもう少しゆっくりしていたいのが正直な気持ちだ。
「い、いや、あのね、ほら、えーと……、そ、そう、この間冒険者ギルドに魔道具の買取をお願いしたのがあるからさ、すぐってわけにはね」
『む、あれなら5日後と言っていたぞ。あの日からだと……、あと3日だな』
チッ、フェルってばしっかり覚えてたのか。
「いや、ほら、いろいろと用意とかあるし」
『3日あれば出来るだろう。事が済み次第出発だ。いいな?』
「……はぃ」
フェルの強硬発言に嫌とは言えなかった。
不覚。
3日後にダンジョンに向けて出発することが決まって、ドラちゃんとスイは大喜びだったけどね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ダンジョン行きが決まり、しょうがないって言ってはあれだけど、せっせと旅の間の飯作りに時間を費やした。
これを怠るとフェルたちから何を言われるかわからんからね。
今回は隣国まで出向く長旅でもあるし、特に入念に準備をした。
その合間を縫って、家のみんなに日用品やらも支給した。
今回もこの間のローセンダール行きと同じ3か月の予定で、だいたい同じくらいの物を支給。
みんなからは「前回のも残っているから少なめで大丈夫」という話もあったんだけど、多いに越したことはないと思ってそのまま支給した。
家のみんなの食を預かるアイヤとテレーザに3か月分の食料(肉やら調味料)も渡したし、小麦粉やら裏の畑で採れない野菜やらを買う金も渡してある。
アイヤとテレーザからは「前の分も残ってるのに……」と呆然とされたけど、まぁこれも多いに越したことはないからね。
マジックバッグも預けているし、腐る心配はないからさ。
あとは、双子とバルテルの強い希望で酒も少し渡したら3人して小躍りしてた。
とりあえず「飲み過ぎるなよ」とは注意したけど、どうなることやら。
まぁ、ストッパーのタバサがいるから心配はないと思うけどね。
勉強会は当然そのまま続行してもらうようにした。
子どもたちとペーターがすごいヤル気だしね。
タバサもその面倒見の良さで先生としての評判もすこぶるいい。
子どもたちに聞いたら、分からないところは親身になって教えてくれるらしく、みんな「タバサ先生大好き」って言ってたな。
タバサが子どもたちから「タバサ先生」って言われてちょっと照れてたけど満更でもなさそうだったよ。
そんなことで、旅の準備もしたし家のことも心配ないだろう。
極端な話、家のみんなには報酬の前払いも済ませてあるから、もし何かあっても何とかなるだろうしね。
あと残っているのは、月一のお勤め。
昨日のうちにリクエストは聞いてあるから、あとはネットスーパーで調達するだけだ。
とは言っても、いつもと変わりないんだけどね。
ニンリル様は不三家のケーキって騒いでたな。
しかも『限定ものじゃぞ!』と念押ししてきたな。
ということで、早速不三家のメニューを開いた。
お、ちょうどひな祭りフェアをやってるな。
日本はそんな時期なのか。
そして目をつけたのは、お内裏様とお雛様のマジパンと黄桃やら白桃が載った豪華なショートケーキ。
それからお内裏様とお雛様が描かれたホワイトチョコのプレートが載ったチョコクリームたっぷりのチョコレートケーキ。
あとはイチゴのコンポートがたっぷり載ったイチゴのタルト。
もちろんすべてホールケーキだ。
そのほかは適当にカットケーキを10個くらいとお馴染みのどら焼きやスコッチケーキの詰め合わせなんかを用意した。
これだけあれば十分だろう。
十分なのか?
まぁそこのところはニンリル様に自重しながら1か月保たせてもらうしかないだろう。
しかし、大きなお世話だがこの間も身内の神様たちに太ったと言われていたんだけど体重は大丈夫だろうかね?
ま、まぁ、その辺も自己責任ということで。
次はキシャール様だが、当然美容製品だ。
ちょうど1か月で化粧水等のスキンケアラインが使い終わりそうだということで、洗顔フォーム・化粧水・クリームのスキンケア一式。
それから前にお渡しした美容成分がたっぷり入ったプレミアムな美容液がことのほか気に入ったということでこれをリピート購入。
あとは最近少しお肌のくすみが気になるというので、くすみの原因の毛穴の奥にたまった皮脂などの老廃物を取り去るのに効果的だという泥パックも購入。
これもちょっとお高めではあるが、泥を使ったパックなのにお肌にも優しいと評判みたいなので満足してもらえるのではと思う。
お次はアグニ様の分で、いつもと同じくビールだ。
アグニ様のためには地ビールセットと海外産地ビールセット、それからいつものS社のプレミアムなビールと同じくS社の黒いラベルのビールとYビスビールを箱で。
それからこの間お渡ししたホットドッグがいたく気に入ったようで、再びのリクエストがあったから急遽今日作ったよ。
あとは「適当にビールに合う食いものをくれ」って話だったから、旅の間の飯として多めに作ったビーフカツやらトンカツ、メンチカツ、から揚げなんかの揚げもの類を献上する予定だ。
ルカ様からはいつものようにアイスとケーキ。
どうもルカ様はいろんな種類が食べられるショートケーキがいいみたいなので、不三家でもショートケーキを中心に選んだ。
アイスに関しては不三家とネットスーパーでカップアイスを中心にいろんな味とメーカーのものをそろえてみた。
そのほかにルカ様からは鍋をリクエストされた。
鍋は俺たちを覗いていて食いたくなったんだってさ。
コカトリスのトマト鍋と白菜とダンジョン豚の重ね鍋をご所望だったから作ったよ。
フェルたちが「飯か?」って涎垂らしながらスタンバッてたのには困ったけど。
そして最後は酒好きコンビことヘファイストス様とヴァハグン様の分。
ご所望はもちろんウイスキー。
なんか、もうウイスキーなしでは生きていけないとかなんとか騒いでたよ。
いつもの世界一のウイスキーを1本ずつは変わりなく、あとはお任せということだった。
もちろん今回も“リカーショップタナカ”頼み。
“リカーショップタナカ”でいろいろ見ていると、ランキングで絞り込みが可能なことを発見した。
試しにウイスキーのランキングの中でスコッチウイスキーで絞り込んでみると、スコッチウイスキーが画面に並んだ。
いくつかは見覚えがあるので購入して既にお渡ししているが、まだまだ未購入のもの多い。
今回はこの中から人気が高い順に選んでみた。
まず選んだのが、海藻やコケが多く含まれるピートを使っていることで個性的な香り、消毒剤や正〇丸みたいな香りだと言われてるようでとても美味そうな酒には思えないけど根強いファンがいるらしく人気のウイスキー。
次がアメリカでスコッチといえばこれというくらいで、アメリカでのシェアがナンバー1のウイスキーでハイボールにすると美味いとあった。
お次が本場スコットランドで1番売れている銘柄で国際的なコンクールでも金メダルを受賞しているウイスキーで、ストレートかロックで飲むのがおすすめだそう。
次はチョコレートやビスケットを想わせる余韻のウイスキーで、ちょっとお高めながら箱入りで贈答品としても人気とか。
お次は3匹の猿のモチーフが特徴的なボトルの3つの蒸留所で造られたシングルモルトウイスキーをブレンドしたトリプルモルトウイスキーで、ウイスキーが苦手な人にも飲みやすいという。
この上位5本のウイスキーのほか、画面を見ながらいくつか選んでいった。
ついでと言ってはあれだけど、デミウルゴス様のお供えももうそろそろだったので一緒に選んでしまった。
もちろん日本酒。
今回は九州の日本酒の3本セットにしてみた。
それと九州ということで、芋焼酎なんてどうかと思って2本ほど選んでみた。
1本は、黒麹仕込みで旨味の強い味わいとスッキリとした後味かつ手に入りやすいことから芋焼酎ファンからの支持も熱いという芋焼酎。
もう1本は、三国志に登場する名馬が名前の由来だという芋焼酎で、重厚でしっかりした味わいが魅力だという芋焼酎だ。
あとはいつものプレミアムな缶つまセット。
芋焼酎をちびちびやりながら缶つまをつつく……、いいかも。
って、それはいいとして、神様ごとにまとめた段ボールも到着している。
あとは今夜お渡しすれば完了だな。
明日は冒険者ギルドで魔道具の買取代金を受け取ったあと、そのまま隣国のダンジョンへ向けて出発だ。
あ~、もう少しゆっくりしたかったなぁ……。
 




