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第三百六十八話 マイホームへ帰ろう

短いです。

 ローセンダールの街を出る前に商人ギルドに寄って、借りていた屋敷の鍵の返却と家賃の清算をした。

 そして、冒険者ギルドにも寄ってギルドマスターのジャンニーノさんに挨拶をするとずいぶんと感謝されたよ。

 依頼ではあったけど、ダンジョン豚とダンジョン牛の上位種の肉をけっこうな量を買取に出したからな。

 俺たちもそれ以上の大量の美味い肉を確保できたから万々歳だけど。

 それから街の門へ向かうと、そこには……。

「兄ちゃん、遅いぞ!」

 肉ダンジョンの1階で知り合いになったルイスとそのパーティーのメンバーやうちに手伝いに来てくれた孤児院の子どもたち、そして俺を師匠と呼ぶ料理人コンビのメイナードとエンゾが見送りに来てくれていた。

「何だ、お前たち来てくれたのか」

「まぁ、兄ちゃんには世話になったからな」

「師匠をお見送りするのは弟子として当然です」

「そうそう」

 何かこそばゆいような気持ちではあるけど、嬉しいもんだな。

「兄ちゃん、またこの街に来てくれるんだろ?」

「ああ、もちろんだ。また来年の肉ダンジョン祭りに合わせて来るつもりだよ」

「そうか。兄ちゃんにはいい武器作ってもらったし、来年また会うときまでにはもっともっと強くなってるぜ!」

「ああ。今よりもっと魔物を倒して、もっと肉を手に入れられるようになるぞ!」

「おう!」

 冒険者組のルイスはじめパーティーメンバーは気持ちも新たにやる気満々だ。

「勢いがあるのはいいけど、まぁ、ケガだけはしないように気をつけろよ」

「もちろんさ! その辺は俺たちも考えてるよ」

「そうだぞ。連携の練習もしてるしな。な、みんな」

「「「「ああ」」」」

「そうか。みんながんばれよ。そうだ、次にこの街に来たときには、みんなが狩った獲物の肉で料理作ってやるよ」

 そう言うとみんな「ヤッター」と歓声を上げていた。

「師匠、俺たちも師匠から受け継いだレシピを大切にしてがんばります」

「院長先生から聞きました。師匠のおかげで屋台もあと少しで完成するんですよ」

「おお、それは良かったな」

 メイナードとエンゾの屋台も目処がついたんだな。

 本当に良かった。

「すべて師匠のおかげです」

「本当にありがとうございます」

「ま、あとはお前たちの努力次第だ。がんばれよ」

「「はいっ」」

「次にお会いするまでに、教えていただいたレシピをより美味しいものにしておきます!」

「そうだな。そして師匠に食べてもらって絶対唸らせてみせますからね!」

「ハハハ、その意気だ。楽しみにしてるからな!」

 子どもたちが俺を見ていた。

「それじゃ、みんなまたな!」

「兄ちゃん、絶対来年も来いよ!」

「師匠、待ってますからね!」

「絶対ですよ!」

「ああ。絶対また来るよ!」

 名残惜しいけど、カレーリナに向けて出発だ。

『じゃ、フェル、ドラちゃん、行くか』

『うむ』

『ああ』

 俺はフェルとドラちゃんを傍らに門の外へと歩を進めた。

 スイはいつものように革鞄の中だ。

 ルイス、メイナード、エンゾ、そして孤児院の子どもたちも俺に向かって手を振っていた。

 俺も後ろを振り返りつつ手を振る。

「ローセンダールの街、いい街だったな」

『うむ。美味いものにあふれたいい街だった』

『楽しかったな』

 でも、やっぱり落ちつくのはカレーリナの街かな。

「カレーリナに帰ろう」

『うむ。早く帰ろう。そうしたら次こそは難関のダンジョンだ』

 げっ……、フェルってば覚えてたんだ。

『お、いいな! 隣国にあるっていうダンジョンだろ? 面白そうだぜ』

 ドラちゃんも覚えてるんだ。

『ダンジョン~?』

 わわ、ダンジョンって聞いてスイまで起き出して来た。

「いや、そのな、それはカレーリナに帰ってからだ。な」

『そう言ってまた先延ばしにする気だろう』

 ギクッ。

『ああん、そうなのかぁ?』

「い、いや、そんなことは……」

 バレてるやん。

 どうしよう先延ばしに出来ないよ、これ。

『本当ならこのまま隣国へ行ってもいいくらいだが、それだとお主が嫌がるだろう』

「そ、そりゃ、そうだよ。家で待ってるみんなには長くても3か月で戻るって言ってあるんだから」

『だから戻ってやると言っておるのだ。しかし、その後は分かっているな? ん?』

 エェェ……、これ行かないって選択肢はないじゃないか。

「……分かりました。隣国のエルマン王国にあるダンジョンに行きます」

『フン、分かればいい』

『ヤッホー、難関ダンジョンだぜー! 腕が鳴るなぁ』

『ダンジョン行くのぉ? ヤッター!』

『そうと決まればさっさと帰るぞ。乗れ』

 しょうがないな、分かりましたよ。

 フェルの背へ乗り込むと、すぐさまフェルが駆け出した。

「うぉぉっ、早過ぎるって! もうちょっと速度落として!」

『お主は何度我の背に乗っているのだ? いい加減慣れろ!』

「俺だって少しは慣れたと思ってたよ! でも、これは速過ぎるってば! この速さは慣れろって言われて慣れるもんじゃないだろうがぁ!」

『フンッ、お主は黙って捕まっておれ。速度を上げるぞ!』

「いやいや、さらに速度をあげるって、止めて! ちょっと待てっ! 死ぬってば! わわわ、わぁぁぁぁぁぁぁっ……」






これにて肉ダンジョン編終了です。

少しお休み(2週間程度と考えています)をいただいてから閑話を挟み本編更新再開の予定です。

よろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
肉ダンジョン編とても好きなお話です。 ふと疑問に思ったことがひとつ。 (ダンジョン・ダンジョンコア側から見た)肉ダンジョンの収支どうなってるんだろうか。 死者がほとんど出ないはずで肉ドロップ大量だから…
[一言] みんな、最後はお見送りしてくれて、嬉しいですね。 相変わらず従魔達は、主の言うことを聞かないですね。 ごねれば折れるから、調子に乗るんですよ。 従魔達にも、ムコーダさんの有り難みを知って猛省…
[一言] そういえば再訪の約束は履行されるのでしょうか?
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