第三百二十話 神薬 毛髪パワー
『とんでもスキルで異世界放浪メシ2 羽根つき餃子×幻の竜』ですが、1巻に続いてテレビCMが放送されます!
再びの実写ですw
TOKYO MX他で好評放送中のテレビアニメ「BanG Dream!(バンドリ!)」の3月25日放送回から開始です。
よろしかったらご覧になってみてください。
フェルたちを連れて冒険者ギルドに入ると、まるで待っていたかのようにすぐにギルドマスターが姿を現した。
「よく来たな! それで、例のものは持ってきたんだろうな」
「持ってきましたけど、それより肉の引取りと買取り代金の受け取りを先に……」
「そんなのは後だ後っ。よし、儂の部屋に行くぞ」
問答無用でギルドマスターの部屋へと連れて行かれた。
気になるのは分かるけど、ギルドマスター、先走ってんなぁ。
テーブルを挟んで向かい合って座るギルドマスターと俺。
期待の込もった目でギルドマスターが俺を見ている。
「よし、例のものを見せてくれ。儂が責任を持って試す」
俺は、昨日の夜にネットスーパーで選んだ育毛剤をアイテムボックスから取り出した。
プラスチックの容器のまま出すわけにはいかないから、瓶へと移し換えたものだ。
「こ、これか……」
ギルドマスターが育毛剤の入った瓶に釘付けだ。
驚くことにネットスーパーでも育毛剤は数種類売っていた。
薬局で売っているような医薬品ではないものの、数種類そろえているということはそれだけ需要があるということなんだろう。
それだけ気にしている人が多いってことだろうね。
その中で俺が選んだのは、金色と黒のグラデーションの箱がいかにも効きそうな感じの発毛促進+脱毛抑制作用が売りの育毛剤だ。
説明では、毛根細胞内のタンパク質に作用して発毛促進・脱毛抑制するとのことだ。
「それとですね、これを一緒に使うとさらに効果が期待できるんです」
育毛剤のあとに取り出したのは、同じシリーズのシャンプーだ。
もちろんこれも瓶に詰め替えしたもの。
このシャンプーを使うことによって、頭皮の余分な皮脂の汚れを取りのぞき育毛剤の浸透を助けるそう。
同じシリーズのシャンプーと育毛剤をともに使うことで、より効果が発揮されるというのだ。
昨日の夜「なるほどねぇ」なんて思いながらこの育毛剤とシャンプーを選んだわけだけど、それがね……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「同じシリーズのシャンプーと育毛剤をWで使うと効果的ってわけか。ふむふむ、これいいかも。そうは言っても、こういうものって、そんなすぐ効果出るもんじゃないし」
そりゃ効果がすぐに出た方がいいに決まってるけど、こういうものは使い続けることによって初めて効果が実感できるんだと思うんだ。
まぁ、ネットスーパーのものだから、効果は高くはなっているとは思うけど……。
それでも、伯爵様へのお土産だし、すぐに効果が出ることに越したことはないよな。
何か方法がないかと俺もいろいろと考えてみた。
「即効性、薬、液体……、ネットスーパーで買った別の育毛剤を混ぜてみる? いや、違うな。それぞれの会社が独自の成分で作ってるんだから、それを混ぜたら逆によくなさそうな気がする。そうなると、ネットスーパーのもので混ぜられそうなもんが思いつかないんだけど……。ネットスーパーじゃなく、こっちのもんならどうだろ? こっちのもんで液体で薬っつったらポーションか。ポーションか、ポーションねぇ…………あっ、エリクサー!」
そして思いついたのが、スイ特製エリクサーだ。
これをネットスーパーの育毛剤に混ぜてみることにした。
だって、スイ特製エリクサーは寿命こそ延びないけど万病に効く薬なんだぜ。
それを混ぜたらすんごく効きそうじゃね?
そんな安易な気持ちだった。
それで俺は試しに瓶に移し替えた育毛剤に、スイ特製エリクサーをポチョンと1滴入れてみたんだ。
そうしたら、瓶が一瞬白く光って……。
無色透明だった育毛剤が透明な薄いピンク色の液体に変化していた。
「うおっ、い、色が変わった」
とにかく鑑定だと思って鑑定してみた。
そうしたら…………。
【 神薬 毛髪パワー 】
異世界の育毛剤にスイ特製エリクサー(劣化版)を混合することによって生まれた神薬。育毛・発毛に抜群の効果をもたらす。薄毛・抜け毛の特効薬。あきらめていたあなたも、この薬があれば若かりし日のあの頃の髪へ。
「ブフォッ……」
思わず噴いた。
「し、神薬って…………。育毛・発毛に抜群の効果をもたらす? 薄毛・抜け毛の特効薬?」
な、なんか、スゴイのができた…………。
それと鑑定の最後の“あきらめていたあなたも……”って件、何なのさ?
わけわかんねぇ~。
「ま、まぁ、とにかく悪い影響を及ぼすような薬ではなさそうだけど。とにかくだ、効果だけは実際に確かめてみないと何とも言えんな」
明日、これをギルドマスターに渡して効果のほどを確かめさせてもらうとしよう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ということで、今ここにあるのは昨日できたばかりの【神薬 毛髪パワー】だ。
鑑定からいうと効くのは間違いなさそうなんだけど、どうなるものか……。
「これと、これだな。して、どう使うのだ?」
俺は、ギルドマスターに使い方を説明した。
「これは、シャンプーというものです。夜、これで髪の毛を洗ってください。これで洗ってからこちらをつけた方が浸透がよくなってより効果が発揮されますので」
「うむ。これで洗ってからだな」
「髪を洗ったあとは、水気をよく拭いて、こちらの育毛剤を少量ずつ手にとって頭皮全体に揉み込むようにマッサージしながらつけていきます」
「これで揉み込むようにだな」
ギルドマスターが【神薬 毛髪パワー】の入った瓶を熱心に見つめている。
「あ、量は少量ずつですからね。たくさんつけても、効果が上がるわけじゃないですから」
多分。
「早速今晩から使わせてもらう」
そう言ってギルドマスターが、シャンプーと育毛剤の入った瓶を大切そうに机の中にしまった。
「それじゃ、下で肉の引取りと買取り代金の受け取りをして帰りますんで」
「ああ」
気の抜けた、心ここにあらずといった感じのギルドマスターの返事。
シャンプーと育毛剤が気になるのは分かるけど、大丈夫か?
そんな心ここにあらずなギルドマスターを1人残し、俺はそっと部屋を出た。
1階に降りると勝手知ったるで、倉庫まで向かい、ヨハンのおっさんに声をかけた。
「すみません、肉引き取りに来ました」
「おー、兄さんか。準備できてるよ」
ワイバーン、ワイルドバイソン、ゴールデンシープ、ジャイアントホーンボア、ロックバード、ブルーブル、ジャイアントターキー、そしてキマイラの肉を受け取った。
うーん、大量。
これでしばらくは食いっぱぐれることはないかな。
それから肉以外の素材の買取代金だ。
内訳を説明してもらって、合計が……。
「〆て金貨7685枚だ」
おお、そんなになったのか。
ちょっとビックリだ。
「兄さんとの取引はいつもデカいが、今回はワイバーンがいて、さらにキマイラもいたからな」
驚いている俺を見て、ヨハンのおっさんがそう言った。
そういや、内訳でもキマイラの素材はけっこうな額になってたもんな。
毛皮、牙、爪、毒袋、そのほか内臓も素材になるらしく買取対象になっていた。
「今回は額が額だから、白金貨と金貨の支払いにさせてもらったぞ。金貨7685枚で、白金貨76枚と金貨85枚だ。確認してくれ」
白金貨と金貨の入った小さめの麻袋を渡された。
中の白金貨と金貨枚数を確認する。
「はい、あります」
「また珍しいの持って来いよ!」
「フェルたちの狩り次第ですけど、なんかあればまた買取お願いします」
大量の肉と買取代金を受け取り、俺たちは冒険者ギルドを後にした。
育毛剤にスイ特製エリクサーをというご意見を見て、なるほどありかもと思い入れてみましたw
ただ今のムコーダ所持金額
推定金貨81,887枚




