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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連
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第三十一話 いつの間にか従魔が増えた

今日は31話、32話更新です。
 「ストーンバレットッ」
 小さい石の礫(ストーンバレット)が1個だけヒュンっと飛んでいき20メートルくらい先で失速しポトリと落ちた。
 …………ガックリ。
 俺は今、土魔法の練習をしているのだがなかなか上手くいかない。
 火魔法はファイヤーボールもそこそこ撃てるようになったから、他の魔法でができないかとやってみた。
 水魔法と言えばこれかなと「ウォーターボ―ル」と唱えてみるが何の反応もなかった。
 次に風魔法と言えばこれかなと「ウィンドカッター」と唱えてみるが、これも何の反応もなし。
 最後に土魔法と言えばこれかなと「ストーンバレット」と唱えてみると、小さなそれこそ砂かと思うような石が突き出した手の平の上にあった。
 土魔法の適性があったと喜んでいたら、一連を見ていたフェルに『フスンッ』とまた鼻で笑われた。
 クソ―っと思って、ここのところ土魔法の練習に力を入れているのだが、これがまた上手くいかない。
 何でだかわからんけどさ。
 魔力を体に巡らせることは上手くいっていると思うんだけどなぁ。
 試しにファイヤーボ―ルを撃ってみると上手くいった。
 何でストーンバレットは上手くいかんのか……。
 ショボいけど発動はしてるみたいだから、何度も繰り返し練習するしかないか。
 『お主は覚えが悪いな』
 ぐぬぬ、みんながみんなお前みたいなチートだと思うなよ。
 『また実戦してみたらどうなのだ? 前もそれで火魔法が上手く出来るようになったではないか』
 フェルのその一言でゴブリンの集団を思い出した。
 悪夢だ悪夢、ブルル。
 「冗談言うな。またあんなのなんてゴメンだ」
 確かにファイヤーボール出来るようにはなったけど、ゴブリンの集団の中に一人置いてかれた恐怖は相当なもんだったんだからな。
 『だが、いつまでたっても土魔法ができぬではないか』
 ハァ、だから天才肌のヤツは嫌なんだよ。
 何事もやってすぐに出来るようになるなら誰も苦労しないって。
 俺みたいな凡人は、とにかく練習あるのみだな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 夕食も済んでもうそろそろ寝ようかと俺とフェルの寝床を用意していると、いつの間にかそれが足元にいた。
 「うおっ」
 ぷるぷるとした半透明のサッカーボール大の物体がゆっくり動いていた。
 「……これって、スライムか?」
 『そうだな』
 「え、フェル、結界張ってるんだよな?」
 『もちろん張っている。結界を張ったときに既にいたのかもしれん』
 「結界張ってるのに魔物がいるって結界の意味なくないか?」
 『フンッ、そのような雑魚にもならん矮小(わいしょう)なものにそれほど恐れる必要があるのか? お主は本当に気弱なのだな』
 どうせ俺はへタレですよ。
 それにしても、雑魚にもならん矮小なものってスライムってそんなに危険じゃないのか?
 「スライムって攻撃してこないのか?」
 『上位種なら攻撃してくることもあるが、その程度のスライムはただ捕食するのみだ。それにその大きさからみるに、まだ生まれて間もないスライムだろう』
 なるほど、スライムって言えば雑魚魔物扱いだったけど、この世界でもスライムは最底辺の魔物なんだな。
 攻撃はしてこないのか。
 俺は興味から足元にいたスライムを指で突いてみた。
 プルプル。
 少しひんやりしたそれがプルプル震えるさまはゼリーみたいだ。
 それが面白くて指でツンツンしてたら、スライムが恐る恐るという感じで俺の指を触手でツンツンしだした。
 なんか、かわいいかも。
 それにしても随分と人懐っこいスライムだな。
 「なぁフェル、スライムってこんなに人懐っこいもんなのか?」
 『それは生まれて間もないスライムだからだろう。普通は人でも魔物でも同族以外の姿を見たら隠れるか逃げるかする』
 なるほど。
 生まれて間もないスライムか、ステータスはどうなってるんだ?
 足元の人懐っこいスライムを鑑定してみた。


 【 名 前 】 -----
 【 年 齢 】 3日
 【 種 族 】 ベビースライム
 【 レベル 】 1
 【 体 力 】 2
 【 魔 力 】 1
 【 攻撃力 】 1
 【 防御力 】 2
 【 俊敏性 】 2
 【 スキル 】 -----


 …………弱っ。
 年齢3日って本当に生まれて間もないんだな。
 種族もベビースライムになってるし。
 これからだんだん成長してベビースライムからスライムになってって感じで進化していくんだろうな、きっと。
 でも、今のベビースライムのままじゃ弱過ぎてすぐに他の魔物にやられそうだ。
 こいつ人懐っこくてけっこうかわいいのに……。
 せめて餌だけでもあげときたいな。
 スライムってとにかく何でも食うみたいな感じで描かれるけど、本当にそうなんかな?
 「なぁスライムって何でも食うのか?」
 『そこら辺の小石でも食うぞ』
 小石でも食うのか、まさに何でもありの雑食だな。
 それなら、あれもいけるか?
 そう思って俺はアイテムボックスの中に溜め込んでいたものを取り出した。
 ネットスーパーで買ったいろんなものから出たゴミだ。
 ダンボールはフェルと俺の布団の下に敷くから活用しているのだが、それ以外のゴミがね……。
 野菜が入っていたビニール袋やらインスタントスープの箱、調味料が入っていたビン、空き缶やペットボトル諸々けっこう溜まっていたのだ。
 試しに空き缶をスライムの前に置くと「いいの?」という感じで触手でツンツン突いた後に体内に取り込んでいった。
 半透明のスライムの体内に取り込まれた空き缶はあっという間に消化されていった。
 「おお、すごいなっ」
 スライムがもっとという感じに俺の足に触手を巻きつけてくる。
 「もっとか、ちょっと待ってろ」
 俺は溜まっていたゴミをどんどんスライムの前に置いた。
 スライムはゴミをどんどん体内に取り込んで消化していく。
 「おおーすっからかんだ。溜まってたゴミがきれいになくなったぜ」
 スライムは溜まっていた異世界のゴミを全部食ってしまった。
 正直言うと異世界のゴミの処理には困ってたんだよな。
 そこら辺に捨てていくわけにもいかないから、今までアイテムボックスの奥に放置してたんだ。
 それを考えるとこのスライムいい仕事するな。
 「おまえ、すごいな」
 そう言うとスライムが、スーパーボールみたいにポンポン跳ね始めた。
 「ん?お前俺の言うこと分かるのか?」
 ポンポン跳んでいたスライムが俺の胸に飛び込んできた。
 「うおっと」
 腕で支えながらスライムを抱きとめると、スライムが満足そうにプルプル震えた。
 「お前、スライムなのにホント人懐っこいなぁ」
 そう言いながらスライムを撫でてやった。
 『おい、そいつ、お主の従魔になっているぞ』
 「…………へ?」
 『そのスライムがお主の従魔になったと言っているのだ』
 「え?だって従魔契約なんて結んでないぞ」
 『そのスライムがお主の従魔になってもいいと考え、お主がそれを受け入れれば契約は成立する』
 「へ、そ、そんな受け入れてなんてないぞ」
 『お主が何と言おうと既に契約は成立している。ステータスを確認してみたらいい』
 フェルにそう言われて自分のステータスを確認してみると……。


 【 名 前 】 ムコーダ(ツヨシ・ムコウダ)
 【 年 齢 】 27
 【 職 業 】 巻き込まれた異世界人
 【 レベル 】 3
 【 体 力 】 110
 【 魔 力 】 110
 【 攻撃力 】 83
 【 防御力 】 82
 【 俊敏性 】 78
 【 スキル 】 鑑定  アイテムボックス 火魔法
         従魔
        《契約魔獣》 フェンリル ベビースライム
 【固有スキル】 ネットスーパー


 うぇっ?
 いつの間にか契約魔獣にベビースライムが増えてるっ。
これでゴミ問題解決です。
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