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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連
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第二百二十八話 神の作りしもの

 あとは、あのことを聞かないと。
「すみません、みなさんにちょっと聞きたいことがあるんですけど」
 …………
 あれ?反応ないんだけど。
「あのー、ちょっと聞きたいことがあるんです」
 …………
 えー?品物もらったらさっさと消えちゃったわけ?
 そりゃあないでしょうよ。
「ちょっと、みなさん!」
『おぅ、すまんすまん。来た酒に夢中になってたぞい』
『ああ、俺もだ』
 って、反応してくれたのヘファイストス様とヴァハグン様だけ?
 女神様たちは?
『彼奴らなら、お主から送られてきた品を抱えてさっさと自分の宮に帰ったぞ』
 …………おいぃぃぃ。
『聞きたいこととはなんじゃ?』
 あの駄女神様たちのことはいったん忘れて、ヘファイストス様とヴァハグン様に聞こう。
「あ、これからエイヴリングのダンジョンに行くのは知ってらっしゃいますよね? それで、そのエイヴリングのダンジョンのことについて聞ければなと思いまして」
『おお、そういうことか。それならお主の方が詳しいだろう、戦神の』
『ああ。エイヴリングのダンジョンはな……』
 ヴァハグン様の話では、エイヴリングのダンジョンは現在27階層あるそうだ。
 話を聞いていくと、ドランと違ってフィールド型の階層はなく、四方を石壁で囲まれた古典的なダンジョンのようだ。
 200年近く前に1度踏破されているそうなのだが、それ以降は(かんば)しくないらしい。
『ドランのダンジョンよりは難易度が若干低いし、ドロップ品やら宝箱から出るマジックアイテムも良い物が多いんだが、あそこはあれの階層がやたら多いからなぁ』
 何ですか、その意味深なあれの階層って。
『ああ、あれか。あれを相手にするのは骨が折れそうじゃのう』
 だから、あれって何なのさ。
『あれってのはな、アンデッドだ。エイヴリングのダンジョンはな、最下層までに確かアンデッド階層が3層くらいあるんだ』
 げっ…………アンデッドかよ。
『アンデッドには物理攻撃は効かねぇし、魔法なら高火力の火魔法か、聖魔法しか効かねぇんだよ』
 えーっ、そんなのどうすんだよ。
 聖魔法ってのは、確かフェルでも持ってなかったはずだ。
 神聖魔法ってのはあったけど、別だろうな。
『ああ、別もんだ。聖魔法ってのはな、持って生まれた才能頼みで聖女って呼ばれる者か異世界から来た勇者かあとは聖騎士くらいしか持ってないぞ。聖魔法が使えるこいつ等はアンデッドに対しては無敵だ』
 そ、そうなのか。
 なら俺たちの場合は、高火力の火魔法で対抗するしかないのか?
『バーカ、そんな高火力の火魔法をダンジョンの通路で使ってみろ、自分も火だるまになるぞ』
 グッ、確かに。
『そこで人間たちがとってる方法がな、教会で聖印と呼ばれる印を武器に付与してもらう方法だ。聖印のついた武器で攻撃されたアンデッドは消滅する』
 おおっ、聖印か。
 エイヴリングに着いたら早速教会に行かなくっちゃ。
『まぁ待て。その聖印にもいろいろ問題があるんだ。まず1つは、聖印を付与した武器でアンデッドに対して10回程度攻撃すると効果が切れる。もう1つが聖印を付与してもらうのにけっこう金がかかるってことだな。教会の奴等はここぞとばかりに高い値段設定してるみたいだからな』
 えー何それ。
 だから宗教は嫌いなんだよ。
「その教会ってどなたの信徒がやってるとこなんです?」
『俺等の信徒じゃねぇよ。人間が勝手に作ったルバノフ教ってやつの教会だ。ルバノフ教の神聖な力がーとかなんとか謳い文句にしてるが、実は聖印も何百年か前にダンジョンから持ち帰ったもんなんだぜ。な、鍛冶神の』
『うむ。あれは確か今でいうマルベール王国のダンジョンにあったもんじゃな。実物はルバノフ教の総本山に置いてあって、エイヴリングにあるのは複製じゃな。だから中途半端な効果しかないんじゃ』
 なるほどねぇ。
 ルバノフ教って確かルバノフ神聖王国とかいう人族至上主義の国で信じられている宗教じゃなかったっけ?
 ルバノフ教を信じない者は滅びる運命だって言って、自分たち独自の神を信じている獣人とかエルフとかドワーフとかは邪教徒だって言って迫害してるって聞いてる。
 何でそんな宗教が、差別のない比較的自由なこの国に入ってきてるんだ?
『自由だからこそだ。ルバノフ教は信徒を増やす目的でお前のいるレオンハルト王国くんだりまで来てんだよ』
 まぁ、そうなんだろうけど、あからさまに教義がこの国じゃ受け入れられないもんだろ。
 いろんな人種が自由に暮らすこの国で人族至上主義を唱えてもねぇ。
『この国の民も馬鹿じゃない。あんなエセ宗教の信徒になるようやヤツは少ないわい。民が一番必要だろう回復魔法の使い手なら儂らの信徒がやってる神殿にそれなりにいるからのう』
『ああ。あの教会を利用するのは聖印を付与してもらう冒険者くらいなもんだぜ。それも金払っての関係だけだからな』
 ルバノフ教なんて馬鹿げた宗教の信徒が増えてなくって良かったよ。
 でも、いろいろ話し聞いたらエイヴリングに行っても教会にいくのは遠慮したいね。
 そのルバノフ教とちょっとでも関わりになること自体嫌だ。
『分かってるって。お前がそんなとこ行く必要はない。俺たちが付いてるんだからな』
 おお、ただの酒好きの印象しかなくて忘れがちだけどこの2人も神様なんだよね。
『お主のう……。で、戦神の何をするつもりなんじゃ?』
『ここは聖魔法のスキルをこいつに付けてやりゃ万事解決だろ』
『いや、それはダメじゃろ。それをしたらいくらなんでも創造神様にバレるぞい』
『そ、そうか?』
『そうかじゃないわい。聖魔法のスキル持ちは聖女か異世界からの勇者くらいのもんなんじゃぞ。そんなもん付けたらすぐにバレるに決まっとる』
『なら、どうすんだ?』
『どうすんだって、此奴には女神たちの加護があるし、絶対防御もある。それで十分ではないか? アンデッドを倒すことはできないが、これだけあればすぐに死ぬことはあるまいて』
『それじゃあダメだ。ランクを上げるためにもコイツにはエイヴリングのダンジョンを踏破してもらう勢いでがんばってもらわなきゃだぜ』
『ぬ、そうか、それがあったな』
『言ってみりゃこれは投資よ投資。考えてもみろ、鍛冶神の。エイヴリングのダンジョンを踏破したらコイツのレベルはどれくらいになる? しかも、アンデッドを倒しまくったらレベルは?』
『かなり期待できるのう。次のテナントはもちろん、その次のテナントも狙えるやもしれん』
『そういうことだ』
 …………何か、言いたい放題言われてるんだけど。
『だが、聖魔法のスキルはさすがにマズいと思うんじゃ。うーん…………まてよ、戦神の、こんなのはどうじゃ? わしがこういうものをちょちょいと作って、これに魔力を流しながら押すと刻印がつくようにするっていうのは。言ってみればあの教会の聖印の強力版じゃな』
『おおっ、それはいい考えだ。俺たちなら簡単に作れるし、直接神力を与えるんじゃなく神力が宿っているのはお主の作るそれなんだから、バレる心配も少ない』
『ガハハハハ、完璧じゃのう』
『アハハハハ、完璧だなあ』
 笑ってるよ、おい……。
『それじゃ、ちょちょいと作っちまうぞい』
 待つこと5分。
『よしと、こんなもんでどうじゃ?』
『いいんじゃないか。じゃあ神力は俺が込めるぜ。……これでよしと』
 何がいいんだよ?
 何かさっきから蚊帳の外なんだけど。
『おい、異世界人。儂らが作ったもんを今からそっちに送るぞい』
 ヘファイストス様がそう言った直後、そのままになっていたダンボール祭壇が光り出した。
 光が収まると、そこには銀色の細長いものが置かれていた。
 何だ、これ……。
 よく見ると柄が長いスタンプみたいなもんなんだけど。
 えーっと、あれだあれ、映画なんかで見たことがある手紙に蝋で封をして、その蝋に刻印するやつだ。
 あれに見た目はそっくりだ。
 けど刻印の部分は何にもないんだけど……。
『それはな……そういや名前決めてなかったな。まぁ聖刻印とでもするか。その聖刻印で武器にでも何でもいいんだが刻印を押すとな、その刻印のついた武器で攻撃されたアンデッドは消滅する。さっき話した教会の聖印のようなもんだ』
『教会の聖印のようなまがい物とは桁違いだがのう。一度押せば丸1日は持つだろう。普通では刻印の部分は見えんが、それに魔力を注ぎながら押すと、魔力で出来た聖刻印が押されるんじゃ。教会のまがい物と違い武器が傷むこともないぞい』
 ほうほう、なかなかすごいものじゃないか。
 これ、もらっていいんすかね?
『それはお前にやったもんだからいいんだよ。それより、わざわざそれを授けたんだからがんばれよな』
『そうじゃ。お主はレベルのことは言うなと言っておったが、それをやったんじゃから少なくとも次のテナントやらが解放になるレベル40になるんじゃぞ』
 う……プレッシャーが。
 でも、これがあればアンデッドも怖くない。
 ちょっとはがんばれる気がするぜ。
「ありがたくもらっときます。エイヴリングのダンジョンは潜ってみないとわかりませんけど、がんばります」
『うむ、その意気でがんばるんじゃぞ』
『期待しとるぜ』
『よし、ウィスキーじゃ。戦神の』
『おう、今日は朝まで飲むぞ。鍛冶神の』
 …………
「ふぅ、行ったみたいだね。それにしても疲れた」
 エイヴリングのダンジョンの情報を聞けたのはいいけど、こんなのもらっちゃったし。
 鑑定してみる。


 【 神の聖刻印……鍛冶神ヘファイストスと戦神ヴァハグンが自ら作ったマジックアイテム。この刻印を押したもので攻撃するとアンデッドは消滅する。 】


 今更だけど、神自ら作ったマジックアイテムってすごくね?
 いや、普通にもらっちゃったけどさ。
 ま、ま、まぁ、いつも酒を貢いでるし、大丈夫だよね。
 うん、セーフセーフ。
 というか、次のテナントで酒屋が出てくれるといいんだけど。
 そうじゃないとあの酒好きコンビが暴れ出しそうだ。
 はぁ、乗せられた感はあるけど、とにかく少なくともレベル40になれるようがんばらないと。
 エイヴリングのダンジョンではレベリングといきますかね。




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