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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連
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第百七十六話 手作りソーセージ

 冒険者ギルドを後にした俺たちは、街の外に向かっていた。
 それというのもフェルが狩りに行きたいと言い出したからだ。
 確かにここ数日は街の中でずっと過ごしていたからな。
 それじゃ行くかということになった。
 フェルが狩りに行ってる間、俺は暇だから昨日アレシュさんから聞いたソーセージ作りを早速してみようと思う。
 途中肉屋によって、ソーセージ作りに必要なホワイトシープの腸を買った。
 アレシュさんから聞いたとおり、普通にホワイトシープの腸の塩漬けが買えたよ。
 値段も安かったから多めに購入した。
 よしと、それでは街の外へ行きますか。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



『それじゃ行ってくるぞ』
『行ってくるぜー』
 今回の狩りにはドラちゃんが同行する。
 ドラちゃんも運動不足ぎみということらしい。
 まぁ、俺たちに出会う前は一応野生の魔物だったしね。
 動き回れないのが続くのはストレスがたまるらしい。
「あ、ちょっと待って。2人で行くならこれあった方がいいよな」
 俺はアイテムボックスからマジックバッグを出して、フェルの首にかけた。
「明日にはドランを離れるんだから、解体して肉にしてもらうとしたら次の街だからな。そんな多くなくていいぞ。というかほどほどにな」
『ぬ、仕方がないな』
『えー、運動不足解消にいろいろ狩ってきたかったのによー』
 フェルもドラちゃんも、何そんなに狩る気満々なの?
 そんないらないからね。
「それじゃ、あんま遅くならないように戻ってこいよ」
『分かっておる』
『分かったぜ』
 そう言うとフェルとドラちゃんは颯爽と森の中に向かっていった。
 さてと、こっちはソーセージ作りを開始しますかね。
 実を言うと、前に皮なしソーセージは作ったことがあるんだ。
 それが美味かったから、皮ありの本格ソーセージをいつか作ってみたいと思ってたんだよね。
 それで皮付きソーセージの作り方のサイトとか何度か見てたんだけど、それを思い出しながら作って行こうと思う。
 どのサイトでもひき肉をこねるときの温度が高くならないようにというのを注意していた。
 温度が高くなると、肉がボソボソして固まらず美味しくないんだそうだ。
 ひき肉をこねるときの理想は、10度以下をキープしながらってことらしい。
 それを思い出したから、スイにはここにいてもらっている。
 フフフ、ソーセージ作りにピッタリの熱を通さない調理器具が今は作り放題だからね。
 ってことで、スイちゃんよろしくお願いします。
「スイ、こういうやつ作ってくれるかな? それから……」
 俺はスイにいつも使ってる大きめのボウルを見せ、ソーセージ用の口金を図に描いてスイに見せた。
 ボウルは何個か同じものを作ることもお願いする。
『分かったー』
 金口は現物はないけど、構造は簡単だから図で説明しただけでも分かってくれたようだ。
 ミスリル鉱石をスイに渡すと、すぐにボウルとソーセージ用の口金が出来上がった。
「ありがとな、スイ」
 そうしたら、まずはひき肉の作成からだな。
 オークの肉をミスリルミンサーでひき肉にしていく。
 そのひき肉がさっきスイに作ってもらったミスリルのボウルに溜まっていくよ。
 手回しハンドルをグルグル回してどんどんひき肉を作っていく。
「ふぅ~、これくらいでいいか」
 あとは、調味料と調理器具をネットスーパーで買わないとな。
 塩と砂糖とレモン果汁(瓶入り)はあるから、粗びき黒こしょうとハーブソルト、それから腸にひき肉を詰めていくときに使う絞り袋を購入した。
 今回は粗びき黒こしょう風味と、ハーブレモン風味の2種類のソーセージを作ろうと思っている。
 まずはホワイトシープの腸の塩抜きからだな。
 水で洗って塩を落としてから、水を入れたボウルにしばらく浸しておく。
 その間に、ひき肉に調味料を入れてこねていく。
 ここが一番重要なところだ。
 温度が高くならないように氷水を使うから、氷水を氷多めで水少なめで作っておく。
 氷は前にフェルに作ってもらったのをアイテムボックスに保存してあるからそれを使う。
 まずは粗びき黒こしょう風味だ。
 ミスリルのボウルに氷ごと氷水を入れ、その中にひき肉と塩と砂糖と粗びき胡椒を入れて粘り気がでるまでよく混ぜる。
 ボウルの中に直接氷水を投入するのはびっくりするけど、肉を冷やす目的のためにはありみたいだぞ。
 もちろん氷水の水はごく少量で氷の表面を濡らす程度のものだ。
 あとは手を氷で冷やしながらやるといいみたいだ。
 ちょっと冷たくて大変だけどがんばったぜ。
 とにかく肉の温度を上げずにこねる作業を終えることが重要らしいぞ。
 残った氷を捨てて、冷たいままのひき肉を一旦アイテムボックスにしまっておく。
 同じ工程でひき肉にハーブソルトとレモン果汁を入れてハーブレモン風味を作っていく。
 これでひき肉の準備はできた。
 あとは塩抜きしたホワイトシープの腸に詰めていくだけだ。
 まずは絞り袋をスイに作ってもらったミスリルの口金に取り付けたら、金口にホワイトシープの腸の端っこをはめてからたぐりよせて腸を全部口金にはめていく。
 絞り袋の中に味を付けたひき肉を空気を抜いてから入れていき、口金からひき肉をちょびっと出してその部分はカットする。
 腸にひき肉を詰めていくときに空気が入らないようにするためらしいぞ。
 そうしたら口金にはめた腸を引っ張って先っちょを結んでから腸が破けないように気を付けながらひき肉を詰めていく。
 肉を詰めたら、お尻の方も少し余裕を持たせて結んで適当な長さのところでクルクルっと何度かねじっていく。
 ねじったところを切ったらソーセージの出来上がり。
 その工程を何度か繰り返して、粗びき黒こしょう風味とハーブレモン風味の2種類のソーセージを大量に作り上げた。
 とりあえず出来上がったソーセージはフタのついたプラスチック容器に入れてアイテムボックスにしまった。
 このソーセージは、ゆでてない本当に生のフレッシュソーセージだから、確かフライパンで焼くと破けちゃう場合があるから網でじっくり焼くといいってことだった。
 うん、バーベキューコンロで調理するのにピッタリだね。
 バーベキューコンロを使うのに、ソーセージだけじゃちょっとショボいかな。
 別に肉も仕込んでおくか。
 昨日は焼いてからタレを付けて食ったけど、今日はタレに漬け込んで焼くようにするかな。
 まずはタレの材料をネットスーパーで購入していく。
 醤油と砂糖と酒はあるからにニンニクとネギ、すりごま(パック入りのもの)、ごま油それから100%りんごジュースをカートに入れた。
 今回は生のにんにくをすりおろして使う。
 漬け込むなら生のにんにくの方が美味いしね。
 ネギはみじん切りにしておく。
 ボウルに醤油、砂糖、酒、おろしニンニク、ネギのみじん切り、すりごま、ごま油に隠し味のりんごジュースを入れて混ぜたら漬け込みダレの完成だ。
 そこにブラッディホーンブルの肉を入れて軽く揉んだらラップをかけて20分くらい漬け込んでおく。
 オーク肉も同様に漬け込んでおく。
 太陽も大分沈んで来てるし、あと少ししたらフェルとドラちゃんも帰ってくるだろうから、バーベキューの準備しておくか。
 まずは木炭買っておかないとと、ネットスーパーで木炭を購入した。
 特製バーベキューコンロをアイテムボックスから取り出して、引き出し部分に木炭を入れて点火。
 網の上で作ったばかりのソーセージをじっくり焼いていく。
 ソーセージを焼くいい香りが立ち込める。
 ひっくり返しながらじっくり全体を焼いていく。
 肩のあたりが重くなったと思ったら、いつの間にか肩の上にスイがいた。
『いい匂い~』
「ああ。いい匂いだね」
 焦げ目もいい感じについて、もうそろそろ大丈夫かな。
 1つ試しに割ってみると、中まで火も通ってるし大丈夫だ。
 どれ、味見を。
 おおっ、ウマッ。
 肉汁たっぷりで、味も少し濃い目につけてみたから、このままで十分美味い。
『いいな~、スイも食べたいなぁ』
「はい、味見」
 トングで1つつまんで、スイに渡した。
『わっ、美味し~! 薄い皮の中からお肉の汁がジュッて出てくるよー』
 皮付きソーセージは初めて作ってみたけど、美味く出来て良かったぜ。
『あーっ、何先に食ってんだよー』
『ぬぅ、我ら抜きで食うとは許さんぞ』
 お、ちょうどいいとこにフェルとドラちゃん帰ってきたね。
「違うよ、これは初めて作ったものだからちょっと味見してただけだって。それより、成果はどうだったんだ?」
『まぁまぁだ。マジックバッグに入らなかった分はあそこに置いてある』
 フェルが見た方を見ると、デカい魔物が2匹横たわっていた。
 ……は?
 何度か瞬きしてからもう一度見るが、やっぱり変化はない。
 あそこにあるの、サイとサーベルタイガーだよね?
 鑑定してみるとサイが【ディムグレイライノ】でサーベルタイガーはまんま【サーベルタイガー】と出た。
 両方ともAランクの魔物だ。
「……ほどほどにって言ったよな?」
『いや、そのな、いたからついついな……』
『いいじゃねぇか。サーベルタイガーの方は俺が倒したんだぜ。スゲェだろ』
 フェル、ついついじゃないからな。
 それにドラちゃん、そんなドヤ顔しなくていいから。
「はぁ、他の成果は食後に聞くとして、先に飯にしちゃうか」
『おお、それはいいな』
『狩りの後は腹が減るからな』
 はいはい。
 あとでマジックバッグの中身も聞くからね。
 俺は焼き上がっていたソーセージを皿に盛り、フェルとドラちゃんとスイに出した。
『むむ、これは美味いな。いくらでも食えそうだぞ』
『外側の薄い皮がプツッと弾けると中から肉汁がブワッと出てくるな! こりゃあ美味いぜ!』
『お肉の汁がジュッて出てきて美味し~。スイ、これ大好きー!』
 ソーセージ大好評じゃないか。
 作ってよかった。
 俺もさっき味見した粗びき黒こしょう風味とは別のハーブレモン風味を食ってみる。
 おおっ、これも美味いな。
 ハーブの香りとレモンの香りが鼻に抜ける。
 こっちはさっぱりした風味だね。
 これに合う飲み物って言ったら、やっぱこれだよね。
 ネットスーパーでビールを購入。
 今回はA社の辛口ビールの黒を選んでみた。
 早速、ゴクゴクと飲んだ後、すかさずソーセージをガブリ。
 そしてまた、ゴクゴクゴク、プハ―。
 美味いッ。
 スッキリ飲みやすいビールだから、このソーセージとも合うわ。
 ヤバい、この組み合わせいくらでもイケそうだぜ。
 なんて考えていると、みんなからおかわりの声が。
 ソーセージをそれぞれの皿に乗せてやる。
 次は漬け込んでおいたブラッディホーンブルの肉とオークの肉も焼いていくか。
 網の上に乗せると、肉の焼ける香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
 あー、いい匂いだ。
 肉をひっくり返しながら焼いてと、そろそろいいかな。
 とりあえず味見だ。
 パクッとな。
 はぁ、やっぱこのタレ美味いなぁ。
 何度か作ってるけど甘辛い味にごまの風味も利いてて美味い。
 焼き上がったブラッディホーンブルの肉とオークの肉を新しい皿に盛ってみんなに出してやる。
「はい、肉焼いたぞー」
『おお、こっちも美味そうな匂いがしてるぞ』
『俺もまだまだ食っちゃうぜー』
『お肉~』
 まだまだ大丈夫なのか、みんなガツガツ食っている。
 うんうん、炭火で焼いた肉は美味いもんな。
 俺も食うぜ。
 あーこっちも黒ビールに合うわ~。
 みんなたっぷり腹いっぱいに肉を堪能した。
 食事が終わりコンロやらの後片付けも終わったところで、マジックバッグのお披露目だ。
 中から出てきたのは、ディムグレイライノ1匹とブラックサーペント1匹、ジャイアントドードー1匹にコカトリスが2匹だった。
 これでディムグレイライノ2匹だけど、サイって食えるのか?
「なぁ、ディムグレイライノって食えるのか?」
 フェルに聞くと『いや、まぁ』とかはっきりしない。
『ブハハハハ、ディムグレイライノの肉なんか固くて食えねぇよ。それなのに、フェルってば2匹も狩ってんだもんな』
『ぬ、食えないものを狩ったというなら、ドラも同じではないか。サーベルタイガーの肉など臭くて食えんだろ』
『ぐっ……』
「はぁ~、あのな、フェルもドラちゃんも狩ってくるなら食える魔物にしてくれよな」
『ぬぅ、分かったぞ』
『へいへい、分かりました』
 いやさ、ダンジョンの分でもう金は十分にあるから、素材売るだけの魔物ならあんまり必要ないんだよね。
 食える魔物の方が今の俺たちにはよっぽど役に立つからね。
 ディムグレイライノとサーベルタイガーは、とりあえずアイテムボックスで塩漬けかな。
 ブラックサーペントとジャイアントドードーとコカトリスは次の街で肉にしてもらうよ。
「さて、もうそろそろ街に戻ろうか」
 俺たちは夕暮れ時の薄暗い道をたどり街へと戻っていった。
 いよいよ明日はネイホフの街へ向けて出発だ。




次回から閑話の予定です。
順調に書ければいいけど……。
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