第百四十九話 ロングセラー
今日は149話と150話更新です。
2つとも短いですが。
エルランドさんの話が長引いたことで、昼飯を逃してしまった。
そこで大騒ぎなのが、うちの子たちだ。
フェルもドラちゃんもスイも腹減ったーっと大騒ぎ。
宿に戻ってすぐに飯にする。
手早く出来てガッツリ食えるものってことで、焼き肉丼を作ることにした。
炊いた米もあと1食分くらい何とか残ってるしな。
まずはネットスーパーで、市販の焼き肉のタレと彩にカイワレ大根を購入する。
今はいろんな市販の焼き肉のタレが出てるから好みのものでOKだ。
俺はいろいろ使ってみたけど、結局これが一番かなと思ってるものがある。
昔からあるロングセラーの馴染みのある焼き肉のタレだ。
これの中辛がベストだな。
飽きの来ない味というか、甘さとコクがあって焼き肉丼にすると美味いんだこれが。
この焼き肉のタレを使って手早く作っていこう。
まずはブラッディホーンブルの肉を少しだけ厚めに切っていく。
熱したフライパンに油ひいて、ブラッディホーンブルの肉を焼いていく。
サッと肉の色が変わったら焼き肉のタレを加えて絡め焼いていく。
深めの皿に飯を盛ったらその上に焼き肉を並べていって、真ん中に彩のカイワレ大根を添えて出来上がりだ。
超簡単だけど、うん、美味そう。
「はい」
フェルとドラちゃんとスイの前に置いてやると、待ちきれないという感じで飛びついてガツガツ食い始めた。
よほど腹が減ってたのか夢中で食ってるよ。
こりゃすぐおかわりってくるな。
今度はワイバーンの肉を使った焼き肉丼を作っていく。
『『『おかわり』』』
思ったとおりだぜ。
俺はワイバーンの肉の焼き肉丼を出してやった。
『む、これは肉が違うな』
「ああ、さっきのはブラッディホーンブルでこれはワイバーンを使ってみた」
『このタレは肉に実によく合うな。どちらの肉もこのタレと合わさると極上に美味い』
さすが肉大好きなフェル。
分かってるね。
焼き肉のタレが肉に合わないはずないんだよ。
肉の良し悪しにかかわらず焼き肉のタレで食うと美味いんだよなぁ。
『うむ、これはあれも食うしかないだろう。次は地竜の肉だ』
フェルが地竜の肉で焼き肉丼を作れと言い出した。
『何、地竜食うのか? それなら俺も食うぞっ』
『スイも食べるー』
地竜の美味さはみんな分かってるからそりゃ食いたくなるわな。
そういう俺も地竜の肉が焼き肉のタレでどのくらい美味くなるのか興味がある。
ってことで、地竜の焼き肉丼を作っていく。
「はいよ」
みんなに地竜の焼き肉丼を出すと、バクバク食っていく。
フェルとスイに比べれば小食なドラちゃんもこの時ばかりはバクバク食ってたよ。
既にブラッディホーンブルとワイバーンの焼き肉丼食ってたのにさ。
でも、これ見たら食いたくなるわなぁ。
艶々の米の上に焼き肉のタレが絡まった地竜の肉がたっぷり載っている。
早く食ってくれと言わんばかりに凶悪なほどいい匂いをさせているんだからなぁ。
あーダメだ、涎が止まらん。
我慢できん、俺も食うぞ。
地竜の焼き肉で米を巻いて、パクリ。
…………う、ウンメェェェッ。
何だこれ、美味過ぎる。
地竜の焼き肉と米が合い過ぎる。
ダメだ、止まらん。
俺はいっきに地竜の焼き肉丼を食い進めた。
「はぁ~食った食った。最高に美味かった……」
正直に言うと、今まで食った肉料理で一番かもしれん。
地竜の肉と焼き肉のタレのコラボは美味過ぎてヤバい。
フェルとスイもこの美味さにやられたようで、何度も何度もおかわりしたよ。
地竜の肉もまだ3分の2くらいは残ってるけど、大事に食っていかないとな。
地竜の貴重な肉なのにこの肉は美味過ぎてすぐなくなりそうだし。
みんな腹いっぱい食って満足したら、グースカ寝ちまったよ。
フェルとドラちゃんを獣舎に残して、俺はスイを抱えて部屋に戻った。
スイをベッドの上に敷いた俺用の布団にそっと置く。
俺にはまだやらなきゃいけないことがあるんだよ。
面倒くさいんだけど、遅れるといろいろうるさいからね、あの人(神)たち……。




