第九十九話 ワイバーンの皮でオーダーメイド
買取代金や金貨の量等がおかしいとの感想が多いので、65話、66話、71話、81話、86話、91話を直しました。
今回直したので最後にしたいと思います。
感想でも代金等についてはできれば触れないでいただきたいです。
誤字脱字、計算間違いなどはもちろん受け付けますが、金額がおかしい等はできれば止めていただけるとありがたいです。
気になるようでしたら、ご自分の適正価格を当てはめて読み進めていただければと思います。
おかしいおかしいと書かれると作者としても気になります。
そうなると、そこでまた考えてしまうので更新にも影響が出てくる可能性もあるので。
ランベルトさんの店に注文を受けた商品を届けに来ている。
店の応接間に木箱や壺を出してランベルトさんに確認してもらっているところだ。
いつものようにフェルもスイも一緒だがまったく興味がないのか、フェルは応接間の俺の座っている椅子の裏で寝ているしスイも鞄の中で寝ている。
「はい、間違いありませんね。早くて助かりました。特にこの石鹸は売り切れ間近でしたからな」
ランベルトさんが安い方の石鹸の入っている木箱の一つに手を置いてそう言った。
「それで代金なのですが、金貨100枚を超えましたので大金貨でお支払いしてもよろしいですかな?」
「はい、大丈夫です」
昨日計算して確か代金は金貨612枚のはず。
何か大金を手にすることが多くて、驚き具合がだんだん減少している今日この頃。
日本にいたころは給料日前はキツキツで苦労してたのに、異世界に来てこんなに儲かっているとはね……。
いや、金に困らないってのはありがたいことではあるんだけどさ。
「では、これが代金の大金貨60枚と金貨12枚です。お確かめください」
いつものように10枚を重ねて1列にしてある。
金貨10枚分で大金貨1枚だから、大金貨60枚と金貨12枚で間違いないな。
「はい、間違いないです」
ランベルトさん曰く、商人の間では金貨100枚を超える取引の場合は大金貨を使うのが慣行なんだそう。
金貨100枚以上になるとけっこうな量だもんな。
他の街に仕入れに行くときなんかは、そんな大量には持ち歩きできなさそうだしね。
街中で使う時はちょっと不便かもしれないけど、大金貨の方が重くなくていい。
金貨ももう十分過ぎるほどに持ってるしね。
ちなみに白金貨はミスリルと金を混ぜた金貨で国家間の取引やら商人間でも金貨ウン千枚を超えるような大商いじゃないと使わないそうだ。
「ああそうだ、ランベルトさんに聞きたいことがあるのですが、こちらでマントを作ってもらうことはできますか?」
「ええ、もちろん革製品のオーダーメイドも承っておりますので大丈夫ですよ。どんな革をご所望で?」
「それがですね……」
ランベルトさんにワイバーンのことを話した。
「ワ、ワイバーンですか……ワイバーンが出た話は聞きましたが、まさかムコーダさんが討伐していたとは…………」
いや、俺じゃないんだけどね。
討伐したのはフェルとスイだし。
「それでワイバーンの皮でマントと鞘付きベルトと靴を作っていただきたいんです」
「ワイバーンの皮は私もいつかは取り扱ってみたいと思っておりました。この店一世一代の大仕事として承ります」
ランベルトさんが意を決したようにそう言った。
一世一代の大仕事って、ワイバーンの皮ってそんな感じの素材なのか?
冒険者ギルドのギルドマスターがマントにするとーってな話をしてたから、買取ってもらえない分もあるし、自分用のマント作ってもらうのもいいかなって軽い気持ちだったんだけど……。
「しかしながら、ワイバーンの皮となると時間がかかりますが、よろしいですか?」
「どれくらいですか?」
「そうですな、半年くらいはかかるかと……」
そんなにか。
でも、ワイバーンの解体にもミスリルのナイフを使わなきゃいけないくらいだもんな、それをマントやら鞘付きベルトやら靴やらにしていくんだから時間がかかるのかも。
皮をなめすのにも時間がかかりそうだしね。
まぁ、急ぎでもないし半年後の楽しみってことでいいか。
「それから、皮は持ち込みということですが、加工できる職人も限られますし、何しろ加工に手間暇かかりますので代金がそれなりに……」
まぁそうなるよなぁ。
聞いてみたら、作業時間やらも関わることだからはっきりしたところはまだ言えないが、金貨500枚以上かかるかもしれないとのこと。
今の俺だと払えない金額じゃないけど、やっぱりオーダーメイドだとそれなりにするな。
ワイバーンの皮の扱いって結構難しいみたいだし、手間暇もかかる作業みたいだからしょうがないのか。
あ、そうだ、ワイバーンの皮の残りを代金の支払いの一部にするってできるかな?
1匹分の皮で注文分のマントとベルトと靴を作っても余りが出るだろうから、その皮を支払いに充ててもらえるとありがたいんだけどな。
「あの、その代金、ワイバーンの皮の余りで一部支払うってことできますか?」
「えっ、いいのですか? 滅多に手に入らない皮なので、うちとしてはとてもありがたい話なのですが」
俺が持っていてもどうせ売る以外使いようがないし、支払いがそれでできるならその分金を持ち出ししなくてもいいからそっちの方が俺としてはありがたい。
「そうしてもらえるならその方がありがたいんですが……」
俺がそう言うとランベルトさんが承諾してくれた。
「じゃあ今から冒険者ギルドに行きますんで、その帰りにワイバーンの皮持って来ますんでよろしくお願いします」
「はい、お待ちしております」
俺たちはランベルトさんの店を後にして冒険者ギルドに向かった。