不貞寝
今回はラファエルの悩みを書いてみました。
「わたし、大きくなったらパパのお嫁さんになるっ」
茶色の髪に大きな翠色の瞳を輝かせながら小さな少女は大好きな父親の膝の上で宣言した。
「おっ、可愛い事を言ってくれるじゃないか」
父親はくすりと笑い娘の頭を大きな武骨な手でくしゃくしゃと撫でた。
「パパ、くすぐったいー」
娘は小さく身を捩ったが表情は楽しんでいた。
そんな楽しそうな親子の一コマだったが、乱入者が現れた。
「ジュリアは何を馬鹿な事を言っているの」
静かな口調だったが表情は険しかった。
「ジュリアと飛天は親子なんだから結婚なんて出来る訳ないでしょ」
「やだっ。ジュリアっ、パパと結婚する!?」
「駄目と言ったら駄目よ」
「ふぇぇぇぇぇん!!ママの意地悪っ!?」
ジュリアはポロポロ泣き喚き夜叉王丸に抱き付いた。
「おぉぉ、可哀想に・・・・・・・・」
優しく背中を撫でながら夜叉王丸は娘を慰めた。
「飛天っ」
「おい、少し大人気ないだろ?」
「だ、だって・・・・・・・・・」
「だっても糸瓜も無い。我が子を泣かせる母親なんて最低だぞ」
ぐさりと夫の言葉が胸に突き刺さった。
「可哀想に。ママの言った事は気にするな。な?」
「うぅぅぅぅぅ」
ジュリアは夜叉王丸の胸に顔を埋めながら嗚咽を漏らした。
「よしよし。今からパパと一緒に寝ような?」
ジュリアを抱き上げ寝室に向かう夜叉王丸にラファエルは焦った。
「ちょ、飛天っ」
「なんだ?」
「なんだ?って・・・・・・・・・・」
「お前は少し反省しろ」
それだけを言うと夜叉王丸は振り返らずに寝室に向かった。
「・・・・・・・・・・・・」
一人残されたラファエルは悔しさで心が一杯だった。
ジュリアはずるい。私が散々な苦労をして手に入れた飛天の愛情を一瞬にして手に入れて私を遠ざけたのだから・・・・・・・・・・
ジュリアが生まれてから飛天はジュリアを可愛がるようになった。
夜だってジュリアが泣くせいで一緒に過ごしてないし・・・・・・・・・・
泣かれてしまえば大人の私が悪者扱い。
「・・・・・・私だって貴方の事が好きなのに」
くすんっと鼻を啜りながらラファエルは自分の部屋に行きソファーに不貞寝した。
「・・・・・・・・ん」ラファエルは温かさで目を覚ました。
「・・・・・飛天」
目の前には夫である夜叉王丸の胸板があり自分が夜叉王丸に抱き締められていると理解した。
「起きたのか?」
見上げると夜叉王丸が左目で見下ろしていた。
「え、えぇ」
「さっきは少し言い過ぎた。悪かったな」
ラファエルの額に口付けを落としながら夜叉王丸は謝った。
「え、えぇ。そうよ。貴方がジュリアばかり可愛がるからいけないのよっ」
本当は謝りたかったのに憎まれ口しか出なかった。
「そうか。せっかく今日は久し振りに可愛がろうと思ったが・・・・・・退くか」
えっ?退く?!
「ちょ、待ってよっ」
「怒ってるんだろ?さぁて今日はサリエルを可愛がるかなー」
わざと言っていると分かった。
「・・・・・・・・・・・・・・」
私は無意識に飛天の服を掴むと力任せに引っ張りソファーに押し倒した。
「おやおや、慈愛を司る天使が男を押し倒すとは恐れ入るぜ」
「・・・・・黙って」
私は自身の唇で飛天の唇を塞いだ。
「今日は、私が飛天と眠るんだから」
私の言葉に飛天は苦笑して好きにしろと言ってくれた。
その夜は久し振りに飛天と眠れて私は翌日には満足感で一杯だった。
少しキャラが壊れてしまったかも・・・・・・・・・・