寝る時は一緒に
今回は作者お気に入りのジャンヌを主人公に夫婦暦が一番長いのに新婚ホヤホヤ気分で書いてみました。
「はぁー、はぁー、はぁー」
私は寒さで霜焼けになった両手に息を吹き掛けながら洋風の廊下を歩いていました。
ついさっきまで子供達の食器を洗っていた為に手が濡れて冬の風が響きます。
「どうした?ジャンヌ」
背後から声が聞こえ振り向くと私の夫である飛天様が立っていました。
「いえ、何でもありません」
私は一礼して去ろうとしたが腕を掴まれて振り向かされてました。
「こんなに手を赤くして何でもない訳ないだろ?」
私が隠していたのが傷ついたのか悲しそうな表情をする飛天様。
「す、すいませんっ」
私は申し訳なく頭を下げました。
この方は隠し事をされると自分に力が無いと思い込み悲観してしまう事が度々ありました。
それは過去に起きた悲劇でのトラウマとなり今でも続いていました。
「すまないな。こんなに綺麗な手を傷つけてしまって・・・・・・・・・・・・」
私の両手を包み込み息を吹きかける飛天様。
「いいえ。大丈夫です」
飛天様の優しさに涙が出てきそうなのを我慢して笑って答えました。
「私は他の人達のように飛天様を夜会でも戦でも政治でも助ける事が出来ないからこれ位は平気です」
私は王族のバール様と公爵のアスタロト様の養女という立場だが、他の人達のように一緒に戦で戦う事も夜会でサポートする事も政治で助ける事も出来ないからせめて家事くらいは頑張ろうと思っています。
「お前は男爵になってからずっと一緒に、傍にいて俺を支えてくれている。他の奴らよりもお前は十分に役に立っているよ」
掴んでいた手を放して髪に手を伸ばす飛天様。
「何か欲しい物は無いか?お前にご褒美をやるよ」
「そんなご褒美なんて・・・・・・・・・・・」
「いや、何か言ってくれ」
駄々を捏ねる子供のように言う飛天様。
「それじゃ、今日・・・・・・・・・一緒に、寝てくれませんか?」
自分の言った言葉に恥ずかしくて赤面してしまいました。
「・・・・・・・・駄目、ですか?」
赤面しながら飛天様を見上げる。
「い、いや。大丈夫だが、お前から、そういった誘いをしてくるとは思わなかった」
よく見ると飛天様も耳元が赤くなっていました。
「そ、それじゃ、今夜に備えて、体力を温存しておく為に今から、一緒に昼寝しないか?」
「・・・・・・・・はい」
二人して顔を赤くして私と飛天様は手を繋いで寝室に向かいました。
この後、二人はどうなったのでしょうかね?
それは読者の皆様のご想像にお任せします。