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偽処刑人の罰

「私たちの名を騙って殺人を犯すだけでなく、被害者に対して法外な金まで毟り取るなんて愚の骨頂ね」


アラストールはメキメキと処刑状を握り潰した。


「まったく。俺らの名を騙るなんて生かしておくとは命知らずだな」


夜叉王丸はセブンスターを吸いながら笑っていたが瞳は名刀、いや妖刀のように妖しく光っていた。


「・・・生かしておく必要はないが、俺らの潔白を証明するとなれば生かしておかなければならないな」


「はぁ、無い頭をフル・ドーインしてもこの程度とはお粗末にも程があります」


アリオーシュは斧を拭きながら笑った。


「悪魔の授業料が如何に高額か・・・・・・教えてやるぜ」


不敵に笑うルシュファー。


「メフィスト。場所は?」


「はっ。現在は行き付けのクラブで仲間と打ち上げをしているようです」


ルシュファーの質問にメフィストは答えた。


「人を殺して被害者家族から毟り取った金で豪遊とは・・・・・・・許せない」


アラストールは髪を逆立たせてアイス・ブルーの瞳をメラメラと燃やした。


「・・・許さない。絶対に罪を償わせてやる」


処刑人たちは自分たちの名を騙り処刑をして金を稼ぐ愚かな罪人どもを裁くために闇の中へと消えて行った。


「もう一件!飲みに行こうぜ!?」


リーダー格の男が笑いながら叫んだ。


足は酒を飲み過ぎて力が入らないのかよれよれだった。


「にしても、地獄の処刑人様様だぜ。姿も見せないから俺らが偽物だって分からねぇ」


男に従うように歩く男も笑った。


「お陰で何も知らない被害者の家族から多額の金が奪えるしよ!!」


ぎゃはは、と下品な笑い声を上げる。


「地獄の処刑人なんて居る訳ねぇのによー?」


「・・・・居るわよ。目の前に」


男たちの足が止まった。


目の前には真紅の振袖を着て般若の面を被った女と同じく仮面で顔を隠した男が三人ほど立っていた。


「俺らが本当の地獄の処刑人だ。お前ら、人の名を騙り悪さをするのは許せないぞ」


鴉天狗の仮面を被った夜叉王丸は腰に差した村正を引き抜いた。


「本当なら貴方達みたいなゴミは塵も残さず消し去るのが、信条ですが・・・・・・・今回は生かして罪を償わせてもらいますよ」


斧を両手に蝙蝠の仮面を被ったアリオーシュが笑い男たちの背後を取った。


「お前ら・・・・・・・被害者家族の願いを踏み躙りやがって・・・・・・・・」


メフィストは我慢できない様子で男たちに殴り掛かった。


「うるせぇ!!こっちが本物だ!?」


リーダー格の男がバタフライナイフと取り出すと残りの二人も木片などを持って臨戦態勢を取った。


本当なら繁華街で賑わっている道通りは今宵に限って誰も通って無かった。


「死ね!!」


バタフライナイフをメフィストに突き出した。


酔いが醒めたのか適格な突きだった。


「てめぇが死ねば良いんだよ!?」


メフィストはナイフを避けると男の右襟を掴むと鋭く素早く地面に叩き付けた。


防御も回避も不可能な柔道技、山嵐だ。


力を制御したのかドシンッと大きな音はしたが骨などが折れた音は聞こえなかった。


「この糞野郎が!!」


リーダーがやられた二人は前方と後方に別れた。


「貴方は手足の片方くらい無くした方が良いかもしれませんね」


アリオーシュは木片を間一髪で交わすと斧で木片を切断し男の左手を切り落とした。


「ぎゃあ!!いてぇ!?いてぇよー!?」


「たかが腕が一本を斬られた位で喚かないで下さい。もう一本を斬り落としますよ?」


アリオーシュは刃のない方で頭を叩いて気絶させた。


「さぁて、残りはお前だけだ。小僧」


夜叉王丸は村正を引き抜いた。


「金が欲しい、それは良い事だ。誰だって金は欲しい。だが、人の、被害者家族の願いを悪用しての金稼ぎほど罪が重い事はない」


村正を片手に夜叉王丸は前へ進み男は後退した。


「お、俺が悪かった!!だ、だから助けて!!」


「駄目だ。お前らには罪の償いをしてもらう」


村正が一閃した。


男は皮一枚を斬られた。


それだけで糞尿を漏らし気絶した。


「意気地がない奴だ」


夜叉王丸は村正を鞘に収めた。


「こいつ等を運ぶぞ」


処刑人たちは罪人と共に再び闇へと消えた。


彼らは地獄へと帰り罪人を地獄の法律で裁き判決を下した。


一週間後、三人の男と一人の女が生きたまま縄で縛られて首に罪状が書かれて紙を張られ警察署に置かれていた。


『かの者、地獄の処刑人と偽り被害者家族から多額の金額を盗み取った罪により曝しに処する』


警察に発見されると同時に被害者家族に多額の金額と海外行きのチケットが家に届けられていた。


「これは・・・・・・?」


「何も言わずにこれを受け取って下さい」


郵便局員に化けたメフィストは沈痛な顔で頭を下げた。


「この金とチケットは、処刑人からの罪滅ぼしです」


「・・・・・処刑人から?」


「・・・貴方達の願いを、聞き届けられずに・・・・・・傷口を開かせて・・・・・・申し訳ありません!!」


メフィストは我慢できずに土下座した。


「申し訳ありません!申し訳ありません!!」


メフィストは涙ながらに謝った。


こんな事をしても何の効果もならないが頭を下げた。


家族は涙を流しながらメフィストの届けた金とチケットを受け取った。


マスコミは罪人が吐いた被害者家族の家に行った時には既に被害者家族は必要な物を全て持ち飛行機に乗っていた。


「被害者家族は全員、飛行機に乗ってヨーロッパに逃げた」


空を眺めながら煙草を蒸かしている夜叉王丸に伝えた。


「そうか」


「ヨーロッパならお前の力が及んでるからマスコミや警察も問題ないだろ」


メフィストはマイルド・セブンを取り出して口に銜えた。


「あぁ。俺の部下が責任を持って護る」


なら良いとメフィストは言って紫煙を吐いた。


「・・・・・奴ら、どうなるんだ?」


「よくて10年ちょっとで娑婆に出れる」


「そんな簡単な罰で・・・・・・?」


「・・・そうだ。だが、人間の法律を奴らに適用させるほど悪魔は甘くない」


セブンスターを吐き捨てた。


「奴らは今、拘置所に居る」


「拘置所から地獄、か。悪くねぇな」


メフィストはニヤリと笑った。


「既にアリオーシュが向かっている」


「アラストールは?」


「・・・・空港で被害者家族を見送っている」


「もう済ませてきたわ」


朱色の振袖を着たアラストールが立っていた。


「・・・皆、涙ながらに地獄の処刑人にありがとう、と伝えてくれだって」


「・・・・人間は理解出来ないわ」


疲れた息を吐いた。


「私たちは何もしてないのに、礼を言うんだから」


「人間は身心ともに脆い。簡単に誘惑に溺れるし自己の保身に走る。そいつ等は家畜以下だ。だが、極僅かに誇りと尊厳を持ち生きる人間が居る」


「被害者家族は、その人間だったのさ」


夜叉王丸は空を見上げて言った。


「・・・やっぱり人間は、理解が出来ないわ」


アラストールは夜叉王丸と同じように空を眺めた。


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