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越えられない壁

月が昇る中で私は愛する飛天の寝室で彼に抱かれていた。


否、私が飛天に抱いてもらっているのだ。


今日も嫌がる飛天を無理やり誘って寝室までこぎ着けて恥ずかしい事も飛天のためにした。


現在も恥ずかしいが女である私が飛天の上で動いて彼を満足させようとしていたのだ。


「・・・くっ・・・ぁっ、やっ・・・・・」


自分で動く度に身体に衝撃と快楽を感じる。


快楽の性行為など下品で淫猥だと思っていたが、今は快楽の行為が気持ち良くて仕方がなかった。


飛天と行為をしている理由もあったが、自分の中にある“女”が刺激された事もある。


これだけ気持ち良いんだから飛天も気持ち良くなるはず・・・・・・・


私と行為をしている飛天はいつも冷めた瞳だった。


他の妻と行為をする時は楽しそうにしているのに・・・・・・


私は限界が近付いてきて更に激しく動いた。


「んっ・・・・あっ・・・・・はぁ・・・・・・」


「・・・・ひ、てんっ」


私はついに我慢できずに飛天の上で達した。


しかし、飛天は冷めた瞳で私を一瞥して乱暴に私は退けた。


「・・・・・満足したなら退けろ」


冷たい言葉を私に浴びせると飛天は黒の寝間着を着て部屋を出ようとした。


「あ・・・・・ど、何所に行くの?」


震える声で尋ねた。


行かないで。


私の傍に居てっ。


口から出そうとしたが飛天の口からは冷たい言葉が返ってきた。


「お前と一緒の部屋で寝たくない」


前を向いたまま答えると飛天は部屋から出て行った。


後に残ったのは私と汚れた布団だけだった。


「・・・・・飛天」


私は泣きたくなった。


どうしたら貴方の心を癒して私を受け入れてくれるのかしら?


確かに・・・・・・私は貴方から幸せを奪ってしまった。


絶望した貴方を癒したくて愛したいと思った。


だけど、貴方は私を何度も拒絶した。


私は貴方を愛しているのに貴方は私を憎んでいる。


それでも私は貴方を好きで堪らなかった。


誰にも貴方の心を癒す役目を渡したくなかった。


それなのに・・・・・あの娘は貴方を癒す役目を私から奪い取った。


私よりも貴方を知らないのに・・・・・私より貴方の傍にいて、私より貴方の笑顔を見たあの娘。


・・・・・ジャンヌ・シエル・ベルサイド


私がどれだけ欲しいと願っても手に入らなかった貴方の心を・・・・あの娘は手に入れた。


悔しかった。


どうして?


私ではないの?


何で貴方の隣で笑うのが私ではないの?


貴方の隣で立つのが何であの娘なの?


・・・貴方の隣で笑うのは・・・・私だったのに・・・・・


「・・・・私はどうしたら良いの?」


貴方の心をどうしたら手に入るの?


私もあの娘のように貴方の隣で笑っていたい。


誰も居ない部屋で私は涙を流した。

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