Many Thanks
・・・・・・・皆が寝静まり静けさだけの夜。
本来なら眠っているはずなのに、今夜は眠気をまったく感じなかった。
眠れないため、飲み慣れない酒を持ち出して一人で飲む。
いつもなら、コップ二杯程度の酒を飲んだだけで酔って眠れる筈なのに今夜は眠れなかった。
嗚呼。何でだろう?
何で眠れないんだろう?
幾ら酒を飲んでも飲んでも酔いは回らない。
しかも一人で飲んでいるから更に酔いが回り辛い。
嗚呼。何で?どうして?
どうしたら眠れるのかしら?
答えは分かっている。
分かっているけど、それは私の我が儘でしかない。
私の一生を掛けて恋をして、愛して傍に居たいと思った相手である貴方が傍にいないから。
貴方が傍に居てくれたら、眠くなくても眠くなるのに。
だけど、貴方は私の傍に、屋敷に居ない。
帝国の皇帝であり養父に呼び出されて従者を連れて城に上がっているから。
本当は、引き留めたかった。
何所にも行かないで、私の傍に居て下さい。
・・・・・だけど、それは出来ない。
私のわがままで貴方を困らせる訳にはいかない。
身体では分かっていても心では分かりたくなかった。
そんな事を思い酒を飲んでいると後ろから抱き締められた。
えっ?誰?
一瞬、身体が冷えたが直ぐに貴方だと分かった。
・・・・・・・いつも優しく私を抱きしめて髪を撫でる逞しく温もりのある貴方の腕だと分かったから。
貴方は私からコップを取り上げると優しくベッドに運んでくれた。
私は立ち去ろうとする貴方を引き留めて瞳で訴えた。
・・・・・ねえ、私のわがままを聞いて。
独りで寝るのは寂しいの。
あなたに抱き締めてもらって、私は初めて幸せに眠れるから。
だから、ずっと一緒にいて欲しい。
・・・・ねえ、お願い。
最初で最後の私のわがままを聞いて。
貴方は私の訴えを判ったのか苦笑して一緒にベッドの中に入って、私を抱きしめてくれた。
嗚呼。これで眠れる。
ベッドの中で貴方に抱きしめられた。
すると、幾ら酒を飲んでも眠くなかったのに急に眠くなった。
貴方に抱き締められて私は眠りの世界へと旅立った。
良い夢を見ろよ。ジャンヌ。
貴方が私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
大丈夫。
貴方が傍に居てくれたら私は、幸せな夢しか見ないから。
お休みなさい。飛天様。
まだ夜叉王丸とジャンヌが付き合い始めて間もない話です。




