風の鎖
今回は黒闇天を主人公に書いてみました。
「・・・・・・・・・」
髪を優しく撫でられる感覚で私は目を覚ました。
「・・・・起きたか?」
うっすらと瞳を開けると私の髪をゴツゴツした逞しい指で床に散らばった髪を絡めていた。
貴方様に触れられるだけで私は感じてしまう。
嗚呼、駄目。身体がまた熱くなってしまう。
「・・・・・・・・」
起きた私に自らの唇を重ねてくる貴方様。
「・・・・んっ、・・・・・・・・・・ふっ・・・・・・・・あっ」
貴方様の口付けは私を瞬時に酔わせた。
「・・・・・合いも変わらず男を酔わせる声を出す娘だ」
長い口付けが終わったと思ったら再び唇を奪われる。
最初の時と変わらず貪るように全てを奪うように抵抗を許さず貴方様は私の唇を奪い続ける。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
唇を解放されると銀色の糸が互いの唇を伝い橋が出来た。
「・・・・・飲め」貴方様は私に自身の唾液を飲ませた。
貴方様の唾液は極上の酒よりも美味しい。
「・・・・・んくっ」
唾液を飲み終えると貴方様は私を抱き寄せた。
「・・・・・俺を熱くさせるお前を他の男に、例え神だろうと誰にも渡さない」
血のように濃く真摯に輝く深紅の瞳で私を見つめる貴方様から視線を逸らせなかった。
「・・・・・お前は俺を知っているが、俺はまだ様々な表情、仕草、吐息をするお前を知らない」
「・・・・だから、俺はお前を決して手放さない。嫌だと泣き喚こうと抵抗しようが、お前を傍から放さない。どちらか死んでも手放さない」
貴方様は私を抱き締め髪を撫でた。
「その輝くような金色の瞳を俺だけを見つめろ。その紫陽花のように艶やかな紫の髪を俺だけに触れさせろ」
「・・・・・・・・」
「・・・・・どうした?何も言わないで?」
可笑しそうに首を傾げる貴方様は咽喉の奥で笑った。
「くっ・・・・・・・・この俺に慈悲を請えと?」
違う。違うの。貴方様から私を必要としている言葉を聞けて嬉しいの。
・・・・・・・・・今まで誰にも必要とされていなかったから。
親にも必要とされていなかった私を貴方様は必要としていると言ってくれた。
私にはそれがどんな宝を貰うよりも嬉しいの。
「お前の熱が欲しい。お前の声が欲しい・・・・・・・・・・お前が欲しい」
「お前の瞳が俺を虜にしている間は・・・・・・俺はお前だけの物だ」
嗚呼、貴方様の声が耳元で囁かれ私は骨抜きにされてしまう。
貴方様の声を聞く度に私はもう貴方様無しでは生きられないと実感してしまう。
だから、お願い。
私を手放さないで下さい。
貴方様の腕の中にずっと、永遠に私を閉じ込めて下さい。
私の全ては永遠に貴方様だけの物ですから・・・・・・・・・・・・・
好きな人に必要とされるととても嬉しいものですよね。