74 祭花×マツリカ×茉莉花=アラビアジャスミン
そして時は現在──八月後半、夏休み終了まで秒読みの頃まで戻る。
暑い暑い日差しを受け、華苗は中庭で人を待っていた。まだ朝のそれなりの早い時間──具体的には一限が始まるかどうかと言った頃合いなのに、すでに気温は十分に高く、ただじっとそこで立っているだけでもじんわりと汗が噴き出てくる有様である。
少し耳をすませば朝練をしているのであろう運動部の声が遠くから聞こえてきて、それと合わせるように小鳥が朝の音楽を奏でていた。暑いのはともかくとして、華苗は朝のこの何とも言えない空気が結構好きだったりする。
「……まだかなぁ」
普段はほとんど使わない携帯を取り出し、華苗はごくごく小さなため息をついた。約束の時間まであと十五分ほどもあり、「まだ」もなにも、華苗が早く来すぎていることは誰の目にも明らかだ。それでなおそんな言葉が漏れてしまうのは、ひとえに華苗のせいと言ってもいいだろう。
いや、ある意味では彼のせいでもあるのかもしれない。
この、たまらなくもどかしいような、切なくなってくるような気持ちは何なのだろう。周りのことなんか何も考えられなくなって、ただそのことだけしか考えられなくなって。何時間も経ったと思ったのに、時刻を確認してみれば一分も過ぎていない。
このままでは頭がくらくらして倒れてしまうんじゃないか──そう思ったとき、華苗の耳は誰かが近づいてくる足音を拾った。
「おはよう、八島さん。ごめん、待たせちゃった?」
「……むぅ」
一日千秋の思いで待っていた相手が、朝に相応しいさわやかな笑顔で華苗に笑いかける。しかしながら、華苗はわかりやすくむくれ、くちびるをつんと尖らせた。
「……あ、あれ? もしかして僕、集合時間間違えちゃってた?」
「……忘れてる」
「え、ええ?」
つーん、と華苗はそっぽを向く。もちろん、彼はきちんと約束の時間の十分前にここに到着しているわけで、決して集合時刻を間違えたわけじゃない。華苗がむくれているのは、ひとえに超個人的な理由によるものだったりする。
「──あ」
そんな華苗の態度を見て思い当たることがあったのだろうか。いくらかオロオロしていた彼は、やがて思い出したように声を上げた。
「──おはよう、華苗ちゃん」
「おはよ!」
さっきまでのむくれ顔はどこへやら、華苗は文字通り花が咲くかのような満開の笑みを浮かべた。見る人が見れば、その笑顔が普通の友人に向けるそれとはまったく異なることにすぐに気づけたことだろう。幸か不幸か、その笑顔を向けられた彼自身はそのことに気付いていなかったが。
「時間はぴったりだったよ……か、克哉くん」
ちょっと顔を赤くしながら、華苗もまた彼の名前を呼んだ。人には平気でそういうことをさせたくせに、いざ自分がやるとなるとこうも恥ずかしがるのだからタチが悪い。尤も、以前の華苗なら自分から行動することもなかったはずなので、その点で言えば大きな成長をしているといえるだろう。
「それならよかった。一瞬焦っちゃったよ」
「……そだね」
名前を呼ばれた柊は、特に動揺を見せる様子もない。それがちょっぴり悔しくて、華苗は柊との距離を拳一つ分ほど詰めてから歩きだした。
「今日はアレをやるんだよね?」
「うん。私の方から先輩に頼んでおいたから、問題ないはず」
とりとめもない話をしながら華苗と柊は園芸部の畑へと向かっていく。そう、今更わざわざ述べるまでもないが、華苗と柊が朝から待ち合わせなんてしていたのは、他でもない園芸部に用事があったためだ。決して青春真っ盛りの高校生よろしくデートをしようとしていたわけじゃあない。そもそも今の華苗にそこまでの度胸はない。
不思議な園芸部の不思議な畑は、普通に入れる人とそうでない人がいる。この奇妙な不文律があるからこそ華苗はこうして柊との朝のひと時を楽しむことができるわけで、この時ほど摩訶不思議な畑に感謝したことはない。
「……ん?」
「……おぉ?」
てくてくてくと歩いていけば、やがて畑へと通じる曲がり角が見えてくる。いつもとちょっと違う──微妙な違和感。嗅覚から伝わってくるそれは、華苗の大いなる名残惜しさをどこかへと吹き飛ばし、二人の足をほんのちょっぴりとだけ速くさせた。
「うわぁ……!」
「壮観、だね」
曲がり角のその先。
甘くて不思議な香りを発する白い花が、華苗たちの目の前に広がっていた。
▲▽▲▽▲▽▲▽
華苗たちは文化祭にて、インド風カフェをテーマとした模擬店を出すことが決まっている。販売するものは主にナンであり、これに用いる小麦粉に関しては既に収穫されて準備が整っているといえるだろう。また、ナンのお供に提供されるよっちゃん発案のミートコーンに関しても、他でもない華苗と柊が夏祭り前にトウモロコシの収穫を済ませている。
今回華苗たちが楠にお願いしたのは、残り二つの材料のうちのもう一つ。室内の飾り付けや女子のアクセサリー、さらにはドリンクとして提供するものだった。
「きれいだね……!」
白く小さな可憐な花が、華苗たちの目の前いっぱいに広がっている。よく手入れされた公園のツツジ……とはまたちょっと違うだろうが、ともかくなんとなくそれを連想させる緑の茂みいっぱいに白い花がついていた。
あまりにもたくさん花が咲いているからか、緑の空に白い星が輝いているというよりかは、白い海に緑のボートがひょっこり顔を出している、と言った方がしっくりくるような様である。
「それに、凄く良い匂い……!」
何より特徴的なのは、その芳しい香りだろう。甘い花の香であることは間違いないのだが、どこか神秘的でエキゾチックな感じがする。ずっとこの香りを嗅いでいると懐かしい何かを思い出しそうになり、不思議な異世界へと迷い込んでしまいそうな気分になってくる。
この不思議な感覚は、残念ながら華苗のボキャブラリーでは表現できそうにない。唯一はっきり言えるのは、普通の花の香とは違う、この花特有の神秘的な香りがする、ということだけだ。
そして、そんな白い花畑(?)の真ん中に、とても可憐な花など似合わない色黒のおっかない顔つきをした大男がいた。
「…来たか」
言わずもがな、園芸部部長の楠である。彼は今日もトレードマークの麦わら帽子にオーバーオール姿と言った出で立ちであり、汗をぐっしょりかいていた。しかし、本来なら感じるはずであろう男子高校生特有の男臭さは、この白い神秘的な香りによってすっかり払拭されている。
それほどまでに、この花の香は強いのだろう。まるでこの畑だけ、空気そのものが別種の何かに代わってしまったかのようであった。
「…言われた通り、用意したぞ」
「ありがとうございます! これでまた一歩、作業が進みますよ!」
「…お前たちの所、珍しいものを使うんだな」
「おっと、うちの企画を聞き出そうとしたって、そうはいきませんよ? 先輩が知ってていいのは、この花の名前だけ──!」
なんとなくカッコつけたくなった華苗は、大仰に今日これから収穫する花の名前を宣言した。
「──そう、ジャスミン!」
「…茉莉花だな」
華苗式で言うならばジャスミン。楠式で言うならば茉莉花。さらにより正確に言うならば、アラビアジャスミンこそがこれから収穫する花の名前であり、そして華苗たちの文化祭の企画になくてはならないものである。
「……まつりか?」
「…ジャスミンにはいろいろな種類がある。マダガスカルジャスミンやシルクジャスミンなんかがそうだ。…だが、ジャスミンと言う名がついているだけで実際はジャスミンの仲間でないものも多い。それどころか、有毒のものさえある」
濁りきった光の無い瞳で虚空を見つめながら、楠は続ける。
「…一方、茉莉花と言えばアラビアジャスミンの和名だ。そして、お前が俺に頼んだであろう【一般的なジャスミン】もおそらくはこれになるだろう。…仮にも園芸部なんだから、変に混同しないためにもきちんとした名前、あるいは間違えようのない名前を使うべきだ」
「……克哉くん、先輩がいじめる」
「あ、あはは……」
楠のありがたいうんちくを無視して、いつぞやのように華苗は柊に甘えた。やっぱり苦笑しながら頭をポンポンとしてくれたので、それでいいことにする。
自分の話がすっかり無駄になったというのに、楠の表情にはまるで変化が見られない。もはや慣れっこというか、園芸以外の些事にはほとんど興味が無いのだろう。その辺はもう、華苗も楠もお互いにわかりきっている。伊達に先輩後輩関係を半年近く続けているわけじゃあないのだ。
「よう、ちょいと遅れちまったかねェ?」
「わぁ! すっごく良い匂い!」
さて、そんな感じで華苗たちが戯れていたところ、不思議な響きを持つ声と明るく元気の良い声が後ろからかけられた。振り返ったそこには、やっぱり今日も作務衣姿で白髪頭のおじいちゃんと、おじいちゃんお手製であろう麦わら帽子姿のシャリィがにこにこと笑いながら立っている。
「おじいちゃん! もしかして、お手伝いしに来てくれたんですか?」
「そんなとこさね。……実は、この子が一面の花畑でお花摘みしたいって言いだしてねェ。せっかくだからとご一緒させてもらうことにしたのさ」
「…これだけの量だ。人手があって困ることはないだろ?」
「あたしとしても、新しいお花が欲しかったところなんですよ!」
もちろん華苗に否はない。それに、この二人なら文化祭戦略の重要機密を漏らすようなことはないだろう。おじいちゃんはもとより、シャリィに至っては文化祭の関係者ですらないのだから。
「…さぁ、始めるぞ」
人数も揃ったところで、早速収穫作業が始まる……と思いきや、楠はその場にどかりと腰を下ろす。そして、顎と目だけで華苗たちにも座るように促した。
「……やっぱり育て方、覚えなきゃダメなんですか?」
「…育てられない園芸部なぞ話にならん」
「技術の継承は重要なことさね。それに、背景を知っているからこそわかることもあるだろう?」
そう言われてしまうと言い返すことは出来ない。華苗はおとなしく柊の隣に腰を下ろし、シャリィを腕の中に収めながら、神秘的な香りにその身を任せた。
アラビアジャスミンの植え付けは春から初夏にかけて行われる。アラビアジャスミンは元々南の国の方の植物であり、寒さにはめっぽう弱いがためにこの時期に行われるのだ。鉢植えで育てることも直接地面に植えて育てることもできるが、後者の場合は多くの植物と同じく、水はけと風の通りがよく、日当たりが良い場所に植えることが推奨されている。
また、アラビアジャスミンは種がどうやってできるのかよくわかっていないという謎の性質を持っている。そのため、たとえどんなに大きなホームセンターや園芸店に行っても種を入手することは出来ない。
「……た、種が存在しない? そんなことってあるんですか?」
「…存在しないんじゃなくて、誰も見たことが無いってだけだ。少なくとも、ものすごく結実し辛いのは確かだな」
「そんなのどっちでも同じじゃないですか! それで、このジャスミンはどうやって増やしたんです?」
「…方法は他にもあるだろ?」
「まぁ、接ぎ木だろうねェ」
「…言わないでくださいよ」
おじいちゃんが言った通り、アラビアジャスミンは接ぎ木で増やすことが知られている。一から育てたい場合、園芸店に行けば普通に苗木が売ってあることだろう。種が無くとも育てる術などたくさんあるのだ。げに恐ろしき植物の生命力である。
ちなみに苗木を植えるときは、それよりも一回り大きめの穴を掘り、そこにそっと入れてから土をかぶせる方法が良いとされている。これはジャスミンに限った話ではないが、根っこを痛ませないためにこういった方法が取られるのだ。
わざわざ確認する事でもないだろうが、もし植え付けの際に根を痛めてしまうとその株の生育は悪くなり、最悪の場合枯れてしまうことがある。どんな植物でも、植え付け直後はものすごくデリケートなのだ。
さて、そんな感じで植え付けに成功したのなら、あとは水をやりながら花を咲くのを待てばよい。鉢植えに植えた場合も地面に植えた場合も、土の表面が乾いてきたのならたっぷりと灌水してあげるべきだろう。
もちろん、鉢植えか地植えか、夏か冬かで水やりの頻度や条件は変わってくるが、いずれにせよ土の極度の乾燥を防ぐということと、水のやり過ぎは禁物だということを押さえておけば大きな問題はないはずだ。
「そーいえば、剪定とかってやらないんですか?」
「…アラビアジャスミンの場合、剪定をするのは開花後だ」
「さっきの、接ぎ木でしたっけ。その準備とかは必要ないんですか? なんとなくですけど、若いうちのほうが生命力がありそうな気がしますし」
「…それも開花後の話だな」
「あれれ? そうするともしかして、植え付けた後って……」
「何もやることが無い、ってことだねェ」
「うそぉ……!?」
華苗はすっかり忘れ去ってしまっているが、普通の園芸で観賞用の植物を育てるのだとしたら、だいたいこんなものである。
もちろん病害虫に気を付けたり多少の手入れをする必要があるだろうが、わざわざ自分の手で人工授粉をしたり、難しい計算に基づいて剪定したり、ピートモスの準備や袋かけ、トゲを落としたりする必要なんてないことの方が多いのだ。
華苗が今までやってきた園芸は農業に片足を突っ込んでいることを、華苗は知る由もない。
「…ああ、一つだけ注意しないといけないことがあるな」
「注意、ですか?」
「…アラビアジャスミンは南国の植物だ。育て方も概ね南国の植物に準じ、寒さに弱く、高温やそれなりの湿気や水、強い日差しを好む」
ちら、と楠は眩しそうに上を見上げる。まだ午前中の早い時間であるために太陽は少々傾いた場所にあるが、それでなお強い日差しを放っており、華苗たちの肌にじんわりと汗を拭き出させた。
「楠のおにーちゃん、今ってまさに南国の植物が好きそうな気候だと思うんですけど、まだ何かあるんですか?」
「…南国の植物も予想外だったんだろうなぁ」
「はい?」
「…今の時期だと日差しが強すぎて、葉焼けを起こす」
「……はやけ?」
「す、すごく不穏な言葉ですね……」
葉焼けとは文字通り、あまりに強すぎる直射日光によって葉っぱが焼けて変色してしまうことだ。イメージ的には人間が日焼けするのと同じと言っていいが、葉っぱの場合、人間と違って葉焼けを起こすと再生せず、その葉っぱは完全にダメになってしまう。
当然、葉焼けしたらそれだけ株にダメージが入る。成長が鈍くなることはもちろん、最悪の場合は本体そのものがダメになってしまうかもしれない。
「……えっ? 日本の夏ってそんなに強力なんですか?」
「…この時間でさえこの暑さだ。午後はもっとひどくなる。…その辛さは、他でもない俺たち自身がよく知っているだろ?」
「あー、たしかにこっちって別格の暑さですよねぇ……。あたしの国だと、暑くてもここまで不快な感じはしませんもん。こう、こっちの夏はお日様がギラギラしていて、おまけにムシムシしているんですよ」
ちなみに、日差しが強いと葉焼けを起こすが、日差しが弱いと日照不足でやっぱり葉っぱが変色する。どちらの場合にしても、鉢植えの場合はこまめに場所を変えるといった対策が必要になるだろう。地植えの場合、素直に諦めるか、適当な日よけを作るほかない。
「…とはいえ、日差しが無いよりかはあったほうがいいだろう。お日様の光ばかりは、俺たちじゃどうにもならん」
「自然の力は偉大ってやつさね」
さてさて、これでアラビアジャスミンの育成についてはほとんど終わりだ。植え付け時期にもよるが、柔らかい春の太陽が情熱的な夏の太陽になるころには白く可憐な花は満開となり、神秘的でエキゾチックな甘い香りで育ててくれた恩を返してくれることだろう。
説明はもうすべて終わったと言わんばかりに、楠はすっくと立ちあがる。華苗たちもまた釣られるように立ち上がり、白い香りの海へと相対した。
「…用途を聞かされていないんだが、どうするんだ?」
「えーっとぉ……」
ちら、と柊は華苗のほうを見つめてくる。華苗はにっこりと柊に笑い返し、ちょいちょいとおじいちゃんの作務衣の裾を引っ張った。どうしたんだい、とおじいちゃんが頭を傾けてくれたのをいいことに、耳に手を当てて内緒話の体勢に入る。
「ジャスミンの花飾りを作りたいのと、出来ればジャスミンティーの材料にもしたいんですけど……枝ごと採ったほうがいいんですかね?」
「ああ、それなら直接花を摘めばいいさね」
「じいじ、観賞用に頂く場合は?」
「その場合は枝ごと、だろうねェ。ああ、せっかくだし花そのものも分けてもらおうかね」
「だって、克哉くん!」
「あ、あはは……」
さて、そうと決まれば話は早い。華苗と柊、そしてシャリィは横一列に並び、白い香りの海の中へと分け入っていく。畑の外よりも甘い香りはよりいっそう強くなっており、目の前がくらくらしてきそうなほどだ。
ちょい、と華苗は手頃なものに目を付ける。小さく可愛らしい花は何となく上等の絹を思わせるように柔らかく、花特有の艶のようなものがある。純白、といった表現がここまでしっくりくるものも珍しいだろう。
そして、やっぱり神秘的な甘い匂いがすごい。
「おお……!」
されど、花は花だ。ちょっと力を入れて引っ張れば、それはぷつりと小さな音を立て、いとも簡単に華苗の手のひらの上で産声を上げた。白い花びらはどちらかと言えば細長くしゅっとしており、これぞジャスミン! と全身で主張しているかのような形をしている。いったいどうしてこの小さなお星さまからここまで強い香りが発せられるのか、華苗には全く見当がつかない。
「あ、そーれ♪」
シャリィはシャリィでパチンパチンと切り取っている。みるみる間に手はジャスミンでいっぱいになり、花と戯れる子供のような──実際その通りなのだが──微笑ましい姿になっていた。
これは負けていられない、と華苗も収穫スピードを上げていく。小さめの籠に取っては入れて、取っては入れて。籠の中が白で埋まっていくほどに神秘的な香りは強くなり、まるで自分が香水になったかのような気分にさせてくれた。
「なんか、花を収穫するのって不思議な気分だ。どうしても花は見るものってイメージがあるんだよね」
「克哉くん、ウチで収穫しないものを育てるってこと自体が珍しいよ。ううん、それどころか花を育てるのだってすごく久しぶりなんだから。園芸部なのに!」
「そういえば、いっつも食べられるものを育ててるって話だっけ……華苗ちゃんも大変なんだなぁ」
そんな雑談をしながらも、華苗も柊も手を休めてはいない。一つ一つ丁寧に花を摘み取り、どんどんと小さな籠をいっぱいにしていく。
「じいじ、見てください! こぉんなにたくさん採れましたよ!」
「ふぅむ……本当にいい香りだ。やっぱりこの時間のが一番だねェ」
「あれれ? もしかして、時間帯によって花の香りの強さって違うんですか」
「正確には違うんだがね──」
実は、アラビアジャスミンの開花時間は一般的なそれと比べてごく短いことが知られている。花が咲くのは夜であるとされ、特に香りが強く、素晴らしいものは翌日の昼までには落ちてしまうとまで言われている。
それに負けないくらいたくさんの花を咲かせ、また開花時期もそれなりに長いことが知られているが、一つ一つの花の寿命はびっくりするくらいに短いのだ。
「一夜草とはスミレの異名だが、あえて言うなら茉莉花は一夜花ってところかねェ。こんなに可愛らしい花なのに、あっという間に儚く散ってしまうのさ」
「へぇ……! でもでも、なんかそれってすっごくロマンチックです!」
「実が着いたところを見ないと言う話も、もしかしたらこの開花時間の短さが理由なのかもしれんね」
ぷちぷち、ぷちぷち。
遠くでそんな会話を聞きながら、華苗と柊は黙々と茉莉花を摘んでいく。いい加減この香りに鼻が慣れると思ったのに、一向にその気配は訪れない。それだけこの香りが強く、素晴らしいことだという証明だろう。
「…何に使うか知らんが、ずいぶん摘むんだな?」
「そりゃ、文化祭で使うんですもん。たくさん必要になるんですよ。……そういう先輩こそ、摘んでいかないんですか?」
「…煮ても焼いてもジャスミンは食えん。ちょっとあれば十分だ」
これだからロマンのわからない男はダメだ、と華苗は心の中で盛大にため息をついた。たとえジャスミンが直接食べられないにしても、花を見て愛でられることがどれだけ素晴らしいことなのか、この偏屈な唐変木はまるでわかっていない。
このうっとりする香りに身を任せ、見渡す限りの白い花の海に身を任せる。なんてステキでロマンティックなのだろう。これ以上に女の子の夢を体現しているものがあるだろうか。いや、ない。
「じゃ、そこでまごころ供給機にでもなっててください。ほら、摘んだところだけ花が無くなっちゃって、ちょっと見栄えが悪くなっちゃってますし」
「…………」
「きゃん!?」
楠は無言で華苗の麦わら帽子にデコピンを放ち、そして近くのジャスミンを軽く撫でる。華苗の小さな悲鳴と一緒に何か暖かな風のようなものがそこに流れ、瞬く間に新たなジャスミンの花が咲き乱れた。
「暴力反対!」
「…暴力ではない。指導だ」
そんなこんなでアラビアジャスミンの収穫は続いていく。小一時間も経つころにはみんながすっかり満足できるほどの量が集まった。楠がまごころを供給し続けたおかげでその花はまるで減らした様子を見せず、今なお壮大な景観を保っている。
よくよく見れば、地面に結構な量の花が落ちていることに気付けるだろう。ジャスミンの花はとにかく落ちやすく、いつのまにか地面を白く染め上げることも珍しくない。とはいえ、これほどまでに見事な花のカーペットを見られるのは、まごころあふれるこの園芸部だけの特権と言っても過言じゃない。
▲▽▲▽▲▽▲▽
「さて、それじゃあ今日の本命に行っちゃいますよぉ……!」
全ての作業が終了し、木漏れ日の下で休憩をしていたところ、シャリィが唐突にそのようなことを言い出した。傍らには先程摘んだたくさんのアラビアジャスミンが入った籠があり、もう片方の手には何やら意味ありげな工作道具のようなもの──糸だの紐だのが握られている。
おじいちゃん特製のラムネをごくりと飲みほした華苗は、少しの期待と不安を込めてシャリィに尋ねた。
「本命、ってなぁに?」
「あたし、小さいころからこうやってみんなでお花を摘んだり、花飾りを作って遊ぶのが夢だったんです!」
「へ? 小さいころから?」
「いやぁ、いろいろあって、なんだかんだでこうやってのんびり過ごせたことってないんですよね。……昔はお花のたくさんあるステキな場所に住んでいたらしいんですけど、あたしにはその記憶がないんですよ」
「それって……」
「ま、本当に小さいころの話らしいですし、物心ついてからお花畑で遊んでいないってのは確かなんです」
「……」
なんだか深い事情がありそうな気配がしたので、華苗も柊も、もちろん楠もそれ以上言及することはしない。それよりも、この可愛らしい妹のような娘の、ほんの小さなお願いをなんとしてでも叶えてあげようという気持ちになった。
「そんなわけで、一緒に遊んでほしいんですけど……ダメですか?」
「ダメなわけないよ!」
なんとなく、華苗はシャリィをぎゅっと抱きしめた。柊もまた、笑顔でシャリィの頭を撫でている。おじいちゃんがそんな様子をにこにこと笑いながら見つめ、楠は静かに「うちの花畑で良いなら、いつでも来い」とつぶやいた。
「えへへ、ありがとうございます! ……ところで、華苗おねーちゃんたちは花飾りの作り方、知ってます? とりあえずそれっぽいものを用意しては来たんですけど、あたし、知らないんですよね」
「うーん……シロツメクサでなら花冠を作れるんだけど……」
華苗だって立派な女の子だ。小学生の時分には公園でお花を摘み、花冠にして遊んだことが何回もある。最初のうちはたどたどしい手つきだったし、最後の固定方法がわからなくて延々と長く長く編み続けていたりもしたものの、今ではしっかりきちんとしたものを編み上げることができる。
が、アラビアジャスミンとシロツメクサでは勝手が違う。シロツメクサはちゃんと茎まであって編み込む余裕があったのに対し、このジャスミンは花だけしかない。そもそも長く柔らかな茎を持つわけでもないので、シロツメクサと同じように扱うのは無理だろう。
「おじいちゃん、知ってます?」
「ふむ。こいつの場合は直接花冠を作ったりすることは難しい……が、道具さえあればきちんとしたものが作れるさね」
困ったときのおじいちゃんだよりである。おじいちゃんは特に躊躇いを見せる様子もなくシャリィから紐を受け取ると、自分のポケットから針のような細長い棒を取り出した。
「ジャスミンの花飾り……本場で作られるそれにはいくつか種類があるが、とりあえず簡単なやつをやってみようかね」
そう言っておじいちゃんは籠の中のジャスミンを一つだけ手に取った。いつのまにやら棒のお尻には紐が括り付けられており、おじいちゃんは慣れた手つきでそれにはなびらを刺していく。一つ、二つ、三つ……そして六つと丁寧に刺した後は、棒をぴっと引っ張り、紐をきゅっと締めた。
「ほら、だいたいこんなかんじだ」
「おぉ……!」
おじいちゃんの手から、紐で括られたジャスミンの花がぷらんぷらんと揺られている。白い花は隙間なく並んでおり、まだまだ長さはそんなにないとはいえ、見た目はなかなか華やかだ。これだけでもう、立派な花飾りとして使うことができるだろう。
「基本的にはこうやって紐を通していくだけさね。一応これはもっとも単純な形で、花数珠とも呼ばれているらしい。これくらいの長さだと、髪飾りに使うよりかは自動車のバッグミラーなんかに飾られていることが多いみたいだねェ」
「ということは、もっと長く作ればいいってことですか?」
「ああ。用途によって作り分けるほうがいいだろうね。もちろん、花の間隔や紐の通し方、その他いろんな工夫次第で別の仕上がりを目指すことができるんだが……」
「まずは基本、ですね!」
やり方が分かったのなら、やらない道理はない。早速華苗も紐と棒を貸してもらい、おじいちゃんがやっていたように飾りを作ってみることにする。
「えーと……花のどの辺に刺していけばいいんですか?」
「こう、最初にはなびらの一枚に通して、そこから丈夫な萼へと通すのさ。見栄えを気にするなら、こうやってなるべく花以外の所がみえないようにしたほうがいいだろう」
「うーん、意外と難しい……」
おじいちゃんがひょいひょいやっていたので簡単だと思ったのだが、どうしてなかなかこれが難しい。はなびらはぺらぺらしていて扱いにくいし、無理にやろうとするとバラバラになってしまう。うまくいい具合の場所を探すのも難しければ、そこにキレイに刺すのも一苦労。ようやくうまくいったと思っても、紐を引っ張った時に形が不格好になってしまうことだってある。
それでなお、頑張って頑張って綺麗にできたと思っても、まだまだいくつも花を通さなくてはならない。
「いいかい、こうやって……」
おじいちゃんは再び華苗たちに見せつけるようにして花に紐を通していく。やっぱり手つきは熟練のそれで、今までずっとそれで食べてきたと言われても簡単に信じられるほどだ。いくら似たような作業を何度もし、また器用だからと言っても、これはさすがにズルいんじゃないかと華苗は心の中でため息をつく。
「……こんなかんじ、かな?」
「そうそう。なかなかうまいじゃあないか」
「……なるほど、編むってよりかは裁縫と同じ要領ってことなのかな」
とはいえ、華苗だって伊達に園芸部員をしているわけじゃあない。何度かやっているうちには不格好ながらもそれらしいことができるようになっていく。究極的には花に糸を通していくだけなので、一度コツをつかむことさえ出来れば、そこまで手こずるほどでもない。
ちくちくちく、ちくちくちく。
「どうだろ?」
「わぁ! とってもステキですよ!」
三十センチほど作ったところで、一度頭に当てて軽く巻いてみる。シャリィの言葉を信じるならば、それなりにまともに出来ているのだろう。ここに鏡が無いのが実に残念だと思わずにはいられない。
「おねーちゃん、あたしのはどうですか?」
「シャリィちゃんのもばっちりだよ!」
シャリィもまた、作りかけのそれを頭に乗せて微笑んできた。やはり顔立ちの良い外国人の少女だからか、たったそれだけのことなのに随分と様になっている。もしこの様子を絵画に描くか、あるいはお高いカメラで写真を撮ったのなら、コンクールで金賞を取ることだってできるだろう。
「……うーん、なんか見栄えが悪いなあ。やっぱり女の子には敵うはずもないか」
一方、柊が作ったそれは華苗たちのにくらべていくらか貧相な見た目をしていた。全体が均一でないし、編み込む時に失敗したのだろうか、少し花弁がボロボロになってしまっている。ついでに言えば疎になっている部分も多い。
「克哉くんのは、なんかボリュームが足りないような? もっとケチらないでいっぱいお花を使えばいいんじゃない?」
「……なんかもったいなく思えちゃって」
「ふむ……。確かに、この茉莉花は一重咲きで小さめだからねェ。八重咲きを使うんだったらそれでもいいかもしれんが……」
「やえさき?」
「…同じアラビアジャスミンでも、その花の形にいくつか種類がある。俺たちが今使っているのは一重咲き……はなびらが重なり合っていない、平べったい奴だな」
「八重咲きってのはもっと何重にもはなびらが重なっている奴でね。茉莉花の場合だと……もっと丸っこい、どちらかと言うとバラとか牡丹みたいなボリュームのある見た目をしているのさ」
茉莉花にはさらに一重咲きと八重咲きの中間である、半八重咲きと呼ばれる種類のものがある。単純なようで、意外と奥は深いのだ。
それから三人は、和気あいあいと喋りながらひたすら花飾りを作っていく。収穫してしばらく経つというのにいまだにその神秘的な甘い香りは途絶えることはなく、夏の暑ささえ吹っ飛ばしてくれるかのようであった。もしもうちょっと気温が穏やかであったのなら、まさにシャリィが夢見てた「お花畑での楽しいひと時」と言っても過言じゃなかっただろう。
そして──
「できた!」
とうとう、三つの花の冠が完成する。綺麗に丁寧に作られているのがシャリィのもの、いくらか不格好なのが柊のもの、これと言って特徴が無く、コメントに困る平凡な出来栄えのものが華苗が作ったものだ。
「じいじ、じいじ! はい、どうぞ!」
「おや、ありがとねェ」
シャリィは自分が作ったそれを、何のためらいもなくおじいちゃんの頭に乗せた。おじいちゃんもまた、白く可憐な花の花冠……という、男子が着けるにしては聊か華やか過ぎるそれを、特に気にした様子もなく受け入れる。
「ああ……本当にいい香りだ。たまにはこういうのも悪くないねェ」
花冠を身に着け愛おしそうにシャリィの頭を撫でる姿は、その妙に中性的な容姿も相まって、おじいちゃんというよりもむしろおばあちゃんの様に見えてくる。この場面だけを切り取って『祖母と孫の戯れだ』と言われたら、きっとほとんどの人がそれを信じてしまうことだろう。
「シャリィちゃん、作ったのあげちゃってよかったの?」
「んもう! 柊のおにーちゃんはわかってませんねぇ! こういうのはお互いに作ってあげて、載せ合いっこするのがロマンってやつじゃないですか!」
「そ、そうなの?」
「そーですよ!」
ぱちん、とシャリィが華苗に向かってウィンクを──両目を瞑ってしまっているが──してくる。その意図を瞬時に察した華苗はちょちょいと腰をずらしてシャリィに近づき、つついと傾けられたシャリィの頭に手作りの花冠を載せてあげた。
「うん、ばっちり! とってもかわいいよ、シャリィちゃん!」
「えへへ、ありがとうございます!」
シャリィは嬉しそうににこにこ笑い、そして面白そうに柊を見つめた。
「さっ、次は柊のおにーちゃんの番ですよ?」
「……えっ?」
作った花冠は三つ。シャリィのものはおじいちゃんの頭の上に、華苗のものはシャリィの頭の上にある。つまり、最後に残ったのは柊の花冠だけである。
そして、残った頭も一つしかない。
「……克哉、くん?」
「で、ですよねー」
華苗は柊を見つめた。なんだか体全体が熱いし心臓もドキドキしてくるが、これは外で作業をしていたがゆえである。決して変な意味なんかない。
気恥かしく感じながらも頭を下げると、だんだんとその神秘的な甘い香りが近づいてくるのが分かった。近くではシャリィがきゃーきゃーとはしゃいでおり、それがよりいっそう、華苗の心拍数を押し上げていく。
そして。
「はい、どうぞ」
ぽすん、と柔らかい感覚。何かが頭に触れて、ちょっとだけくすぐったい。
「……うん、とっても似合ってるよ」
「へへ、ありがと!」
頬を真っ赤に染めながら、華苗はにっこりとほほ笑んだ。彼の顔なんてまともに見られないけれど、それでもこの感謝の気持ちは本物だ。大切な宝物に触れるかのようにそっとその冠に触れ、そして再び誰もが見とれるような蕩けるような笑みを自然と浮かべた。
愛おしそうに花冠に触れる姿を見て、柊が何を感じたのか。幸か不幸か、すっかりそれに夢中になっている華苗はそのことに気付くことすらできなかった。
「きゃあ! とってもロマンチック! やっぱり花冠はこうじゃないといけませんよね!」
「……なんか、思ったよりあっさりしていたねェ。もうちっとこう、面白いものが見られると思ったんだが」
「んもう! じいじってば、そんな性格の悪いことは言うもんじゃないですよー?」
「おや、人聞きの悪い。数少ない楽しみなんだからいいじゃあないか」
そんな二人の会話も、今の華苗たちには届かない。言葉に出来ない嬉しさと気恥ずかしさでいっぱいで、周りのことなど気にしていられないのだ。
「うちのおにーさんの場合、絶対こういうことしてくれないですもんねぇ……」
「そうかい? 頼めばやってくれそうじゃあないか」
「……おにーさんの場合、まずこの花冠が値打ちものかどうかって調べますよ。で、そのまま興味を失くしてお終いです」
はぁ、とシャリィがため息をつく。その姿が簡単に想像できたのだろうか、おじいちゃんはふと、思いついたかのように話題をそらしにかかった。
「……そうだ、せっかくだからみんなお揃いにしようじゃあないか。華苗ちゃん、私が作ったので悪いが、克哉の頭にも載せてやってくれんかね?」
「……うんっ!」
「ええ!? 僕も着けるんですか!?」
「……私からじゃ、イヤ?」
「い、嫌とか嫌じゃないとかじゃなくて……男が着けるものじゃないでしょう?」
「私だって着けているじゃあないか。恥ずかしがることなんてないさね」
「……だめ?」
「うっ……!」
上目使いで見つめられてしまっては、柊に断れるはずもない。華苗はちょっぴり背伸びして、真っ赤になって恥ずかしがる柊の頭に綺麗な花冠を載せてみる。
男子高校生の頭の上にお花の髪飾りがあるのはちょっとへんてこだったけれど、とってもいい香りがして、一緒におままごとをしているような、懐かしくも楽しい気分になった。
「おお、良く似合ってるじゃあないか!」
「……うう、クラスの連中に見られないようにしないと」
「えー? 可愛くてステキですよ?」
「ねー?」
「華苗ちゃん、言っとくけどいろんな意味ですごく恥ずかしいんだからね……!」
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こうして、華苗たちのアラビアジャスミン収穫は終わりを告げる。その日は一日中、校門を出るその瞬間まで華苗が花冠を身に着けていたことは言うまでもない。少々子供っぽいと思いながらも、華苗はどうしても、一秒でも長くそれを着けていたかったのである。
良い匂いがするから、と言い訳のようにはにかむ華苗は、それはもう可愛らしい姿であったらしい。
また、余談ではあるが、華苗たちが花冠を作っている間ずっと黙り込んでいた楠も、実はさりげなくせっせと手を動かして花冠を作っていたりする。
『誰かにあげるんですか?』とのシャリィの問いに、楠は『大切な二人のために作るのも悪くないと思った』と答えた。華苗とシャリィが楠に片思いをしている二人を思い出し、色めきだったのは書くまでもない。
その後、頭に花冠をつけたあやめさんとひぎりさんが、機嫌よく畑を歩く姿が目撃されたそうな。
ちなみに。
インドの方では結婚式の際、新郎新婦がアラビアジャスミンで全身を飾り立てることが珍しくないらしい。また、新郎新婦がそれぞれの花飾りを交換して着け合う、といった演出もよくあるのだとか。
そんなアラビアジャスミンの花言葉は【純真無垢】、【愛嬌】、【優美】。
──そして、【あなたについていきます】、【あなたは私のもの】である。
アラビアジャスミンの種、近くのホームセンターでは見たことないし、ググっても全然見つからないし、どこを見ても『接ぎ木で増やす』、『苗を購入する』、『実が着いたところを見たことが無い』、『実がなるのかどうか、種ができるのかどうか、できたとしてそれから増やせるのか不明』……なんて記述でいっぱいなんだけど、なんか一つだけ種を20粒も売っているところをネットで見つけちゃった。【在庫切れ】になってたけれど……ううむ。
最後に。
アラビアジャスミンの花言葉は、他にも【好色】、【官能的】があったりします。いくらなんでも他の花言葉とのギャップ、激しすぎません?




