66 Congregate on the top of wayward palma!
待たせたな……!
三作同時更新。
「むぅ……」
「おいおい、そんなに膨れるな。ちょっとした冗談じゃないか」
「…その通りだ」
エリィがびっくりするほどおいしそうに焼きトウモロコシを食べ、そして楠と二人掛かりで華苗をからかってしばらく。ここら一帯の人間はみんなトウモロコシを堪能したのか、さすがに客足もいくらか落ち着いてきたころ。
提灯の明かりが幻想的に灯るさなか、華苗はその子供らしいぷにぷにの頬を丸く膨らませて、不機嫌状態を可愛らしく表現していた。
華苗の乙女心はピュアなのだ。そりゃあ、そういうことだって考えなくもないし、あの時すごくドキドキしたのも事実だし、ゆくゆくはそういう感じになれたらと思わずにいられないが、それとこれとは話が別なのである。
「むぅ……」
「…意外としつこいな」
「先輩には、一生かかってもわからないでしょうね!」
「……」
これだからロマンのわからない不愛想な仏頂面は困る。エリィのほうはまだいいのだ。こう、女の子っぽい会話は華苗の憧れているものでもあるし、頼れるおねえさんみたいな感じがするから、こういう繋がりがあればいざってときに相談することだってできる。
が、よりにもよって楠に、鈍感を通り越して耳に鉛玉でも詰まっているじゃあないか、実は人間じゃなくて機械なんじゃあないかってくらいに女子の気持ちに気づかない楠にからかわれるのは、華苗の乙女としてのプライドが許さない。まったく同じように青梅たちとのことをからかってやろうかとさえ、華苗は思う。
──尤も、からかったところで楠は動じないし、青梅たちもただ喜ぶだけである。そして、華苗の乙女としての経験値は、小学生のそれと大差ない。むしろ、最近の小学生のほうがよほど華苗よりも大人っぽい恋愛をしていることだろう。
「なぁ、クスノキ。私が言うのもなんだが、そろそろカナエを解放してやってくれないか? 客も引いてきたし、なんとかなるだろ? お祭りなんだ、冗談抜きに、二人で遊ぶ時間があってもいいじゃないか」
「エリィさぁん……!」
こんなにおめかししてるしな、とエリィは華苗の肩をポンポンと叩く。思った通り、これだからオトナのおねえさんは侮れない。たとえそれが華苗のご機嫌取りだったとしても、この際どうでもいいと華苗は心の中でガッツポーズをとった。
「…元より、そのつもりではあった」
意外なことに、楠はこれをすんなりと了承する。楠自身、もともと華苗の手を借りずに屋台をするつもりであったわけで、先程の言葉通り、『遊んでいても構わなかった』のである。
「あら、じゃあ楠くんも遊びに行って来たら? このあとは先生が引き継ぐから、心配しなくても大丈夫よ」
「…お願いします。実は、俺もちょっとデートの予定がありまして……」
「「「えっ」」」
楠が深空先生に返した言葉に、その場にいた三人が固まる。よもやこの色黒の不愛想の口からそんな浮ついた言葉が出てくるなど、誰が想像しただろうか。
「…まぁ、青梅先輩と双葉先輩と一緒に祭りをめぐるってだけなんだが」
「それ、普通にデートよ! しかもものすごく羨ましい感じの!」
「なんなんだ!? なんでみんなそんなに浮ついてるんだ!? ちょっと詳しく教えろよ! なんでお前たちみんな恋人とお祭り巡っているんだよ!?」
深空先生とエリィが、声を大きくして楠に詰め寄っていた。エリィに至っては、なんかいつもの頼れる余裕がすっかりなくなっている。きっと大人の女の人はいろいろ大変なんだなと、華苗はそう思うことにした。
そんなことより、せっかく許可をもらったのだから、さっさとみんなの元に戻らなくてはならない。こんなところで油を売っていたら、お祭りなんてあっという間に終わってしまうのだから。
「あの森の時から、ずっと気になっていたんだ。お前、ナギサとシオリとはどうなんだ?」
「…意外と食いつきますね」
「いいじゃないか。減るもんじゃないし」
楠たちがしゃべっている間にフェードアウトしてしまおうと、華苗は走りだそうとした──まさにその時だった。
『迷子だ! 迷子が出たぞぉぉぉぉ!』
『あっちで迷子が出たってよぉ──ッ!』
『みんな聞けぇぇぇぇい! 迷子が出たってぇぇぇぇ!』
『どこだ!? 場所はどこだぁぁぁぁぁ!?』
『特徴教えろぉぉぉぉぉ!』
『作業中断ッ! 迷子を捜せッ!』
「ひゃあっ!?」
突如響いた、大きな叫び声。まるで敷地内全体まで届いたのでは、と思えるくらいに周囲にこだまし、華苗の小さな体を揺さぶる。
しかもその上、叫んでいる人間はひとりじゃない。男も女も、子供も大人もいる。時折誰かが何かを叫ぶと、それに呼応するように──まさに波紋が伝わるように、その内容が駆け巡っていく。
「な、なにこれ……!?」
「……新手の幻惑魔法か?」
エリィが困惑する華苗の手をサッと取り、何かから守るかのように抱き締めた。先程とは明らかに違う雰囲気と、規則性なく叫びだす人たちを見て、警戒心をあらわにしている。なかなかの安心感だと、抱き締められた華苗はぼんやりと思った。
「…今年も出たのか」
「起きなかった年ってないわよね」
しかし、楠と深空先生はこんな異常な状況だというのに落ち着き払っている。しかも、なにやらこの現象について知っているらしい。語る様はまるで風物詩でも見ているかのようである。
「せ、先輩。これなんなんですか?」
「…聞いての通りだ」
『青いシャツと黒いズボンだぞぉぉぉぉ!』
『そんだけじゃわからねぇぇぇ!』
『青い迷子がいるってよぉぉぉぉ!』
話している間に新たな情報が出た。青いシャツと黒いズボンの迷子が出たらしい。そんなこと、華苗にだってわかりきっている。
問題なのは、どうしてそれでこの場にいる多数の人間が叫んでいるかであるのだ。相変わらず、楠は説明が短い。
「…実はな」
なんでも、この島祭には例年多くの迷子が出るそうだ。人が多くてはぐれやすいのもさることながら、歩くのに問題ないとはいえ提灯の明かりしかないために、小さな子供がフラフラと歩くと見失ってしまいやすいらしい。
当然、本来であるならば子供は泣きわめき、それを見た大人が迷子センターやその類に連れていくことで事態は解決するのだが、この園島西高校はちょっとだけ普通じゃなかった。
「…どうせほとんど身内なんだ。声をあげたほうが手っ取り早い」
そう、この祭の参加者の大半は園島西高校の生徒、および関係者なのである。そして、彼らは普段から非情にアナログな手段……良く言えば、人と人との触れ合いを意識して連絡を取り合っている。
つまり、ちょっと声をあげればみんながそれに気づくのである。
いわば、祭の参加者そのものが係員のようなものなのだ。一人で泣いている子供がいればほったらかす理由がない……というか我先に保護しようとするし、校門から勝手に出ようとする子供がいれば周りにいる誰かが絶対に止める。警備の係がいなくとも、空手道部や柔道部など、腕に覚えのある一人一人がその意識をもって、祭りを楽しみながら会場を警備している。
そんな彼らなのだ、迷子を捜すのに大声をあげて協力を仰ぐという案を思いついたのは、ある意味当然なのかもしれない。
「マイクがまだない時代、ある一人の生徒がそうやって大声をあげて、祭に参加していた生徒たちが全員で協力して保護者を探したのが始まりみたい。それ以降、これが伝統になったとか。迷子センターが無くても迷子が見つかるし、それにこんなことをするお祭りなんて他にないから、【島祭】は『再会の祭』なんて呼ばれていたりするわね」
「…今じゃ名物扱いされているな」
「そりゃ名物にもなるでしょうよ……」
「ん? こっちのスタンダードじゃないのか?」
「断じて違います。うちがちょっと特殊なだけです」
最近では、口コミでこれを聞いて祭にやってくる人間もいるらしい。さらに、この大声による保護者探しには参加資格(?)が必要ないため、ただなんとなく騒ぎたい子供やお祭り的な一体感を楽しみたい大人もこぞって参加するようになったとか。
『五歳くらいの外国人だってよぉぉぉぉ!』
『それならさっき見たぞ!』
『型抜きンとこにいた!』
『ヨーヨーすくってたぞ!』
『綺麗な人とアイス食べてるの見たよ!』
『じーさんとこに向かってたぞッ! 保護されてるから問題ねぇッ!』
その結果がこの大絶叫である。いや、保護者探しとしてはとてもシンプルで一番理に適っていること自体は華苗にもわかるのだが、それにしたって規模がなんかいろいろオカシイ。
最近は学校の変なところにも慣れてきたと思っていた華苗であったが、ここにきて再び園島西高校のおかしさを認識する。
「……ん? 五歳くらいの外国人?」
「知っているのか?」
ここでふと、華苗はあることを思い出す。
先ほど、ちょうど自分はそんな年ごろの外国人の子供と別れたばかりではなかっただろうか。そんな特徴的な人間が何人もいるわけないだろうし、今更ながら青いシャツと黒いズボンに非常に心当たりがある。
まず間違いなく、一葉が連れていた子供たちの一人だろう。そして、それを裏付けるかのように、外国人の子供をだっこしたおじいちゃんと、佐藤やシャリィ、さらにはエリィと同じ、組合の人がこちらへとやってきた。
「悪いが、ここを集合場所にさせてもらうよ」
「…了解。…どうも、お久しぶりです」
「あ」
理由はわからないけれど、そういうことになったらしい。組合のリュリュが、ちょっと青い顔をして耳を押さえているのが、妙に華苗の印象に残った。
どうやら、ずっと響いている大声通り、誰かが迷子の子──レンを保護し、おじいちゃんの元へ届けたらしい。まさかさっきまで一緒にいた子が迷子になっていただなんて、一体だれが予想できるだろうか。
全く見知らぬ顔に囲まれるよりも、少しでも知っている自分がいたほうが安心できるだろうと、華苗はレンに声をかけようとする。未来の後輩の心配そうな顔は見たくないし、それでなくともここには酷くおっかない顔つきの大男がいるのだから。
「さっきのねーちゃ!」
「レンくん! やっぱり、迷子ってレンくんだったんだね……!」
「ぼくじゃなくて、ふぃーねーちゃたちがまいごなの!」
レンの方から華苗に気づく。その表情を見る限りでは、泣きそうになるほど不安になっている様子はない。組合のリュリュがにこにこと、アルがぐったりとしているところから、きっとこの二人がいろいろと面倒を見ていたのだろうと華苗は当たりを付けた。
「…夢一?」
「あー、さっきリュリュさんたちが迷子を連れてきてくれてね。僕たちのお菓子の屋台、小さい子が多くて混雑しているし、スペース的に余裕があるこっちで待機しようかと」
それにしても、と華苗は思う。
うまく言葉にできないが、さっきからなんとなく気分が高揚しているのだ。自分でも不思議なのだが、まるで何か大きなことが起こる前触れの様な、映画館で本編の映画が始まる直前の様な、とにかくそんな気持ちだ。
「いい塩梅だ。遅すぎず、早すぎもしない。……本当に長い時間だったが、偶然がこうも偶然にもうまくいくと、気持ちがいいもんだねェ」
「じ、じいさん? な、なんかいつも以上に規模が大きくない? それに、うまく言えないけど、凄く壮大と言うか、大きなことの前触れのような……!」
「…同感だ。去年の迷子の時はここまでじゃなかった」
どうやら、そう思っていたのは華苗だけではないらしい。楠も佐藤も、二人してその得体のしれない【なにか】を感じ取っているようで、その疑問をおじいちゃんにぶつけている。
おじいちゃんは、どこか遠くを見つめながら、口元に柔らかい笑みを浮かべてつぶやいた。
「そりゃあそうさ。これは私たちの娯楽なんだ。本来あり得ないはずのことを、自分の思い通りに、最高に楽しい形で仕上げているんだ。言うなれば、好きな小説を覗き見て、その中に自分たちが想像した最高の演出と展開を挟み込んでいるんだよ。その上、大好きで愛おしいそのセカイに……そのセカイに入り込んで、一緒に物語を楽しんでいるんだ。むしろ、こうでなきゃ困るんだよねェ」
「おじい、ちゃん?」
なぜだか、華苗にはそのとき、おじいちゃんがどこか別のところに行ってしまったかのような、そんな気分に襲われた。
そして、次の瞬間。
「にーちゃっ!」
「レンっ!」
人混みがぱっくりと割れ、その先にいた酷く顔色の悪い少年におじいちゃんから飛び降りたレンがひしっと抱き付く。その様子を見るに、さらには後ろに泣きそうになりながら笑っている一葉がいることから、この少年が保護者であることは間違いない。
どうやら、無事に迷子問題は解決したらしい。自分もおとうさんと再会できた時はうれしかったな、と華苗はぼんやりと思う。おかあさんと共に遊園地で迷子になった時のことを、華苗は未だにしっかりと覚えているのだ。
「あ、ああ、あなたは……!」
「ひどいねェ? さっきぶりだってのに、もう忘れちまったのかい?」
……なにやらおじいちゃんと顔色の悪い少年が話し合っている。少年のほうは見るからに慌てており、落ち着きがない。どうやらおじいちゃんを恐れている……わけじゃあないが、ともかくおじいちゃんに頭が上がらない様子だった。
「あ、おじいさん! お久しぶりです!」
「やぁ、一葉ちゃん。元気そうで何よりだ」
一葉とおじいちゃんは知り合いだ。だって、ほかならぬ華苗たちが一葉を部活紹介でおじいちゃんの元へと連れて行ったのだから。
「なんて恐れ多いことしてるんだお前! というか、そもそもなんであなたみたいな方が……!」
しかし、少年のほうは一葉のフランクな態度に、顔を文字通り青くする。青いを通り越して、もはや土気色のレベルだ。例えは悪いが、死体のようだといってもいい。もし暗い夜道でこの顔の人間が歩いて来たら、華苗は幽霊かゾンビだと思って腰を抜かすだろう。
それほどまでに、少年の顔色は悪かった。普通にお祭りに来ているのが不思議なレベルである。
「えと、大丈夫ですか? 顔色悪いみたいですし、保健室でちょっと落ち着かれた方が……」
あまりにもひどいから、人見知りの華苗でさえついつい声をかけてしまう。さすがにこれだけひどいと見ていられないし、もし倒れてしまったら目も当てられない。迷子を心配していただとか、おじいちゃんに精神的に動揺しているだとか、そんな理由だけでは説明できないくらい、病気か何かしているんじゃないかと思うくらいの顔色なのだから。
「大丈夫ですよ、八島先輩。ウチの兄貴、これが平常ですから」
「そ、そうなの? 本当に大丈夫?」
しかし意外なことに、一葉のほうがこれを笑って否定する。正直それが平常なのもどうかと華苗は思うが、家族が大丈夫と言うからには大丈夫なのだろうと思い直した。
兄貴、と言う言葉に少しだけ引っかかりを覚えたが、このよくわからないわたわたした状況だからか、すぐさまそれも忘れてしまう。
「ほれ、そういう話は置いといて。……夢一、楠、華苗ちゃん。それにミナミにレイアちゃんにソフィちゃんも。ああ、アミルもシャリィもこっちに来な」
「え? どうしたんですか?」
そして、からからと面白そうに笑っていたおじいちゃんが、またよくわからないことを言い出した。なんだかさっきから、いろんな意味でいろんなことがおかしい。だのに、その違和感やおかしさを表現するだけの言葉を、華苗には紡ぐことができない。
「なに、ただの私の我儘だ。どうしても、お前たちがこうしてそろっているのを見たかった……それだけだよ」
「……じいさん、とうとうボケたか」
「…最近奇行が多いとは思っていたが……」
「あ、あんたたち! なんてことを言ってるんだ!? この人が誰だか、わかっているのか!?」
先輩二人の言葉に思わず華苗は吹き出しそうになった。顔色の悪い少年は今にも死にそうなほどになっているが、おじいちゃんはこの程度の冗談で怒り出す程狭量ではない。
「カナエ、ちゃん? さっきは本当にありがとうね。ところで、これは一体……?」
ソフィが話しかけてきた。焼き鳥屋で別れてからの、実に数十分ぶり二度目の会合だ。迷子が組合の人に保護され、園島西のおじいちゃんに預けられ、さらにはその保護者が華苗たちと知り合いであるとは、何とも奇妙な縁もあったものである。
「あ、ソフィ、さん? ……私だってよくわかりませんよ。でも、レン君が無事でよかったですね。……えと、そっちの人は……」
華苗はふと、ソフィの隣にいる外国人の少女に目を向けた。やっぱり髪の色がこちらのものと違い、なぜだか緑が混じったような色をしている。ソフィと同じ国の出身なのだろうが、雰囲気で言えばむしろ組合の人と似ており、普通の服を着ているというのに華苗は大ぶりのナイフを腰につけているさまを幻視した。
「私も保護者の一人よ。なんか、いろいろ迷惑かけたみたいでごめんなさいね。うち、ミナミ……あいつが来るまで男手が無かったから、肩車とかあまりしてあげられなかったの」
やっぱりなんか、いろいろと事情があるらしい。華苗は深く聞かないことにした。その少女──レイアからは肩車の件について礼を言われ、華苗は持ち前のジャパニーズスキルでニコニコと笑顔を浮かべることに徹する。人見知りだからこそ、この手の技術にはちょっとだけ自信があった。
「……うーん、やっぱりなんかひっかかるような。まぁ、じいじが言うことですし、深く気にしたら負けですね!」
シャリィちゃんが良いことを言った。深く気にしたら負けなのである。正直もう何が起こっているのかわからないが、気にしたらダメなのである。
そして、華苗たちを集めたおじいちゃんは、にこにこと笑いながら、再び言葉を紡いだ。
「わからなくていい。わからないのが普通なんだ。なんてったってこれは私たちの自己満足……周りにとやかく言われたって関係ない、私の夢の一つなんだ」
気のせいだろうか。おじいちゃんはからからと笑いながらも、目元に涙を溜めている様に、華苗には見えた。
「なぁ、お前たち。今は幸せかい? これまでのことを全部含めてなお、今この瞬間が幸せだって言えるかい? 自分たちの出会いは、繋がりは、その思い出は──最高のものだったって、思えるかい?」
そして、問いかけられる。この奇妙な空気にいくばくか飲まれつつある華苗でも、その答えだけはわかる。
だって、華苗の周りにいる人たちは、みんな笑っているのだから。
「──よかった。私は、それが一番気になっていたんだ。やっぱり、人は幸せじゃなきゃあダメなんだ。物語は、幸せでなきゃあダメなんだよ。──お前たちはこれからもまだまだ物語を紡いでいく。それでいいんだ」
「「……」」
意味が全く分からずとも、その言葉は華苗の心に響いていった。
「幕間は終わりだ。私の我儘に付き合ってくれてありがとう。もう物語に戻る時間さね。──さぁ、飛び切り楽しい物語を、何よりも素晴らしい夢を紡いできな!」




