彼方色メモリー
こんにちは、るつかです。
最近放課後の意味を知りました。
授業じゃ無いんですね……あと、遅くなってすみません!
「茶色……?恐怖色……だったっけ。久しぶりに見たな。」
朧げな昔の記憶の中、くっきりと覚えている彼女の姿、声。
もう見れないと分かりきっているあの笑顔。
ギュッて抱きしめてくれた暖くて優しい腕。
「私の、せいだったんだよ……!」
もう会えないって知ってしまっているから諦めたい。
でも、もうダメだってわかってるからこそ、縋って、願ってしまう。
「ムードリングも、いつか返さないと。」
「チカ……!私、もう無理だよ……っ!独りにしないでよ!ねぇ!」
自分の病状も気にせずに声を荒げて泣いたあの日。
苦しそうな顔をしたまま時間が止まった彼女がしたかった事……。
「そういえばチカ、手紙くれてたっけ……。」
優しい言葉が綴られた手紙。一生忘れられない宝物。
「……これ、何だろう?」
手紙のデザインのふち、音符と共に何かの楽器が描いてある事に気がついた。
「こっちはラッパ……こっちは……あ、あの、この楽器って……。」
ちょうどご飯を置きにきた看護師さんに聞いてみる。
「ああ、それね。ヴァイオリンっていうのよ。隣の部屋の子、遊波学院中等部の生徒さんだし、オーケストラ部について聞いてみたら?」
「遊波学院?」
「音楽に力を入れている学校で、中学からも受験出来るらしいわよ。」
「へぇ……!」
心が跳ねる。早く病気を治して、遊波学院に通いたい。
「リコ?大丈夫?手、止まってるよ。」
「は、はい!だっ、大丈夫です!」
懐かしい記憶に思いを馳せていると、部長に注意される。
でも、思い出した。私の、ここに来た意味、理由を。