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夢色オーケストラ♪  作者: 言乃るつか
4/6

無色カーストランク

『逃げても良いよ。』

あの言葉に今となっては縋りたい。

自分で決めた事に後悔して、泣くくらいなら。


「部活……辞めたいな。」


オーケストラとは、カーストで成り立っている。

一見、ヴァイオリンなどの主旋律が権力を持っている様に見える。

でも違った。人の替えが効くかどうか。それだけで成り立っている。


事実、人が多くてメジャーなヴァイオリンよりも、人が少なくてマイナーなファゴット。

沢山の人が弾けるけれど、実技テストをクリアしないといけないピアノ。


夢も個性も無い、ただ普通な音の重なり。

失敗しないけれど何の意味も無い。


「リコ?」

「は、はいっ!?」

部長から声を掛けられ、慌てて返事をする。

「さっきの合わせだけど。音、ズレてたよ?」

チューニングはした。つまり音自体は大丈夫……。


「えっと……どこが、ですか……?」

確認する様に小声で聞いてみると、部長は真顔のまま答えた。

「息継ぎだよ。あ、そういえば初めてだったね!ごめん!」

軽く笑いながら謝られる。

「……息継ぎがズレてる。全部、全部完璧にしないと……。」

怖い。個性が消されるってコレなんだと気付く。

「伝統には従ってね。」

目に光が見えない。恐怖で目を逸らす。


ふとムードリングを見ると、茶色く濁っていた。

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