3歳になりました ⑤
只今、午後3時です!!
お父様のお誕生日のお茶会、開始です!!
「本日は、お忙しい中お集まり頂きありがとうございます!!明日のパーティーに私は参加できないので、どうしてもみんなで一緒にお父様のお祝いがしたくてこの場を設けました。温室の準備を手伝って下さった皆さん、本当にどうもありがとうございました!!みんなで楽しみましょう!!」
パチパチパチ〜!!!
こうして私の挨拶と共にお誕生日のお茶会が始まりました。みんなで一緒に話ができるように大きな丸い机にみんなで座ってお茶会をしております。
私の席もちゃんと用意してありましたが、私はお父様の膝の上でお茶を飲んでいます。挨拶終わりに座ろうとして捕まりました。ま、お父様が満足そうなので今日はこのままにしてあげます。
お兄様達がものすごく悔しそうに見ています…。しょうがないので「あ〜ん」してあげると落ち着きました。ふぅ〜。
みんなで温室の綺麗な花を眺めたり近況を報告したりして長閑な時間を過ごし、みんな笑顔になっていて企画した私としては嬉しい限りです!たくさんの薔薇も丁度見頃で、温室内はバラの華やかな香りで満たされています。
では、いよいよショータイムといきますか!!
私は、お父様の膝の上から飛び降りると使用人のみんなに作ってもらったお立ち台にあがる。台がないと私がちっちゃすぎてよく見えないからね。
「皆さん、ここで私からお父様にプレゼントをしたいと思います!!2曲私が歌のプレゼントをしま〜す!!」
「「「「「「えぇっ!!!!????」」」」」」
「こほんっ、え〜っと、練習はしたんだけど…間違うかもしれません…温かい目で見てもらえると嬉しいです!!では、お聞きください」
始めに歌うのはお誕生日を祝う、あの定番の歌!この世界にはバースデーソングってないんだよね。なので前世の知っているあの曲をそのまま歌わせてもらう。
〜♪〜
歌い終わりにお父様に向かって「おめでと〜!!」って言いながら誕生日プレゼントのバラのポプリを風魔法で届ける。
みんな「わぁ〜!!」ワイワイした感じで盛り上がるかなっ思っていたんだけど…
あれ…?なんか温室にいる人みんなが顔を真っ赤にして目を潤ませ拍手喝采をしていた。お父様に至っては大号泣である。ちょっと待って、まだもう1曲あるんがけど?!っていうかそっちの曲がメインだから!!!感動する映画を見た時のようなリアクションなのはなんでなの?!
「こほん、こほんっ!!あの、もう1曲あります!!そしてこの曲は私のお友達も一緒に歌ってくれま〜す!!」
「「「「「「お友達??」」」」」」
「みんな〜出ておいで〜!!」
『は〜い』
「「「「「「っ!!!!!!」」」」」」
〜♪〜♪〜
私は目を瞑り、静かに私の大好きな歌を歌い出す。不思議の国に迷い込んだ女の子が花達と一緒に歌った可愛らしい曲。妖精のみんなは一緒に歌い、花を咲かせ、花びらを舞わせ、楽器を演奏して舞台を演出する。そして1曲に歌い切った後、もう1度最初から歌いだす。
今度は音や歌声を大きくして身振り手振りをつけて歌い上げる。キッスという歌詞の部分ではお父様に向かって投げキッスをする。
なんだか、みんなが驚愕の表情で固まっている気がするんがけど…気のせいかな??
『わぁ〜練習通り上手くいったね〜!!』
「うん!!みんなのおかげだよ!!ありがとう〜!!!」
私が妖精さん達とキャッキャして喜び合い、みんなの方を振り向くと温室にいた全員が、平伏していた。予想していなかった光景に頭の理解が追いつかない。
「えっ…みんなどうしたの??」
状況がわからず固まってしまう。妖精さん達はクスクス笑ってお父様達を見ている。
「な、なんでみんな頭下げてるの??どういうこと??」
『あぁ、その理由は我々が教えてあげよう…』
パァー!!!っという光と共に今までそばにいた可愛い妖精さん達は、ものすごく美形な大人の男女6人に変身した。神がかった美貌に目が眩んでしまいそうである。本当、呼吸を止めてしまうほどの美しさ!!!
『『『『『『それは私達が聖霊王だからだよ(よ)』』』』』』
「えっ……はぁ〜???!!!」
私の絶叫は温室に響き渡ったのであった。
『あれ?セリーヌは気づいてなかったの??』
クスクスと光の妖精、いや精霊王が言ってきた。その目はいたずらが成功した子どものような目をしていた。
「どっどっど、どういうこと?!みんなは妖精さんなんだよね?!」
『ふふふっ、セリーヌ落ち着いて。妖精の姿は私達の分身、つまり小さくても私達自身ということよ』ダイナマイトボディの茶色の髪と瞳の土の精霊王が落ち着かせるように頭を撫でてくれる。
「えぇ〜?????!!!!!ごっ、ごめんなさい!!わ、私そんなに偉い人って知らなくて!!!いつもお世話になっております!!!」
私は思いっきり土下座した。知らなかったとはいえ、めっちゃフレンドリーに接してしまった。
私がぐるぐると土下座して考えていると、ふわりと体が持ち上がり光の精霊王様に抱っこされた。
『我々は、お友達だろう?一緒過ごせて楽しかったよ。…お前達も、顔を上げなさい』
光の精霊王様はお父様達に顔を上げるように促し、みんなが顔を上げる。もう、みんな顔が真っ青を通り越して真っ白になっている…。みんな、ごめん!!本当にごめん!!!悪気はなかったんです!!!
『この子は我々の愛し子。セリーヌが笑顔でいられるよう手助けするつもりだ。今後とも…よろしく頼むぞ?では、セリーヌまたな』
そう言って、私を地面に下ろすと精霊王達は光と共に一瞬で消えてしまった。
え…こんな気まずい中で私を置いていかないで〜!!!!!
いや〜!!!この状況を誰かどうにかして〜!!!
私の内なる叫びは誰にも届くことなく、温室には静寂が続くのであった。