3歳になりました ④
いよいよ、お父様の誕生日当日になった!3日前に家族みんなに招待状を配って歩いたら、みんな嬉しそうに「絶対行く!!!」って言ってくれた。お父様なんてまだ見てもいないのに目に涙を浮かべて、ぎゅっと抱きしめてくれた。あまりに強く抱き締められたので途中失神しそうになったけど、護衛のランスさんとシドさんが救出してくれたので助かった。
会場は温室を使わせてもらうことにした。花がたくさん咲いているので、歌のイメージにぴったりだと思ったからね!みんなでお茶やお菓子を食べられるように使用人の皆さんが準備してくれた。お仕事を増やしてしまって申し訳なかったので、お手伝い券を渡しておいた。そしたら家宝にしますって言ってみんな涙目だった…いや、使って欲しいんだけどね。
衣装は歌に出てくるあの子をイメージして水色のドレスにした。家族がたくさんドレスや装飾品を贈ってくれているので、どれにしようか衣装を合わせるだけでも時間がかかった。ドレスにエプロンを着けるわけにはいかないのでこれは諦めた。頭の上の黒い大きなリボンをつけたかったけど、アンナやジゼルにだいぶ渋られた。こちらでは黒は縁起の悪いって言われているみたい。でも、どうしてもとお願いして折衷案で白のレースを黒いリボンに重ねたリボンを着けることになった。
改めて、自分の姿を鏡で見てみる。銀色の髪は背中ぐらいのロングで、毛先が緩くウェーブしてある。金色のぱっちりした瞳に小さいぷっくりした桜色の唇、ザ美少女って感じ!!見ればみるほど以前の自分とのギャップを感じてしまう。今の私はどちらかと言うとお母様似なんだよね〜。将来、お母様のダイナマイトボディーも是非とも遺伝して欲しいものだ。
「みんな、可愛くしてくれてありがとう!!お父様達に喜んでもらえるように頑張るね!!」
「はい、応援しておりますね。帰ってきたらどうだったか教えてください。」
「うん!アンナさんの分のお菓子もちゃんと取っておいてもらっているから後で食べてね!」
「ふふふっ、お嬢様ありがとうございます」
「アンナさん、行ってきま〜す!!」
私はジゼルさん、ランスさん、シドさんと一緒にお爺さま達がいる応接間に向かった。先ほとお爺さま達が到着したって連絡があったんだけど丁度着替え中でお迎えができなかったからご挨拶しながら、今日の招待状を渡そうと思う。年に一回くらいしか会えないから楽しみだな!!
トントントン
「アントワーヌお爺さま、アルチュールお爺さま、セリーヌです!ご挨拶に伺いました」
「「お入り」」
「失礼します、アントワーヌお爺様、アルチュールお爺様お久しぶりです。お会いできてとても嬉しいです!!」
「しばらく見ない間に、ますます可愛くなったね、私のリトルレディー!私も会えて嬉しいよ!」
2人は応接間でお茶を飲んでいるところだった。スッと私のそばまでやってきて抱き上げてくれたのはアントワーヌお爺さま。お父様のお父様で、前ジファール公爵であり今は領地でお婆様と一緒に暮らしている。お父様とそっくりなナイスミドル!!スラッとした体格の細マッチョって感じ!!
そして、私はもう1人のお爺さま、お母様のお父様であるアルチュールお爺様の方に目を向ける。アルチュールお爺様と目が合うと大きく頷き少し笑ってくれた。アルチュールお爺様はアルチュール・ド・ラ・オルレアンと言い、身分は侯爵。以前は王国の騎士団長をしていたんだって。がっしりムキムキな大きな体躯をしており、無口だけど優しい人柄をしている。
そうそう、この国では爵位のある人は【名前・ド・ラ・家名】って感じで名乗る。私の場合はセリーヌ・ド・ラ・ジファールって感じ。平民には苗字がないんだって。前世では身分制度が無かったから慣れないんだよね〜。
そしてアルチュールお爺様は私を抱っこしたいけど言い出せなくている。じっと見つめているので私から座っているアルチュールお爺様へと手を伸ばして抱っこしてもらいに行く。すると嬉しそうに私を抱きとめ頭を撫でてくれた。アントワーヌお爺様はちょっと不満そうだけどね。
あっ!こうしてる場合じゃなかった!
「アントワーヌお爺様、アルチュールお爺様に渡したいものがあるんです!!」私は手に持っていた二つの招待状を渡した。
「1日早いのですが、今日お父様のお誕生日のお茶会をするんです!お爺様達もぜひいらしてくださいね♪」
「わぁ、可愛い招待状だね…お誘いありがとう。ぜひ参加させていただくよ!なぁ、アルチュール」
「あぁ」
「よかった!では温室でお待ちしてますね!!」
ぴょんとお爺様の膝から降りてドアまで走っていく。
「おや、リトルレディーもう行ってしまうのかい?」
「はいっ!ちょっと準備があるので!!ではまた後ほど〜!!」
こうして私は温室へと向かったのだった。