3歳になりました ③
私の魔法がまさかの6属性というチートを発揮してしまい、お父様やお母様は忙しそうにしており、公爵家の警備も以前にも増して厳重なものになった。私の力については必要最低限の者に知らされ、緘口令が出された。シドさんが私の魔法のコントロールは完璧なので、使う分には問題ないというお墨付きをもらえたので、お父様が誰も見ていないところでなら4属性のみを使っても良いと言われた。
私のチート能力に対して家族や私の魔法について知っている人達は、いつもと変わらず接してくれたので普段通り過ごすことができた。ちなみに専属メイドのジゼルも私の力について知っている。ジゼルは私の護衛も行ってくれていると教えられてビックリしたけどね。乳母のアンナは心配してしまうことと、知っていることであらぬ事態に巻き込まれないようにまだ教えてはいない。
そんなこんなで、私は魔法を使えるようになったのでドムお爺ちゃんからもらった薔薇で、薔薇のポプリを作った。風と火の組み合わせて花びらを乾燥させ、お父様への誕生日プレゼントにするつもり。
シドさんに聞いたら2つの属性の魔法を使うのは更に難しい上級魔法なんだって。魔法を使うには自分の魔力をもとに行うのだが、使えば使うほど魔力は減っていき、限界まで使い切ってしまうと魔力が戻るのに1〜3日、場合によっては一週間ほどかかるらしい。しかも自分の使える属性の魔法は自然の力と結びついて行うことが多いらしい。つまり自然…精霊王達に魔法を使う許可をもらっている人が魔法を使える感じらしい。
難しいことをやればその分魔力を多く必要とするのだが、私は今のところ魔力切れを感じたことがない。なんだか更なるチートの予感がするが気づかないふりをする。
お父様へのプレゼントは薔薇のポプリ以外にも考えてある。私が前世の先生時代にも得意としていた歌のプレゼントをしようと思っている!よく幼稚園に手伝いに来てくれた人に感謝の気持ちを込めてみんなで歌のプレゼントをしていた。みんな嬉しそうにニコニコと聞いて嬉しそうにしていたなぁ〜!!
部屋の中で音が漏れないように防音壁を作り早速練習を始める。みんなには歌の練習するから出ていってもらっている。ネタバレになるからね!!
誕生日の歌と子どもらしい可愛い歌の2曲を歌おうと思う!何がいいかな〜。あ、あれがいい!私の大好きな歌!お父様の誕生日の6月にぴったり!不思議の国に迷い込んでしまった女の子がお花達と歌った曲!!
あ、ちなみにだけどこの世界は一年365日、12ヶ月、一日24時間で、季節も春、夏、秋、冬があるよ〜!前世と同じ時間軸だから分かりやすくて助かる!そしてお父様の誕生日は6月の薔薇が美しい季節なのだ!!美しいお父様にぴったりだね!!
よし!練習頑張ろう!!!
心を込めて、お父様が喜んでくれることを思い描いて…
目を瞑り静かに歌い出す…あのアニメ映画を見た時のような楽しい幸せな気持ちを込めて…
〜♪〜♪〜
「ふう…こんな感じかな?…え?!」
久し振りに本気で歌ったなぁ〜と感慨深く目を開けると…
パタパタパタ…目の前に6人の可愛い妖精がいた。
『素敵な歌ね〜♪』
茶色の髪と瞳の女の子。(土の妖精)
『本当、心のこもったものだった』
金の髪と瞳の男の子。(光の妖精)
『良い歌だ!』
赤い髪と瞳の男の子。(火の妖精)
『こんなに綺麗な子は初めて…』
水色の髪と瞳の女の子。(水の妖精)
『あぁ、魂も心も…キラキラしている』
緑の髪と瞳の男の子。(風の妖精)
『温かい…』
黒い髪と瞳の男の子。(闇の妖精)
目の前にいたのは15センチほどの背中に羽根が生えた妖精がいた。妖精は6人おり子どものような姿をしていた。しかも光、闇、火、水、土、風の色を身にまとっておりとてもキラキラと輝き美しく、みんな優しい表情でこちを見ていた。
「うわぁ〜!!!えっ…えぇ?!…もしかして妖精さんですか?!」
『ふふふっ、そうだよ』
「うわぁ〜!!!私初めて妖精さんを見ました!!!お会いできて光栄ですっ!!!」
前世オタクだった私としては夢のような光景だった。まさかガチで会える日が来るなんて!!!興奮して思わず妖精さん達を見つめてしまう。
『あはは、面白い子だね〜!君の歌があまりに素晴らしいから聞きに来たんだよ』
「えぇ?!そうなんですか?!恥ずかしいなぁ…」
『君の魔力からどんなイメージの曲なのか伝わってきたよ。花達と一緒に歌う曲なんだね?』
「そうなんです!すごい!魔力からそんなことが分かるんですね!!本当は複数で歌う曲なんですが、お父様にサプライズで歌って驚かせたくて…なので1人で練習してたんです」
『なら、僕たちが一緒に歌ってあげるよ!』
『あぁ、そうだね面白そうだ!』
『良いわね、あなたお名前は?』
「セリーヌと言います!あの、妖精さんが本当に一緒に歌ってくれるのですか?!」
『えぇ、良いわよ!』
『…私は、歌の代わりに楽器を演奏してやる…』
闇の精霊さんは楽器の演奏、他の5人の精霊さんはパートごとに歌ってくれることになった。お父様、妖精さんが一緒に歌うって知ったら驚くだろうな〜!!
「ありがとうございます!!本当に嬉しいです!!では、皆さん、申し訳ありませんが、どうか私のお父様へのプレゼントのために協力してください!!」
『『『『『『いいよ』』』』』』
こうして妖精さんと私の秘密の練習が始まったのだった。
毎日、妖精さんと一緒に歌の練習とショーのような演出を考える日々が始まった。お父様の誕生日まであと一週間!なんとしても間に合わせるぞ!!
お父様の誕生日の日は家族のみならず、多くの貴族や商人など多くの人がやってきて華やかなパーティーが開かれる。当日はみんな忙しいから前日に家族を呼んでお披露目しようと思う!今年は領地からお父様とお母様のお父様、つまりは私のお爺様もいらっしゃるらしいので楽しみだ!
子どもの私はまだパーティーに参加しないので当日ゆっくり披露している暇はないからね!ちなみに5歳ななる年に洗礼を受ければ社交の場にも出るようになるんだって。
よ〜し、招待状を準備してみんなに配ろ〜!一応私の魔法について知っている人に限定したほうがいいかな…知らずに力が漏れてるみたいだしね。
頑張るぞ〜!!お〜!!!
この時の私には分からなかったのだ…
更なる問題を生み出してしまうことに…お父様…誕生日なのに本当に申し訳ないです…。