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5歳になりました 3

『桜先生、驚かせてごめんなさい』


「ぐすっ…ううん、私も取り乱してごめんね…」


あの後なんとか泣き止み、現在椅子に座ってゼン君が入れてくれたお茶を飲んでいる。しかも緑茶で、お茶菓子に前世の駄菓子やケーキ、和菓子などが用意された。もう、ツッコミどころが多すぎてあえて突っ込まないことを選んだ。


『ここは僕の世界だから、望めばなんでも手に入るんだよ…あぁ、そして先生も望めば可能になるよ…先生が耐えられればね』


「ねぇ…ゼン君はどうしてそんな力があるの?」


『うん?だって僕はこの世界の神だから。つまり創造神だから思い描けば何でもできるよ』


「!!!」

岩の上に現れて、ここに連れられてきた時から只者ではないって思っていたけど、まさか創造神だったなんて…。


「あ、あのね…その、どうして創造神であるゼン君が前世の時、子どもとして幼稚園にいたの?しかも何で今私はここにいるの?何で…」


『ストップ。先生落ち着いて。きちんと説明するから。僕が先生の世界にいたのは地球の神のもとで勉強していたんだよ…僕、愛情ってよく分からなくて…この世界を上手く発展させられなかったんだ…。だから慈しむ心を学ぶために行ったんだけど…地球にいる両親の子どもの意識の中に居候させてもらったんだ。僕は元々形としては存在していないからね。今もわかりやすいようにこの形になっているだけなんだ。…両親は扱いにくい僕のことを持て余している感じだった。腫れ物に触るような感じで愛しいと思えなかった…』


「そんな!ご両親は貴方のことを思っていたわ!ただ…」


『分かっている。どう接したらいいのか分からなかったんだよね…それに気づかせてくれたのが先生だったんだよ』


「???私…?」


『先生はよそよそしかった俺と両親の仲を取り持ってくれたよね…俺の様子を両親が迎えにきた時に伝えたり、お便り帳に書いたり…。どんな風に関わったらいいかも両親に伝えていたね…それを聞いた両親は徐々に僕と関わることに自信を持ったようだった。そして何より…』


「ゼン君?」


『先生は本当に僕のことを慈しんでくれた…。誰とも関らず心を開かなかった僕に諦めずに関わってくれた…』


「そんなっ!当たり前じゃない!!ゼン君は私の教え子よ!!何よりも大切な存在よ!!!」


『ふふふっ、それは中々できることじゃないんだよ…いくら先生だってね。先生の心はいつも明るかった…本当に太陽みたいな温かい存在…僕はなぜ地球に行ったのかも忘れて毎日先生と遊ぶことが楽しかった。でも、そんな日々は突然終わってしまった…』


「そうね…私が病気になってしまったから…」


『いつか先生と離れなければならないことは分かっていたけど、先生が地球で幸せに暮らしてくれるなら耐えられた…でも、もう先生の命が尽きると知って地球の神に何とかしてもらおうと思ったけど定めを変えることはできないと言われた…。地球では無理でもこの世界は僕の世界、願えば何でもできる。しかし願いが強くなければ実現はできない…でもできたんだ!先生が僕に心を教えてくれたから…!!だから先生の魂をこちらに連れ帰ったんだよ…勝手なことをしてごめんなさい…』

そう言ってゼン君は頭を深々と下げた。きっと、色々なことを考え悩んだんだろうな…。いくら自分の世界だとしても異世界の私を連れてくるなんて並大抵のことじゃないと思う。


『そして、この世界に存在できるように僕の力の一部を先生に移したんだ…だから先生は他の人よりも規格外に魔法が使えるし、創造神の力を持っているから作り出せるんだよ』


「…そうだったの…正直、まだ理解が追いついてない所はあるけどこれがけは分かったわ…」


『桜先生?』


「ゼン君…私を助けてくれてありがとう…!!」

私は感謝の気持ちを込めてゼン君を抱きしめた…。ゼン君がいなければ私はこの世界に来て大好きな家族やみんなと出会うことができなかった…全てはゼン君が私にここで生きるチャンスをくれたから…。


『…桜先生、僕のこと怒ってないの?』


「怒ってないよ…むしろ感謝してるわ」


ゼン君はホッとした表情をしていた。そして私たちは前世での思い出話をした後で、今後について相談することになった。


『先生、今後はセリーヌって呼ぶことにするね。先生って呼んでいるのを聞かれたらちょっとややこしいから』


「そうだね、その方がいいと思う」


『そして、先生は僕の使いってことにしておくよ。先生がこの世界で暮らすのに苦労しないようにちょっと力をつけすぎちゃったからね。でも、先生は好きなように生きていいよ。僕も世界が壊れない限りは手伝ってあげる』


「ははっ…何だか物騒なことが聞こえたような気がするけど、ありがとう…私、精一杯生きるね!」


『うん、ぜひそうしてね』


「…ゼン君にはこれからも会える?」


『もちろん…教会に来てくれれば会えるよ…何か困ったことがあったらきてね。もし急ぎなら精霊王達を通して言ってくれれば僕に伝わるし』


「いいえ、困ってなくても会いにくるわ!ゼン君は私の大事な教え子であり恩人だもの!」


『ーっ!!…本当、先生は変わらないね…でば、そろそろ元の場所に送っていくよ』


こうして私たちは元いた教会へと戻ったのだった。 


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