3歳になりました 12
私に抱っこされて寝てしまったテオはあれからずっと眠り続け、次の日の朝に目を覚ました。私達はまた一緒に朝食を取り、食後にお茶を飲んでいる。ぐっすり寝たからなのか、テオは起き上がれるようになり顔色も良くなった。表情も不安そうなものからスッキリした表情をしている。良かった!
お父様達には私の魔法のことをテオに話したことはちゃんと報告しました。お父様達も予想していたみたいで私の判断を受け入れてくれました。私の理解者でいてくれて本当にありがたいな。
「ねぇ、テオ。あたなはこれからどうしたい?公爵家にはお部屋もいっぱいあるからここにいてくれてもいいし、他にやりといこととかあるなら応援するってお父様が言ってたよ。もちろんここを出て行っても私達はお友達だからいつでも遊びに来ていいよ!」
「…俺、あ、いや私はセリーヌ様のおそばに居たいです…」
「本当?嬉しいなぁ!んじゃ、お父様に伝えてくるよ!」
「あっ、待ってください!あの、大変恐縮ですが公爵様とお話しすることは可能ですか?」
「え?うん…お父様に言えば時間を作ってくださると思うけど…」
「お願いします!!公爵様とお話しさせてください!!」
「うん…分かった。今伝えるね!」
私は伝言するために魔法を展開した。小鳥の形をした私の伝言は壁をすり抜けていった。数分後お父様からの返事の蝶が返ってきた。
「今日の午後1時にお父様の執務室でお話を聞いてくださるみたいだよ!」
「分かりました。よろしくお願いします」
テオ、何だか大人びた表情をしている…何だか、何か大事なことを決めたような感じがする。うまく表現できないけどね。
「さて、これで午前中はゆっくり遊べるね!何して遊ぶ?今まで何して遊んでいた?」
「特に遊んだりはしたことがないのですが…母が持っていた本はよく読んでいました」
「おぉ!いいね〜!公爵家にも本がいっぱいあるよ!図書館に行って本でも見ようか!」
「いいんですか?」
「もちろんだよ〜!まだ、体を動かす遊びは難しいから部屋の中で遊べる遊びをしましょう!元気に動けるようになったらお外の遊びも教えてあげる!鬼ごっことかかくれんぼ、ドッジボールとか〜!色々あるよ!!楽しみだね」
「はい、楽しみです」
テオが自然に笑っている。元々綺麗な顔しているから微笑まれるとなおさらキラキラが増す気がする!何だか心を開いてくれたみたいで嬉しいな…。
こうして私達は午前中は図書室で読書をしました。テオはこの国の文字が分かるみたいだし、今までに訪れた国の言語も読み書きとおしゃべりができるんだって!すごいな、天才じゃん!!ちなみに私もできます…。はぁ〜…勉強もしていないのに分かるなんて…チートすごいな…。前世にこの能力があれば…いや、私は結局幼稚園の先生してたような気がするな…能力を活かせない気がするし。テオは私が他国の言語を知っていたからすごく驚いていた。ごめんね、私のはズルであって才能ではないんですよ。
お昼になり、テオと一緒にお昼を食べることになった。今日のメニューは野菜たっぷりのスープとサラダ、白身魚のソテーとパンでした。柔らかく調理されていたのでテオも美味しそうに食べていました。食べる量も昨日よりも増えて8割ぐらいは食べられているので良かった。これならすぐに体力も回復しそうだね!
テオはさまざまな国を転々としていたから色々な料理を食べてきたんだって。日本食みたいなものはなかったか聞いてみたけど、知らないみたい。はぁ…残念だな〜やっぱり日本人としては日本食が食べたいよね〜…。植物としてはこっちにも存在しているのかな〜?土の精霊王のアンバー様なら知ってるのかな?よし、今度聞いてみよう!いずれは日本食を布教してどこでも食べられるようにしたいな〜!前世でも外国の方が日本食食べてたし、こっちの世界の人の口にも合うと思うんだよね〜!
そんなことを考えながら昼食をとり、お父様と会う時間になりました。私も同席しようと思ったんだけどテオに大丈夫だと止められてしまった。
なので、私は部屋でお留守番。暇なので、前世の知っている曲を譜面におこしていく。こっちには五線譜の譜面がないらしくて、音楽は耳で覚えて弾くって感じらしい。それってある意味すごいよね、それでよく伝わったな〜って思う。私は前世は小さい頃から音楽に触れていたこともあり絶対音感があった。耳で聞けばどんな音楽も弾くことができた。子ども達に戦隊モノの音楽弾いてって言われても、子どもに歌ってもらったり曲を聴いたりすれば覚えて弾けたから便利だった。先生をしていて一番役にたった能力だけど、まさか生まれ変わってからも役に立つなんてね〜!人生何があるか分からないなぁ!
ゆくゆくは五線譜の譜面を流通させて、何世代にもわたって色々な音楽を伝えて行きたいな。自分が弾くのも好きだけど、誰かに演奏してもらったのを聴くのも好きなんだよね〜!よく学生時代に好きな曲を友達に弾いてもらって楽しんでいたな〜!色々な人が気軽に音楽を楽しめれば嬉しいな。
そんなことを考えながら私は譜面を仕上げていくのでした。