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3歳になりました 11

テオが落ち着くのを待ってから、テオのことを聞くことにしたんだけど、まだお父様達の前だと口が重くなってしまい緊張するようだった。きっと辛いことがあったんだと思う…。数日は療養に専念し、元気になったら改めてお父様が話を聞くことになった。


お父様は昨日のうちに王宮に闇属性を持った異国の子どもを保護したと伝えており、詳しい状況がわかるまで公爵家で保護することに決まっている。焦らず、テオが安心できるようにしていこうと思う。


私はテオに家族を紹介し、ここはテオにとって安全なところなのだと改めて話をした。テオは半信半疑な様子だったが、頷いてくれたので良かった。そして、緊張が解けるよう子ども同士で話をするからと言って他の家族には部屋の外に出てもらい、改めて話すことにした。ま、護衛騎士は少し離れた所で待機しているんだげどね。


「テオ、私たち友達だよね?」


「…友達?」


「え?!友達だと思って名前呼びしてしまってたよ!ごめんね、テオ君の方がいい?いやテオさん??」

前世、大学生の時は同級生でも年上の友達がいたから普通に呼び捨てにしてしまってたよ。流石にすっごく年上の人を呼び捨てにはできないけど何個か年上なら相手が許せば呼び捨てたり、君やちゃんで呼んでたりしたな〜。


「あ、呼び方は呼び捨てでいいのですが、…友達というのは?」


「だから、私達友達でしょう?ちなみに私は3歳だよ!」


「えっと…身分があまりにも違いすぎるのでは…?」


「??身分になんの関係が?身分があると友達になれないの?あ…私が子どもすぎるから友達になるの嫌?」


「いえ、そんなことないです!」


「じゃあ、お友達だね!!テオは何歳なの?」


「…あ、えっと…8歳です」


「えぇ?!5歳も年上なの?!テオは綺麗な顔してるから年齢より若く見えるのかもね〜!!」


私達は会話を重ね、少しづつお互いのことを知っていった。テオは自分の容姿や属性のことはあまり話したがらなかったので、主に私が話すことになったけども、私の話を楽しそうに聞いてくれるので話していて楽しかった。テオはお母さんと小さい頃からいろいろな国を旅してきたそうだが、半年ほど前にお母さんを亡くしそれからは隠れながら生きてきたそうだ。足の怪我は魔物から逃げる時に怪我をして数日前にジファール公爵領に来たんだって。


私はなるべく気分が明るくなるよう楽しい話をするようにした。公爵家では庭師と一緒に畑仕事したり、歌を歌ったりして過ごしていたこととか。私の話をするとテオの表情が明るくなってきたので、私の重要な秘密を話すことにした。家族には魔法のことはまだ話さない方がいいと言われた。でも、これはテオにも関係することだから、互いに秘密を共有することで少しでも安心してほしいと思ったのだ。1人だけじゃないって知っていてほしい。ちょっとずるいやり方だけど、秘密を共有することである種の連帯感が生まれやすくなるからね。


「ねぇ、テオ…驚かないで聞いてほしいんだけど、私は他の人とは少し…いや、すごく違うことがあるの…。テオは他と違う私のことは嫌い?」


「なっ、そんなことないです!」


「ありがとう…そう言ってくれて安心したよ…。ちょっと見ててね」

私は手のひらの上に魔法を無詠唱で展開した。火、水、土、風…。4つの属性を見せるとすごく驚きながら私を見ていた。そして、闇魔法の影で自分自身を作ってみせると、テオは目を見開き固まってしまった。手はキツく結ばれ、顔色は少し青くなって汗をかいている。


「私、他の人とは違うの…他の人より多くの力を使える…何故かはまだ分からないけど私はこの力をみんなのために使っていこうと思っているの。自分が他の人とは違うと知って怖かったけど、家族は私のことを受け入れてくれた…それで安心したの。テオはこんな私は怖いかな?」


「そんな、怖いだなんて!!俺のことを助けてくれて、感謝しかありません!!セリーヌ様が来てくれた時、天使が迎えに来てくれてんだと本気で思ったぐらいです!!」


「えぇ??それは言い過ぎでしょう〜!!」


「そんなことないです!!本気です!!」


「えっと…う〜ん、まぁちょっと浮世離れした登場だったしね」


「いや、そこではないのですが…。あの……」


「何?」


「お、俺の……っ」

何を言いたいのかすぐに分かった。闇属性のことや自分の黒髪黒目のことだと…。私は安心させようと手を握り、テオに微笑みかけた。するとテオの瞳がゆらめき涙を流し始めた。泣くとより一層幼く見える。


「うぅ…お、俺の…髪と瞳は黒色だし、肌の色も違う…魔法も……っ」

そこまで言うと声が出てこなくなってしまった。自分の弱みを他人に見せるのはとても怖いこと。無理もない…。


私はそっとテオを抱きしめた。もう怖くないよ…あなたは1人じゃないって気持ちを込めて…。テオは抱き締められると恐る恐る抱き締めてきた。まだこんなに小さいの、苦労も多かったと思う。これからは私やみんながテオを守ってあげるからね…。


そっと、背中を撫でながら子守唄を歌ってあげる…。


〜♪〜♪〜


抱き締めているうちにテオはまた寝てしまった。今までの疲れと泣いたことで張り詰めていたものが和らいだみたい。テオの寝顔は年相応の安らかな寝顔で安心した。


おやすみ、テオ…良い夢を見てね。


早く元気になって一緒に遊びたいね…。




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