3歳になりました ⑧
お父様の誕生日パーティーが終わり、国王様・お父様・お爺様方で改めて話し合いがもたれ、私が5歳まで見守ることに決まり、極力周りには力について知られないようにすることが決まった。そして王都では何かと他の貴族の目もあるので、より人目につかない領地で5歳まで過ごすことになった。
洗礼が終わって事態がどう動くのかによって再度どうするか検討するそうです。自分でもよく分からないことが多すぎて、どうするのがいいのか…。まぁ、私的には領地に行くことには不満はない。私が小さいこともあってまだ、領地へは行ったことがなかった。馬車で行くと片道5日ぐらいかかるらしいので、小さい私には馬車での長旅は難しいだろうってことでいっていなかったのだ。ジファール公爵領は自然が豊かで、農業と工芸などの産業が盛んなんだって。
この世界には転移魔法はあるそうなのだが、国の許可が必要なんだって。転移する場所の両方に転移魔法用の魔道具を置く必要があるらしいです。公爵家にも転移用の魔道具が置いてあるそうなので、一瞬で行くことが可能だが、私用で使うのはあまり良しとされないそうです。そういう理由もあり私が領地に行ってますよっていうパフォーマンスも含めて馬車で行くんだって。表立った理由としては体が弱いので、領地で療養するってことになりました。なので、他の貴族達とは関われませんよって暗にいっているんですよ。
そして、私と一緒に領地に行くのは私、お母様、お兄様達、護衛騎士の2人、ジゼルさんが行くことになりました。アンナさんは王都に家族もいるので王都に残ります。お父様は手が空いた時に転移魔法を使って私達に会いに来るそうですが、他の使用人のみんなはそうはいきません。(あれ?お父様、転移魔法めちゃくちゃ私用で使う気満々だけどいいのかな?うん、深く考えないようにしよう…。)私もみんなと会えないのは寂しいですが、それ以上にみんなが物凄く寂しがってくれた。もう、みんなガチ泣き。王都の使用人さん達が領地への転勤を希望する人続出だったそうです。娘や孫が遠くに行ってしまうような感じで思ってくれているのかな??
そんなこんなで荷造りを済ませ、10日後に出発となりました。その間に、公爵家の人達とお別れ会のパーティーをしたけど、何かお通夜みたいな感じで…。色々な人に声をかけ、また戻ってくるからと約束して回ると少しみんな落ち着いたようだった。
いよいよ、領地へ出発する日になりました!私が初の領地ということで、休暇でお父様も一緒に行くことになりました。アントワーヌお爺様が連れてきた騎士達も一緒に領地に戻るので物々しい人数になりました。何か大名行列みたいだな…。敷地内から出たことがなかった私は外に続くファンタジーな世界に興味津々!前世に、母の仕事についていった海外のような景色が広がっております!!私が目をキラキラさせて見ているのを、みんな暖かく見守ってくれています。まぁ、精神年齢が大人だから騒ぎませんが窓に齧り付いて見てしまいました。公爵家の馬車は窓の外からは中が見えないようになっています。しかもダミーの馬車が数台あるので防犯対策はバッチリ!途中大きな街に泊まりながら5日目の昼にやっとジファール公爵領に到着しました!
公爵家の行列が領内に入ると周りを囲む領民の皆さんが大歓声で迎えてくれました!お爺様やお父様の仕事が評価され慕われていることを誇らしく感じます。領民の皆さんが馬車の前に飛び出さないように、周りは公爵領にいる騎士さんが守ってくれているので、どちらも怪我することがないので安心だね。こんなに人がいるのはGWのネズミの王国のパレード以外で見たことなかったからビックリ〜!!
「領民の皆さんがお出迎えしてくれて嬉しいですね!お父様達が慕われているんだなって思うと誇らしいです!」
「はははっ、まぁそれもあるかもしれがいが1番の理由はセリーヌを見たいんじゃないか?セリーヌは領地にはまだきたことなかったからね」
「 え?!私ですか?!」
「セリーヌ、広場に着いたら一度馬車から出て領民に挨拶をしよう。そしてセリーヌは療養に来ていることもそれとなく伝えることとしよう。周辺貴族が訪ねてきても面倒だから、領民達に噂を広げて後押ししてもらおう」
「わ、分かりました!ご挨拶がんばります!!」
広場に到着すると、お父様が先に出て挨拶をして、他の家族も同じように領民に向けて挨拶をした。そして最後に私のことを呼んだので、馬車から出て領民の皆さんの前に立った。すごい人だな〜!!広場も周辺の建物も人がいっぱい!!でも前世でも人前で話すことは多かったから、慣れてるんだよね〜!!
「セリーヌ・ド・ラ・ジファールです。こうして皆さんにお会いすることができて嬉しいです!!しばらくは公爵領でお世話になりますのでよろしくお願いします!!」私が挨拶をしながら微笑むと同時に、空から光が煌めき花が降ってきた。それを見た領民の皆さんは拍手喝采で喜んでいます。
え?!こんなの予定にありましたか?!って思わず家族を見ると、家族もこちらを見ていた。…ってことは家族がやったのではないんだね。
残る可能性は…。周りを見回すといました。小さな妖精になった6人の精霊王が木陰に隠れています…。はぁ…悪気がない分尚悪い…。今後は余計なことをしないように言わなくてはと固く決意して公爵家の城に向かうのでした。