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3歳になりました ⑦

お父様の誕生日当日になりました。パーティーは夜からですが、お父様達は出席者や会場の最終確認で忙しそうにしている。私はパーティーに出るわけではないから、いつも通り過ごしている。

でもなぜかお父様からドレスがプレゼントされどうしても着て欲しいってお願いされたので、いつもよりも豪華でフリフリのドレスを着ている。ふわふわのピンクのシフォンが花びらのように広がっている華やかなドレスだが、シフォン生地で作られているので軽くて着心地がいい。着てみせるとお父様はもちろんお母様、お兄様達も可愛い可愛いって嬉しそうに騒いでいた。小さい子にドレスとか着せるの可愛いよね〜私も先生時代に可愛い可愛いって騒いでたから気持ちは分かる。


私は昨日やらかしたので念のため、夕方から夜にかけては部屋から出ないように言われた。元々人が来る時間は部屋に引きこもっているつもりだったけどね。


私はお昼を食べ終え、筆記用具を持って温室へ向かって移動中。昨日歌った曲が家族みんなに好評だったので、譜面におこしてみんなが楽しめるようにしようと思ったのだ。でも屋敷全体が忙しいみたいでちょっと騒がしい…。なので静かなところは誰もいない温室しかないんだよね〜。


譜面におこして楽しめるようになんて自分の手柄みたいにしているけど、私が作った曲じゃないからなぁ…。前世の曲をそのまま使わせてもらっている申し訳なさはあるんだけどね…。関係者のみなさん本当にごめんなさい。


この国の楽器は前世の楽器に近い形と音色をしているので、こっちの世界でも前世にあった曲は受け入れやすいと思う。でも、ピアノの音がね〜…ちょっとチェンバロのようなビンビンと響く独特の音なので、先生時代に聞いていた音じゃないからちょっと耳慣れないんだよね〜。



ん?今、誰かに見られてた??…気のせいか。ランスさんとシドさんも同じ方向を見ていたけど、誰もいない。

う〜ん、まぁ、いいか。シドさんは一応連絡用の魔法を展開し、お父様に報告を入れていたけどね。用心に越したことないのかな??



そんなことを考えながら移動していたら温室につきました。私は早速、羽ペンを使って書いていく。羽ペンって使ってみたいな〜って憧れはあったけど、実際使うと扱いにくい。ペン先は潰れるしインクもすぐ切れる。なので私はペン先を固くしてインクも軸のところに溜まるように魔法で調整している。ペンも何とかしたいんだけどね〜。


カキカキカキ…


あっという間に、2曲を譜面に起こし終わった。う〜ん、やっぱりピアノで弾きたいな〜。


魔法で何とかならないのかな??


………。やってみる…?魔法ってイメージでやるみたいだし、もしかしたらできるかも!!


よし、やってみよう!!


一応他の人に見られないように温室全体に防音と目隠しの魔法を展開し、中に入れないようにする。


では、やってみますか!!私は前世の記憶を思い出しながらグランドピアノをイメージした。


お願い、出てきて〜!!


バーン!!!!!


「できたぁ〜!!!やった〜!!!」

やってみたらできちゃったよ!!チートってホントありがたいー!!!久しぶりにピアノが弾けて嬉しいな〜!!指が小さいから前のようには弾けないので、届かない和音やペダルは風魔法で鍵盤を押して補う事にする。


久々のピアノ、ドキドキだな〜!何を弾こうかな〜…。考えながら上を向くとお日様の光が温室のガラスから降りそそいでいる。天使の梯子見たい…。


その、綺麗な光を見て思い出したのはウィー○少年合唱団の子ども達が歌っていた荘厳なあの曲。癒しを求めてよく聞いてたんだよね〜。


よし、あの曲にしよう!私はピアノを弾きながらあの歌を歌っていく…。精霊と天使が出てくるあの曲を…。


〜♪〜♪〜


曲が終わって、余韻に浸っていると思わぬことが起こった。


パチパチパチッ!!


突如、拍手の音が響いたのである。ビックリして振り向くとお父様と同年代の物凄いイケメンが微笑みながら拍手をしていた。金の髪と瞳で、豪奢な服を纏いどこか威厳のある人だった。


「素晴らしい演奏と歌声だったよ、お嬢さん」


「…あ、ありがとうございます…」

誰なんだろうこの人…。護衛の2人を見たら護衛に支障がない範囲で、失礼のないよう頭を下げている。と言うことはある程度地位のある方なのかな?あれ、私は入れないようにしていたはずなんだけど…破られた感じはしなかったからもしかして魔法を展開する前から温室にいたのかな…。


私がう〜んと考えながら魔法を解くと、入り口からドアが開く大きな音とともにお父様が入ってきた。


「おい、貴様!!私の屋敷を無断でうろつくんじゃない!!セリーヌ大丈夫か?!変なことされなかったか?!」


「失礼だな〜。私が目に入れても痛くないほど可愛がっているお前の娘に変なことするわけないだろう?」


「黙れ!!現にお前はセリーヌを追いかけてるじゃないか!!」

お父様はさっと私を隠すように抱き上げた。それに臆することなくイケメンさんは私たちの方に歩み寄ってくる。


「心外だな〜!私はお前が自慢の娘を見せてくれないから、見たくてこっそり見ていただけだよ。たまたま庭を歩く彼女を見かけて、思わずついてきたんだよ。お前に言ったら絶対会わせてくれないからね」


お父様は顔を顰めて、思いっきり舌打ちした。イケメンさんは、こっそり盗み見ていた私と目を合わせると、顔を寄せてきた。


「こんにちは、急に現れて驚かせてしまったね。私はこの国、リュミエール王国の国王、リュカ・ド・ラ・リュミエールだよ。ぜひ仲良くしてほしいな」

そう言って笑うイケメンを思いっきり見つめてしまう。国王様なの?!っていうかお父様めちゃくちゃ悪態ついて舌打ちしてたけど不敬罪にならないの?!


「あっ、えっと、セリーヌ・ド・ラ・ジファールです。国王様にお会いできて光栄です」


「おぉ、セリーヌはヒューゴと違って素直で可愛らしいな〜!」


「…お前に話したいことがある、私の執務室に来い。セリーヌ、今日はもう部屋で遊んでいなさい」


「…はい、分かりました」


そういうとお父様と王様は温室を出て行ってしまった。国王様はまたねと言って手を振ってくれたけど、その手を素早くお父様にはたき落とされていた。


2人が去った後、取り合えずグランドピアノをアイテムボックスに片付けることにした。アイテムボックスは魔法が使える人なら大体持っているみたいだから安心して使える。でも入れられる大きさは魔力量に比例するらしいんだけど私は大きなグランドピアノも余裕で入れられる。と言うか私のアイテムボックの底が見えない感じがするんだよね…いけない、いけないあんまり考えないようにししよう。


そして片付けを終えて、先程のことを思い出す。う〜ん、どこから見られていたんだろう??まずいことにならないといいんだけど…。私はそんなことを考えながら部屋に戻ったのであった。

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