Side 家族会議&まさかの乱入者
我々は公爵家の防音壁や魔法の結界が施された会議室に集まった。
「ヒューゴ、これは由々しき事態だぞ。6属性持っているだけでも稀有だと言うのに、更には精霊王達との繋がりもあるなど前代未聞だぞ。」
「あぁ、分かっている。王家や教会、他国からセリーヌを守るためにもこうやって集まって対策を練っているんだ」
「うむ…武力面では私がなんとかしよう」
「お父様、ありがとうございます。王国の騎士団長であるお兄様にも協力していただきましょう」
「あぁ、任せろ」
「地方の有力貴族への根回しは私が担当しよう。お前は王家と王都周辺の有力貴族への根回しをしろ。」
「あぁ、何としてもセリーヌには自由に伸び伸びと育ってもらいたい。そして王家に嫁になどやらぬ!!他国もだ!!聖女として教会に囲われるのも我慢ならない!!!」
「「「その通りだ(よ)!!!!!」」」
我々が頷き合った瞬間に部屋が光に包まれた。
『良い心がけだな』
「っ!!!精霊王様!!!」
光と共に現れたのは6人の精霊王だった。我々が平伏しようとするとそのままで良いと声をかけられた。
『セリーヌは我々の愛し子であり友達でもある。あの子を利用しようとするものがあれば容赦はしない。…まぁここにいるものに、あの子を利用しよう考えていないようで安心した。さすがはセリーヌの身内だな』
光の精霊王は嬉しそうに頷いている。私は無礼を承知で光の精霊王に声をかけた。
「光の精霊王様、伺いたいことがあるのですがよろしいでしょうが?」
『あぁ、良いぞ。しかし私はもう名前があるのだ。そちらで呼ぶのをお前達にも許そう。先ほどセリーヌに新たに名前を付けてもらったのだ。私はオパールだ』
「「「「っ!?」」」」
あまりの事に状況が飲み込めない。驚き過ぎて声が出せない中で、精霊王達は嬉しそうに口々に自分達の名前を教えて下さった。
いけない、状況に飲み込まれるな。私は宰相としての仮面を被り冷静を装ってオパール様に声をかける。
「そうだったのですね。素敵なお名前です。あのお伺いしたいのですが、セリーヌは…その…なぜあのように稀有な力を持っているのでしょうか??」
『ふむ、我々の口からはまだ言えないが洗礼の際に教会に行けば自ずと分かるだろう』
つまり、精霊王でも言えないということは更に上の存在である創造神に関係していることなのか?まず、5歳になり状況が分かるようになるまでは気を引き締めて慎重にことを進めなければならない。
『そう重く捉えるな。我々がセリーヌのことはしっかり守るし、お前達も気にかけていよう。お前達に何かあればセリーヌが悲しむからな。』
『そうね、あの子の妨げになることがあれば、私達が全力で潰してあげるわぁ』
『アンバー、あんまり不穏なこと言わないの』
『えぇ〜だって〜!』
『そうだぞ、本当のことだけどな。アハハッ!!』
精霊王達の怖すぎる発言に肝が潰されるような気持ちだ。絶対に敵に回してはいけない…。
『…王家や教会、他国について苦慮しているようだったが、あの子に無理強いすればこの世界で生きていけないことを伝えてやれ。』
ジェット様〜!!!!!怖い〜怖すぎる〜!!!!!家族みんなガクブルである。
『もう、みんな落ち着いてよ〜!みんなが怖がってるよ〜!』
エメ様の言葉で皆が少し冷静さを取り戻した。
『ねぇ、他に聞きたいことはないの?』
『あの、あの子は他の子に比べて早熟と言いますか…大人のような対応を見せたり我々が知らないことを知っていることがあるのです…セリーヌは無意識のうちにやっているようなのですが、その理由について教えていただけますか?』
『あぁ〜…これも俺達の口からは言えないかな…?洗礼までは今まで通り見て見ぬふりしてあげなよ』
「エメ様…分かりました。ありがとうございます」
『まぁ、セリーヌは確かに他の人とはちょっと違うところもあるけど、君達の家族であることは変わらないよ。今まで通りに接してあげな。その方があの子も喜ぶと思う』
「「「「はい」」」」
『何かあれば、我々の名前を心の中で呼びかけなさい。対応できる時は応じてあげるよ』
『あ、そうだわ。あの子のことをこの国の王家に伝えるのは構わないけど、他国に伝えるのは5歳の洗礼まではやめておきなさい。知らない状況で動くのは得策じゃないわ』
「サフィー様、承知しました」
「あ、あの私からもひとつよろしいですか?」
『何かしら?』
「セリーヌは、魔法を使うときや歌を歌っているときに髪が虹色に輝くんです。そして今日歌を歌っているとき瞳も虹色に輝いていたんです…これはオパール様とジェット様と何か関係があるのでしょうか?」
『それは…我々2人はよりあの方の力を多く受け継いだからな』
『そうだな。ま、そんなに気にするな!!』
ジェット様とオパール様は2人で頷き合っていた。あの方とは…?
『では、また遊びに来るから!じゃ〜な!!』
そう言って精霊王達は姿を消した。会議室には沈黙に包まれる。とりあえず精霊王達の後ろ盾は得られたので、今後の交渉は優位に進められるだろう。
我々は、明日の私の誕生日パーティーでの各々の動きを確認し、会議を終了した。
とりあえず疲れ果てたので、充電しようと思っていたらみんなが同じ方向に歩いていることがわかった。みんな考えることは同じなようだ。我々はセリーヌの部屋に行き、癒され明日への英気を養ったのであった。