表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/93

Side ヒューゴの回想&家族会議へGo!

私の誕生日のお祝いをしたいと言って、セリーヌが手作りの招待状を持って来てくれた。余りの嬉しさに我を忘れてセリーヌを抱き締め過ぎてしまった。危ない危ない、セリーヌは小鳥のように小さくて可愛いから気をつけなければ。


セリーヌの持って来た招待状を再び眺める。水色の可愛らしい紙には丸みを帯びた文字が書いてある。なんとセリーヌは兄達から読み聞かせをしてもらっていたら文字が分かるようになり読み書きができるようになってしまったのだ。

しかも手先が器用で、この招待状にも紙を折って作った花で飾られており、立体的で薔薇の形になっている。紙でできた花なんて今まで見たことが無くて、これは何か聞いてみた。すると『折り紙でバラを折った』という答えが返ってきた。折り紙ってどんなものか詳しく尋ねると、まずいって表情になり目を泳がせながら紙を折って形を作るのを折り紙というと教えてくれた。


セリーヌは時々我々が知らないことを知っていたり、大人な対応をしたりすることがある。無自覚にやっていることが多く、それが当たり前だったからそのようにやるという感じだ。


セリーヌは誰に対しても対等に接している。身分など関係なく公爵家の使用人達にも丁寧に対応するし、何かしてもらうと「ありがとう」とお礼を言っている。使用人なのだから本来は礼など必要ないのだが、初めは戸惑っていた使用人達も今では嬉しそうにしている。セリーヌがお礼を言うようになってから我々も自然と使用人と会話をしたり礼を言ったりするようになったことで、今まで以上に仕事を頑張ってくれるようになった。



私の娘は天才であり天使なのだと改めて感じていたが、今回のお茶会で自分の認識の甘さを痛感した。



温室はみんなで一つのテーブルに座り、話ができるようになっており席にはかわいい小さなブーケが置いてあった。そしてそのブーケには参加してくれてありがとうというお礼のミニカードが添えられていた。

みんなで花を眺めたり話をしたりして楽しい時間を過ごすことができ幸せを感じていた。お茶会に参加した他の家族も実に楽しそうにしている。薔薇のローズヒップティーは香りも味も素晴らしく、酸味のあるお茶は一口だいにしてあるお菓子と一緒に食べると丁度良い。アレクシとフィルマンはセリーヌを抱っこできなくて拗ねていたが、セリーヌにあ〜んってお菓子を食べさせてもらってすっかりご機嫌になっていた。


お茶会が終盤になってくると、セリーヌがプレゼントに歌を歌うと言ったときは皆で驚いた。練習していたこともしらなかったので、私のために色々と準備してくれてことが嬉しかった。


今までの全てが素晴らしかったが、何と言っても歌は格別だった。始めに歌った誕生日を祝う歌は今まで聞いたことがなかった。愛らしく歌う姿に感動し、皆涙ぐみ泣かないようにするのに必死だった。そして風魔法を使って薔薇のポプリまでプレゼントしてくれた。もう、今日死んでもいいくらいの幸福感に包まれていた。皆がふわふわと宙に浮いたようになっているともう一曲歌うと慌ててセリーヌが声をかけてきた。そういえば2曲歌うって言っていたな。しかもお友達と歌うと言う。


お友達?セリーヌの知っている同じ年頃の子どもは従兄弟のリアムとジュリーしかいないはず。しかも今日はここには来ていない。皆が疑問に思っているとその答えは急に現れた。



そう、急に現れたのだ。



セリーヌを囲むように現れたのは掌サイズの妖精達。しかも光、闇、火、水、土、風の妖精達だ。妖精が姿を現したのは建国以来のことである。しかも、それさえも神話のように語られているだけで実際に存在しているところをみた者はいない。


小さいが妖精は言わば精霊王達の分身であると言われている。どうしてセリーヌが妖精達と一緒にいるのかあまりのことに理解が追いつかない。そして平伏することを忘れて、セリーヌと妖精達を見る。


目を瞑って静かに歌い出したセリーヌはこの世のものとは思えないほと、神々しい光に満ちていた。髪が虹色に輝き、精霊達は一緒に歌い、花を舞わせたり楽器を演奏したり…この世の物とは思えない美しさ…。神の国とはこのような世界なのではないかと思わず考えてしまった。

もう一度繰り返し歌い出すと今度は可愛らしく身振り手振りで更に華やかだった。しかもセリーヌが私に投げキッスをしたときには本当に心臓を弓矢で撃ち抜かれたかと思った。

そして、歌が終盤に差し掛かった時に父に肩を叩かれてハッとして我に返った。そして皆で平伏し精霊王達と対面した。セリーヌが訳が分からない様子で戸惑っていた。その後、精霊王達が去ってから詳しく状況を確認しセリーヌが歌の練習をしている時に出会ったことと、セリーヌ自身は妖精がいるのが普通だと思い込んでいたらしく、しかも妖精は精霊王の分身だと言われていることも知らなかった。


私の娘の規格外さに驚いてしまうが、それと同時にセリーヌならありえるかと思ってしまう自分がいる。やはりセリーヌは可愛くて天才で天使なのだと改めて思った。



そして私の愛娘を守るためには更に作戦を練らなければならない。同じ思いを抱いていたのは他の家族も同じようだった。我々はセリーヌにお礼を言い、早速会議をするために温室を出ていくのであった。


そして会議を始めてすぐにまさかの事態になるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ