A11
デジモンを再開しました。何モンになるかな? ナニモンになったら面白いけど、バージョン3だからならないんだ。ふふふ、面白い洒落だったかな?
創作方法
S「小説にしろ、ゲームブックにしろ。まずはプロットを作って、構想を練りますよね。でも、Yさんはプロットを作るという工程がないんですよね。どうやって、書くべき内容を見つけ出すんですか?」
Y「ゲームブックも物語ですので、広義の小説です。だから、同じに考えましょう。プロットというのは、物語が完結に向かうまでに踏むべきステップを考えるんです。だから、桃太郎を書くなら、登場人物がそれぞれいる→おばあさんが桃を拾って、そこから桃太郎が生まれる→桃太郎が鬼退治に向かう→途中で仲間を加える→鬼ヶ島に言って、鬼を倒す
となるわけです。それを考えてから、どういう経緯で桃太郎が鬼退治に行くのかとか、どうやって鬼を倒すかとか、そういう小さなところを考えるんですね」
S「それが一般的ですよね。書くべき筋道を先に考えておく。そうしないと、書けないですよ」
Y「確かにそのほうが安定しますし、書きやすいですし、読み手を考慮した作品を書きやすいです。でも、そのメリットと同じぐらい大きなデメリットを抱えてます。もちろん、これは個人的に感じているデメリットであって、普通の読者には何の関係のないことかもしれないですが、プロットを書いて、本編を書いているとき、プロットと違う方向に話が進んでしまうことがある。すると、修正を余儀なくされる。修正はそれほど難しいことではないし、問題はそこではありません。俺が言いたいのは、プロットを作ったときより、精神世界に新しい発想が日に日に出てくるということです。それらを取りこぼさず、確実に利用するためにはプロットを作って、それに沿って作っている状態では不可能です。プロットを作って、それに沿って書いていると、新しい発想を取れない。これは俺自身が経験したことなんです。専門書とかビジネス書のような絶対的なものなら、プロットを作って書くほうがいいに決まっていますが、小説は発想の組み合わせが60^{12000以上}という莫大な数になります。これだけの発想を処理するには人間レベルではもはや無限と呼んでもいいぐらいです。つまり、新しい発想は常に生まれてくる。それを確実に取って、最も適切に組み合わせるためには常に新しい状態でないといけない。それにある登場人物の視点に立ったとき、世界に対して、その人物の未来は不明なので、知らないはず。そして、そこから確かに何かが起こる。それをやりたいから、創作を始めたんですよ。別に世界にリアリティを求めているわけではありませんよ。難しくてうまく説明できないんだけど、リアリティというのはあくまで認識している世界と比較して出てくるものだと思う。なら、認識する世界が精神世界となれば、精神世界がリアリティを決定付ける基準にならなければならない。だから、俺の作品はかなりリアリティがあるんです。でもそれは、現実と比較してではなく、精神世界と比較してという意味なんですね。精神世界を基準にしてリアリティがある作品にしたいと思ったんです」
S「何だかよく分かりませんが……」
Y「視点を変えたとき、確かにそこには色々な設定があるんです。例えば、ある人物の視点と別の人物の視点で何かが異なってくる。だから、視点が出現する都度、その視点での設定を考えるんです。だから、俺の作品にはプロットがない。常に視点が登場するたびに、その視点を考える。だから、プロットはないけど、その都度、思考する機会はかなり多い。ある人物が高校に転校してきたとすると、そのある人物の持っている設定はすべて思考する。そして、そこで出会う人間の設定も思考する。そういうふうに視点が出てくるたびに思考する。だから、何がどうなるかは時の運というわけです」
S「何となく分かった気がします」
Y「同じような創作方法を取っている人はいるかもしれないけど、ほとんどいないと思う。俺の場合はかなり数学的な組み立てなんです。普通、作品を書こうと思ったら、物語風に組み立てるけど、俺は数学的に組み立てる。常に未解決定理を相手にして創作しているようなものなんです。終わりはまるで想像できない。どうすれば解けるかも分からない。そんな状態で何とか突破口を開こうとする。そんな感じなんですね」
S「何かすごいと言えばすごいですね」
Y「ただ、この方法だと安定感がないので、完全な自己満足にしかなりません。書くのは一番楽しいですけどね。数学的に考えるのが、俺のモットーですね」
人生における創作
S「Yさんは生きている限り、創作を続けるつもりですか?」
Y「創作はライフワークですから、行き続ける限り、思考が可能な限り、手が動く限り、創作は続けますよ。いわば、僕の唯一の趣味なんですよ。創作以外に楽しみがないという。もちろん、食事、睡眠などは別としてね」
S「なるほど」
Y「朝起きて、思うことは、どんな作品を作ろうかということです。最終的にゲームブックに一貫したいと思ってるんです。ゲームブックが一番書くのが面白いからね。小説というと、文学、娯楽に分かれますが、ゲームブックは娯楽に含まれる。娯楽は文学に含まれますし、小説自体が文学に含まれるから、ゲームブックも文学ですね。(笑) ただ、かなり適当に書き綴ったから、少し整理しようと思う。整理にかなりの時間がかかると予想出来る(半年ぐらい)から、その間は創作活動が停止することになる。整理後は、何とか、ひとつずつ完結させていきたいと思うけれど、実は初期時代(最初の27作品)はプロットはもちろん、設定も書かずに書いていたから、矛盾が多数に存在しているんです。でも、完結義務があるから、やり直せない。そこで、矛盾を矛盾でなくなるような設定を作らないといけない。まあ、何とかなってくれると思っています。それから、演出もかなり少なくするなど、かなり方向性が変わってきている。けれど、演出を消すということは精神世界の一部を封印するのと同じだから、0にはしたくないと思う」
S「今、完結義務と言う言葉が出ましたけど、芸術家は気に入らないものは潰してしまいたいと思っているらしいのですが、Yさんは違うのですか?」
Y「気に入らないものは消してしまいたいけれど、精神世界は物質でないから決して消えない。どんなものであっても、完結させておかなければならないんですよ。だから、完結義務があるんです。完結を怠ると、その世界は不安定なままで、その世界の住民の迷惑になってしまいますしね。(笑) 何より、そこまで読んで下さった人が一人でもいれば、その人の迷惑になりますからね」
S「作品はどんな不満があっても完結させなければならないわけですね」
Y「そうです。かなり時間がかかるかもしれないけれど、完結させる必要があるんです。書いている途中に他界してしまったら、仕方ないですけど。それで、どんな作品も『自分にとって面白く。自分のための作品』のスタイルで書いています。だから、自分で理解出来れば、それで十分という感じですね。読者に理解してもらうということはあえてしないというのがモットーです。だから、技術的にはかなり低いと思います。ただ、そんな作品でも、自分にとっては他の作品の何よりも面白い作品なんです。それだけは強がりでも何でもなく言えますね。実際に自分の作品は何度も読めるけど、プロの作品は一回読むのも苦痛を伴う。どんな作品より、自分の作品は面白いと言えるんです。これが小説を書く楽しみですね」
S「自分のために書いた作品は自分にとっての最高の作品という意味ですからね」
Y「そうなんですよ。自分のために書いた作品は自分の感性に完全に当てはまっている作品なんです。そういう意味で、一番の作品です。それを達成することが出来れば、十分ですね」
働きながら小説を書く
S「作家の半分は作家だけでは生きていけないといいますよね。働きながら小説を書くのはかなり酷ではないですか?」
Y「嫌なことをするなら酷ですけど、好きなことなら酷ではないと思います。副業は専ら設定を思考する時間と考えればいいですね。そういう意味で、集中力をさほど要さない仕事をするのがいいと思います。小説を書く以外に趣味がない人は、一日3200円稼げば、生きていけますので、暇な仕事で時給700円なら、かなりのいい商売ですね。暇な仕事といえば、客が来たときだけ応答すればいいド田舎のコンビニとか」
S「仕事も経験と言いますけど、それはどうですか?」
Y「経験は重要ですけど、的を絞った経験でないと意味がない。それに経験を活かすためにはかなりの思考力や構成力が必要ですしね。思考力があれば、取材で何とかなるし、ネットで調べて書けてしまうこともある。経験は重要ですけど、経験を通して得られる思考力や構成力のほうが重要ですね」
S「確かに意味のない経験をしても小説には応用できませんよね」
Y「意味のない経験はほとんどありません。小説を書くという作業は経験の八割以上を使うことになります。ボーっとしていた日々もすべて必要になってくるんです。怪我をした経験、いじめられた経験などがすべて活かされるのが小説なんです。嫌な経験はむしろ、強い経験となって、強い小説を書くことを助けます。俺の場合は、99パーセントの経験が辛い経験なので、それが活かされた作風になっている」
S「どんな経験もすべて材料になる。小説と言うのはそこが強みですね」
Y「辛い経験がそのまま、武器となるからね。辛いことは損だと思っていたけど、小説を書くようになって、損したぶん、同じだけ得が返ってきた感じですね。小説を利用して間接的に強い憎悪をぶつけることも出来るから、小説と言うのは本当に強い存在です。人前でいえないこともいえる文字というのは人間の作り出した最高傑作だと思う」
S「働きながら小説を書く場合、出来るだけ負担のない仕事のほうがいいですよね」
Y「人生をかけて小説を書いている人でないなら、収入も問題になってきますね。だいたい、小説を書くのが好きな人は小説に狂ってますから。俺とかね。本当に小説を書く以外に何もない。食費が一日百円でも文句は言わないと思います。ただ、物価の上がった今日、一日百円はきついですね。二百二十六円ぐらいなら、比較的楽ですけどね」
S「二百二十六円でもかなり少なくないですか?」
Y「かなり少ないですよ。でも、栄養をきちんと取って、生きていけるレベルにはなれます。もちろん、病気になったら、自力で治さないといけないし、治せない病気にかかると、ジエンドですけどね。でも、昔は治せない病気にかかるとジエンドだったんですよ。昔と同じ感覚になれれば。食費が8000円、光熱費が1200円ほどとして、一番古いアパートで家賃が12000円、週に一度入浴すればいいので、入浴代は高々2500円。ちなみに毎日入浴すると、7倍になる。PCは10万で買えば、30年以上持つので、さほどの出費にならない。ネットを接続しても、月々高々10000円。高いなら、ネットカフェでやりたいときだけ行く。高々2000円以下。手取り60000円なら、何とかなる。まあ、貯金しておかないと突然の出費に対応できないけど。ちなみに保険を払っておかないと、大きな病気になったら万事休す。死を受け入れるしかない」
S「突き詰めたらかなり減るもんですねぇ」
Y「まあ、机上の空論ですけどね。実際、食費8000円で栄養をきちんと取るにはかなり難しい。サプリメントの力が必須です。断食と組み合わせても、二十日分の食費が必要ですからね。ただ、人間のホルモンはかなりの低血糖に耐えられるようになっています。後はフリマでどれだけ安く衣服を手に入れるかですね」
S「何かどっかの生活テク本みたいな」
Y「0円生活とかの本も探せばあるかもしれません。極めれば、0円で生活することも可能かもしれないですからね。まあ、働きながら小説を書き続けるためにはかなりの低賃金で生きていく強さが必要かもしれない。結婚なんかを考えるなら、小説を単純な娯楽と捉えるほかない」
作品理論
S「現在、莫大な数の作品がありますが、Yさんはどれぐらいの作品を鑑賞してきましたか?」
Y「小説は200冊ぐらい。アニメで50作品ぐらい。漫画で800冊ぐらい。ゲームで70作品ですね。アニメとゲームは作品数。小説と漫画はシリーズものでも分けています」
S「それぞれのおススメを教えて下さい」
Y「個人的に面白かったものは、小説では死定席、アニメでは火垂るの墓、漫画ではドラえもん、ザ・シェフ、Y氏の隣人、ゲームでは真女神転生、風来のシレンなどですね」
S「なるほど」
Y「どれも名前ぐらいは聞いたことあると思います。どれも有名どころですが、別に人気に比例してはいません。爆発的ヒット作品でも、かなり低いものはあります。やっぱり自分に面白いものは感性に触れてきますね。強いと感じさせます」
S「有名どころを論じてほしいと思うのですが、ラノベ界の最高点といえば、涼宮ハルヒシリーズだと思います。この不景気の時代に単巻60万部も売れているわけです。少し前なら、200万部ぐらいの価値がありそうです。これについては?」
Y「ハルヒと言うと、憂鬱と消失しか知らないのですが、見た感じではかなりのレベルにあると思います。憂鬱から見ると、序盤の50ページぐらいまでの構成力は標準以上だが、そこから100ページぐらいまで中だるみは否めない。それでも、低くはなく読み勧めていく。100ページあたりでついに核心と思われる『情報統合思念体』が出てくる」
S「長門がしゃべるところですよね。ただ、あれはかなり読者を選んだ部分だと思う」
Y「SF好きにすればかなり興味深いところに触れているが、それ以外にはデンパなことにしか聞こえないかもしれない。ただ言っていることは簡単で、通常の人間では認識できない情報を認識可能な思念体がいて、その思念体の持つ情報からすれば、人間に知性が存在することはありえない。よって、その謎を解く可能性のあるハルヒを調査しているというわけだ。物理学の全貌も悟っている可能性があるので、かなり大規模な展開をするかと思って、ワクワクしたのでけれど、それを包み隠して内容が展開。小泉の話ではかなりのエージェントが入り込んでいるということだったが、それはかなり大きな伏線だといえる。それをその作品ではまるで解決させず、情報統合思念体は展開にまるで関わりを持たないし、情報を得るために主人公が何か行動を起こすのかと思ったら、それもない。SFの方向性をちらつかせて、多くの謎を残したまま、終わりを迎えたのが憂鬱の感想。かなりワクワクする終わり方だが、その後は早くも引き伸ばしに入っているらしく、かなり中途半端な感は否めない」
S「ただ、愛読者はそんなものは気にしていない様子ですよね」
Y「そこですね。個人的にはせっかく出した思念体を活かすべきだと思った。SF好きからすれば、どう考えても中途半端なのだが、それが絶妙なバランスなのかもしれない。あまりSFの方向に引っ張ると、ラノベっぽくならないし、完全に萌え路線を強調すると、しまりがなくなる。でも、SF愛好家からすると、かなり中途半端な路線といえる。多くの脈を繋いでいるのに、一人称と言うのも痛い」
S「でも、このシリーズはむしろ一人称だからいいという人も多いですよ」
Y「それはあるかもしれない。ただ、個人的には読みにくいだけだった。早くSF方向に入らないかと見ていると、結局入らないまま終わった。消失も今度こそ思念体を介して、大きな情報を手に入れて、大きな展開をするかと思ったら、小ぢんまりと収まっていた。あえて、じらしているのかもしれない。または、これもバランスを取るための策なのかもしれないが、この手のSFでは三人称にしない限り、大きな飛躍は望めないと見れる。個人的にはですけど。商用的にはキャラを売り込めて、大成功みたいですね」
S「ゼロの使い魔なんかはご存知ですか?」
Y「知ってます。自分の知っているライトノベルの中では一番うまく書けていると見ている。まず、文章の読みやすさが好印象。(無駄は多いが) どの展開も標準以上だし、作者は逆境を書くのに長けていると見える。問題はあまりに最初を混雑にしすぎたところか。ドラえもんならほんの五ページでのびたとドラえもんが馴染んでいるのに、こっちは馴染むのに何十ページも費やしている。1、2巻の逆境の描写は程度が高いけれど、逆境が去ると、どちらかと言うと、退屈になりやすいのが難点か」
S「灼眼のシャナは?」
Y「1巻はさほどでもない。2巻以降の成長振りに驚異的なものがある。ゼロの使い魔同様、最初にもたつきすぎたのが、1巻と2巻以降に格差をつけたと思われる。さほど難しい設定ではないのだが、小難しく描きすぎたために、少々わかりにくい。ただし、2巻以降は驚異的に成長し、安定し始めた。終始退屈しない展開ができているし、テンポもいい」
S「とらドラは?」
Y「終始退屈しない展開では2巻以降のシャナと同じだが、こちらはコメディの路線に一貫している。さほど大きな伏線を張るといったことはないが、終始退屈しない展開はいい。後、主人公に好感が持てる。悪いところを見つけるほうが難しい。グッド。かなりの良作。本来ならラノベで頂点に立っているはずの作品」
S「ミステリに入りますと、三つの棺は?」
Y「ほぼ究極の密室トリック。解はさほど驚くべきではないが、読者に与えるヒントが絶妙で、推測だが、読者に推理しやすいように、どちらかと言うと、難易度は低く設定してあると思われる。俺は解けなかったが、注意深く見ていれば、解けていたと思われる。そういう点で究極の密室」
S「緑は危険は?」
Y「犯人候補をある程度絞れるところがいい。第二の人物が殺害されたとき、それをもう少し注意深く見ていれば、解けていたかもしれない。トリックは極めて秀逸で明快。ただ、解くためにはかなりの洞察力がいる。これは難易度が高い」
S「人間の証明は?」
Y「複数の視点が調和するところは見事。ただし、刑事の視点に立ったときの展開にもたつきがあった。また、ニューヨーク視点の絡みも浅かったので、インパクトを欠いた感がある。多くの視点が最終的に集中してきたあたりの緊迫感は秀逸。最後の棟居刑事が詩を読んで追い詰めるところはかなり良かった」
S「野生の証明は?」
Y「極めて秀逸。こちらを代表作にするべきでは? 最初に大きな謎を置いてのサスペンス。大場一族に抵抗するという大掛かりな設定と最初の凶悪事件との調和は見事で、ほとんど難がない。言うなれば、最後が少々分かりにくかった。この作品はサスペンスの代表作としておきたい」
S「カタコンベは?」
Y「審査員が思いっきり悪く言っていたから、ダメなのかと思えば、最近の乱歩賞の作品と比較すれば、程度は高めで、若くしてここまで書けるなら、もはや十分だと思う。ケイビングの描写は確かに見事。しかし、最初のひきつけの弱さ、終盤のもたついた展開が難。最後も緊迫感がうまく出せていなかった。しかし、中盤の海底の描写はかなりのものだった」
S「アニメに入ります。千と千尋の神隠しは?」
Y「作画は優秀。標準を大きく超えているし、丁寧。けれど、ストーリー構成に難が多い。ストーリー展開はつなぎつなぎで、要所が幅広く関わっていない。せっかくの発想もほとんど深く掘り下げる前に終わりを向かえる。恐らくだが、わざとストーリーレベルを落として、演出を強く引き出したのだと思う。実際、ストーリーな標準以下だが、演出のレベルはかなり高い。児童文学だからさほどストーリーのレベルを上げる必要はない。重要な演出でしっかり見せればいいわけだ。そういう点を考慮して、作品の完成度とか質はかなり高い。けれど、ストーリーを優秀度の軸に持ってくると、程度は標準に大きく届かない。言わば、人を選ぶ作品。賢い子供はもののけ姫と比較して、物足りなさを感じたと思われる。もののけ姫はストーリー構成も丁寧で総合的に程度が高く傑作だった」
S「フランダースの犬は?」
Y「作られた年代を考慮しなければならないが、厳しく今の基準でいくと、ストーリーの構成は標準程度。作画も標準的で、時代考証もさほど行き届いた感はない。感動のレベルも標準を超えるとは評価できない。けれど、作られた年代を考慮すると、後生のアニメに多大な影響を与えた傑作。極めて、重要な位置にある作品」
S「時をかける少女は?」
Y「作画はさすがと言えるほど、程度が高い。神隠し同様、ストーリー構成に難が多い。SF染みているが、掘り下げは甘いし、ジャンルを恋愛と見ても、極めて中途半端。時折入るギャグは秀逸なものに比べて劣るし、展開が淡々としすぎている。映画賞を考慮すればこれ以上、質を上げるわけにはいかないのだろうが、方向性をしっかり見据えておけば、かなり威力のあるストーリーを展開できたと思われる。エッセンスは高い。賢い人には厳しいが、万人に対してはかなりの威力を発揮したかもしれない。視聴者に対して、かなりの配慮がされているし、そういう点で極めて高く評価出来る」
S「舞乙HIMEは?」
Y「作画シナリオともに標準以上ではあるが、前作ほどの構成力はないと思われる。前作の特に後半は極めて程度が高い。ストーリー構成は受験数学に例えると非常にわかりやすい。万人受けするシナリオというのがいわゆるセンター数学やチャートなどに載っている典型問題にあたり、程度の高いものが東大、東工大の数学に値するのだが、舞HIMEの後半の構成力はやや難の東工大レベルであった。数学は東大<東工大だから、アニメ界のストーリー構成では『最高クラス』の完成度と考えられる。本作はそれより劣って、標準的な問題となっている。ちょっと見ると、万人受けするセンター数学と言うのは、だいたい解法が思いつくもので、公式を利用するところに本質がある。万人受けしない東工大というのは着眼点を変えていかないと正解に辿り着けない。まずは公式を当てはめるのではなく、落ち着いて、問題文を理解するところから始まり、条件を初等数学の知識を使って、突き進み、必要な公式を得ていく。解いてみれば大きな違いが分かる。シナリオも同じで、一般にいいと言われている作品というのは、すぐにエッセンスを見出せるので、楽に進める。高度なシナリオはひとつのエッセンスを次の展開と調和を試みたり、高次の伏線で幅の広い展開をするなど、シナリオという線が美しく展開する。数学の展開に似ているのである。そうすると、本作はさほどストーリー構成は高くない。しかし、演出が高いので、演出の評価を強調すれば、本作が上がってくる。いずれにしても、標準以上の完成度を持っているのは間違いない」
S「次はゲーム。ポケモンは?」
Y「DSになり、奥深さが出てきて、対応出来る年齢層は極めて広くなった。さまざまな年齢層に対応しているので、通信の幅も広げることに成功している。ただ、万人に受け入れられるようにしないといけないので、これ以上、シナリオを強化出来ないという難点がある。また、単調さも拭えない。さらには努力値が510制度になったので、うっかりポケモンを戦わせることが出来ず、気にする人はシナリオを進めるのに苦労する。レベルアップ時に好きなステータスに努力値を割り振るようにすれば、そういう苦労が解消したりするが、それだとレベルを上げないと努力値を上げられなくなるという欠点が出てしまい、野生ポケモンの努力値をどうするかで問題が生じてしまうので、難しいところである。とはいえ、総合的に難があるわけではなく、優秀である点に変わりはない」
S「FFは?」
Y「SFC(4、5、6)は年代を考慮してもしなくても、優秀で欠点がほとんどない。PSは、7に難があった。マップなどが全体的に見にくいうえ、奥深さで上がっても、SFCシリーズほどの素直さがなかった。8は総合的には高いが、バランスに難があった。ただ、9はSFCの風潮を持っており、SFC以上の破壊力を持ち合わせているといえるかもしれない。個人差もあるが、5と9の程度が圧倒的に高いのがFFシリーズの特徴といえると思う。10以降はかなり人を選ぶのではないだろうか。もし、5の続編を出すという情報が入れば、ゲーム界に一種の革命が起きると思われる。俺なら、震度8の地震が起きても発売日に買いに行きます」
S「シレンシリーズは?」
Y「全体的に難点がない。GBのシレン2はやや人を選ぶかもしれない。不思議のダンジョンのジャンルを最初に作ったのが誰かは分からないが、その人は天才としかいいようがない。物理学界では、アインシュタインの相対性理論が物理学界の最後の大きな発見だと言われていたが、不思議のダンジョンシリーズはゲーム界の最後の大きな発見ではないだろうか。RPGもアクションもシューティングもFC時代から掘りつくされていて、そんな時代に不思議のダンジョンと言うのは相対性理論の感がある。ところでどのダンジョンをどうやって攻略するかはネットで調べれば出てくるが、未だに掛け軸裏の洞窟の攻略方法を考えた人は凄まじいとしかいいようがない。なぜなら、『絶対無理』と思っていたことが、『無理ではない』ときたわけだから」
S「ロックマンシリーズは?」
Y「GB時代からすでにPS3ゲームの多くより面白いと事実がある。というのはロックマンは5まではGBで出ていて、どのシリーズも完成度が高い。4はダンジョンがよかった。5は4よりダンジョンの魅力は欠けるが、ユニークだった。6はダンジョンがよかった。7は総合的にレベルが高く。面白い要素が多かった。XシリーズはSFC時代の完成度が尋常ではない。アクションゲームとしてすでに完成された感がある。DASHシリーズは2より1のほうが安定しているところがある。いずれにしても、アクションゲームのトップはロックマン以外に考えられない」
S「どうもありがとうございました」
読解スキル
S「具体的にスキルについて、考えていきたいと思います」
Y「とりあえず言うと、ここまで読んでくれている読者は少なくとも、論理的な思考力に優れているのは確かですね」
S「と言うと?」
Y「いや、別にここまで読んだから頭がいいとかそういうのではなく、俺の作品と言うより、俺と会話するときは論理的思考力がないと、対応できない。決して学校の成績がどうこうというわけではなく、論理的か否かというわけです。言い換えれば、考察問題とかを解くセンスがある人は俺の会話には対応出来る。例えば、今まで読んできて、たぶん、何のことか分からない話題があったと思う。ゲームしない人がゲームの作品のことを読んでも何も分からない。で、考察問題は何も分からないことを前提に出題される。何も分からない文章を論理的に読んで、対応するんです。国立二次型の脳という感じですね。私立型の脳だと、たぶん対応が難しい」
S「確かにそれは言えているかもしれませんね」
Y「俺は何の知識もない状態で経済学の本を読んだりするけれど、対応しようと思えば出来ないこともない。知らないことを知っていること前提で書かれていても、対応すれば内容は理解できるし、けっこう楽しめる。論理的思考力がないとそうは行かないと思う。それに俺の話す内容はどの分野でも本質から派生するように進むから、論理的思考力がないと対応が難しい」
S「具体的には?」
Y「感情的に話す人がいるじゃないですか。例えば、戦争について考えるとします。僕の学生の頃は、作文で書かないといけなかったんですけど、それを発表するとします。戦争はいけません。人がいっぱい死ぬからですというようなものばかりだったんですよ。逆にどうして戦争が必要だったのか、メリットは何もないのか? などを掘り下げてくる学生は皆無で、正直つまらなかった。人が死ぬから戦争はいけないなんて誰でも分かる。問題はなら何でそんな戦争を学生風情より頭のいい国家が起こしたのか? となるじゃないですか。そこまで話が進むことはまずなかったですね。そここそが本当に考えるべきところじゃないですか。小学生でも、戦争がいけないことぐらい分かります。なぜかもわかります。その先なんですね。論理的思考力がないと進めない領域なんですけど、そういうところを考えれないと、たぶんここまで読み進められない。途中で飽きるかどうかしている。また、本を読んで不愉快になったから読み辞めたというようなコメントを残す人もいるんですけど、そういう人も俺の作品はまず読めない。論理的思考力が高いと客観的に見ようとするから、不快になっても、感情が先行しないんですよ。『そうか、そんなふうに考える人もいるのか。この人はどういう経験や思考からこう考えたのだろうか』と逆に考えを先行させていくんですよ。論理的思考力がない人は『感情』を先行させて、ある人は思考を先行させる。ここまで読むには論理的思考力がないとたぶん読めない。俺の作品って極端な主張が隠れていますから。一般論から外れていても、適切だと思ったら、遠慮なしに主張している。そんな感じだから、感情を先行させる人は『ふざけんな』となって、二行でやめてしまう。もちろん、論理的思考力があっても、飽きる人はいますけど、さすがにここまで無理に読んでくださっている人はいないと思います。(いたら本当にありがたいことです。ぜひ、最後までお付き合いください)で、ここまで読み進めた方がいればぜひ最後までお付き合いしていただきたいと思います。そうなったときに、読者のためにもこれから『他にはない非常に程度の高い思考』を作者が用意しないといけない。どこにでも転がっているものではいけない。読者のために作者が出来ることは『作者が長年をかけて手に入れた最大の思考や主張』をすべてぶつけることしかないと思う。一般論を話したって、そんなものは学校の道徳の教科書にも載っていますからね」
S「自分の主張で勝負するしかないということですか?」
Y「そうです。個人的な意見ですけど、本当にいい作者というのは損得を考えずに自分の作り出した最も偉大なところをすべて主張することだと思うんですよ。というのは、プロ作家は出版社のために万人受けするように小手先で書いてくる。技術的なものっていうのは読むだけ無駄だと思う。主張がないといけない。その点、俺の作品は主張がほとんどだったりする。真面目に読んでいたら、作者特有の主張がよく分かる。俺の作品は明るい作品を書いても、すごく暗いって言われるんですよ。燃えとか萌えとかそういうものがない。少年漫画のそれとは違うし、青年コミックのそれとも違う。そうか、これが俺流かっていう感じ。プロは~流とか言う前に技術的に固められる。そういうので固められると、読者も感化されて、技術的になってしまう。読者のほとんどはどの本が面白かったなんて本当のところよくわかっていないと思う。他人が面白いとしているから、まあまあなものを面白いと考える。そうなると、その作品の影響で技術的になってしまう。読者流の読みがなくなってしまう。だから、スキルというのは『最初に読んだ作品』が最も重要なのではないかと思うようになった。最初に読んだ本が面白くなくて、本自体を面白くないと決め付けてしまう。プロの作品が面白かったから、プロは面白くて、アマチュアは面白くない。と決め付けてしまう。でも、実際のところ、アマもプロも差はまるでない。あるのは先入観だけ。もちろん、技術はプロのほうがあると思う。けど、技術を外すと、プロはアマチュアを超えられないと思う。もし、プロの作品をこっそりアマチュアに混ぜても、誰もそれがプロの作品だと分からない。先入観だけで決まっている。で、それがスキルなんだと」
S「話が難しくなってきた気がします」
Y「分かりやすく言うと、プロとアマの本があって、先入観的にどっちが面白そう? と聞かれたら、全員プロって答えると思う。でも、高校野球とプロ野球の試合で盛り上がるのは実は高校野球のほうなんですよ。もちろん、試合数の違い、背負っているものの違いはありますけどね。実際、本当に野球の高度な技術を見ている人って、野球ファンでも半分もいないと思う。仮に東京ドームで草野球をしていても、同じぐらい盛り上がっている。プロという先入観があるから、プロが盛り上がるけど、先入観を外せば、草野球でもすごく盛り上がるし、面白い試合になる。読者のスキルの正体は先入観だと思う。で、野球選手で有名な人はたくさんいますけど、それはメディアが盛り立てているからだと思うんですよ。草野球がプロのようにドームで試合して、ちょっと打てる人がいたら、その人がスターになる。つまり、技術の卓度を評価するのではなく、メディアがすごいと言ったらすごいと考えるのが普通の人なんです。言ってみれば、当たり前のことですね。ボクシングなんかはどうでしょう。今まで何も知らなかった人が試合見て、ボクシング=亀田や長谷川ってなるのはボクシング技術とか強さではなくメディアが持ち上げたからなんですよ。だから技術というのは『先入観』で読者が騙されているだけで、本当のところはあんまり関係なかったりする。実際、携帯小説なんてそうでしょ。携帯小説=カスという見方をする人もいますけど、携帯小説の文章で内容が理解できない人なんていません。普通に読めば理解出来る。プロなどの先入観に騙されている読者が多い。変な言い方ですが、ネット小説などを読んでいる人は賢明だと思う。わざわざお金を払う必要はないし、先入観に騙されなければ、プロと変わらないし。紙の無駄遣いにならないし。経済的だし、環境的にもいい。だからネット小説の読者は典型的なミーハーと違って、かなり利巧なんですよ。そういうこともあって、俺もネット小説しか読まなくなった。小説一冊、エッセイ一冊に500円は正直詐欺ですよ。どうせ同じ『任意の文字列』で、どれもこれもプロと変わらないのだから、ネット小説から数作品ピックアップして、一月で何となく読もうと言った感じで賢明な読者が定着すれば、書き手もだいぶ報われると思う」
S「結局、宣伝ですか?」
Y「違います。(笑) これも主張ですよ。結論はこうです。読者のスキルというのは先入観で作品を選別するもの。それではいっこうに世界は変わらない。先入観に囚われず、ランダムに作品を選ぶ人は利巧で世界を変える可能性を持った貴重な人材ということ」
S「世界を変えますか……」
Y「ええ、人は結束すればものすごく大きな力を発揮するんです。一円ずつ国民が賽銭箱に銭を放り込めば、一億円ですよ。国民が明日から、50円節約すれば、50億の消費が減るんですよ。国民全員があるメーカーのあるゲームを買えば、そのゲーム売上本数一億本ですよ。(笑)(もはや革命だ) 人間一人の力ってすごいと思う。明日から国民があるメーカーの商品を買わなくなったら、倒産する。(笑) どんなどでかい企業も国民一人の力に支えられてるんですよ。そう思えば、何もしないで生きているだけで、大きな企業を支えていることになるんですよ。明日、魚を食べれば、その関係の人々を支えることになる。人ってすごい力を秘めているんですよ。生きるって、それだけでものすごいたくさんの人を支えて、ものすごいたくさんの人から支えられる。何かすごいと思うんですよ」
S「国民全員が呼吸をすれば、どれだけの酸素が奪われるかって誰かが言っていた気がします」
Y「ありましたね。酸素の供給源に感謝しないといけないけど、仇で返しているって奴ですね。まさにその通りだと思う。人がすべて同じ方向に向かえば革命は起きるんですよ。政治家が変わっても、正直、あんまり意味はない。国民が変わらないと。少なくとも、本を読む姿勢は変わってほしいですね。先入観を外して、もっとネット小説を読んでほしい。そしたら読者数が増えるし。(笑)」
S「本音はやっぱりそこですか?」
Y「最終的にはやっぱりそこになりますね。でも、読んでほしいんだけど、あんまりたくさんの人に読まれたくない。何か矛盾しているんですけど、1行読んで、すぐやめてしまう人にはあまり読んでほしくないけど、20ページ以上読んでくれる人にはぜひ読んでほしいみたいな。全部読んでくれる人は逆に怖かったりする。そういう人が見切りをつけて、別の作者の小説に行ってしまうと、振られたみたいな感じで。(笑) 作者ってのは誰でも独占欲があると思う。1行読んで、去っていく人はさほど気にしないけど、全部読んでくれて、次回作は読まずに別の作者のところに行ってしまうと、『行かないでくれ~』ってなるじゃないですか、やっぱり」
S「気持ちは分かる気がします。プロの本なんかはけっこう定着しますよね。第一巻が50万部なら、八巻ぐらいでも30万部ぐらい維持しているという」
Y「50万人いて、八巻で30万部生き残るってのはすごいですね。50万の中には1行で見限った人もいるわけで。そういう人が10万人いたとすれば、途中で見限った人はわずか10万人しかいない。でも30万人もいると、読者を一人一人覚えられないからダメですね。作者が読者を覚えないって言うのはダメだと思う。俺は読者は全員覚えるようにしますけどね」
S「30万人覚えられたらすごいですね」
Y「理想は30人ぐらいだな。30人ぐらいにささやかに楽しんでもらいたい。英会話教室ぐらいの密度な感じです」
S「妙に少ないですね。(笑)」
Y「でも、本当の名作と言うのはそういうものだと思う。都市伝説というか、閉鎖的な田舎の神秘みたいな感じ。知る人ぞ知る神秘。看板を上げたりはせずにここを発見した人にささやかに楽しんでもらう。いいなぁ、それがやりたくて小説を書いたんですよ」
S「でも834冊も書くと本当に日本一ですよね」
Y「隠れた日本一っていうのがいいんです。表で700冊書いたぜと言っている人がいて、裏の閉ざされた聖域に834冊が存在する。本当にすごい人は表舞台に出てこないものだと思う。世の中には超能力者とかいるというじゃないですか。でも、そういう人は表舞台には出てこない。幽霊も表舞台には出てこない。神秘的なものは表舞台に出てこない。見つけた人は聖域を見つけ出した探検家。そんな感じを実現できたら面白いですね。逆に表に出すなら、累計25億部ぐらいの記録は出したいですね。表にするなら、思い切って表にしないといけない」
S「累計25億部なら、すごいですよ」
Y「でもそうすると、自分の好きな作品が書けないし、印刷して、売り込むのにお金がかかる。それに石焼き芋みたいな感じで小説を売り出さないといけない。(笑) それはそれで恥ずかしいですね。一番いいのはパフォーマンスで売り込むことですね。例えば、トラックに小説を積んで、人が後ろに立って、メガホンで叫びながら、ゴーゴーを踊るとか。(笑)」
S「マスコミが取り上げて、ネタで売れそうですけどね。(笑)」
Y「そういうことが出来る人ならやってみると面白いですけどね。トラックで小説を売るトラック小説家みたいな。(笑) ファンがつけば、25億部も不可能ではなかったりする」
S「それだったら、どんな作品でもたぶん売れる。やっぱりパフォーマンスとか知名度って大切なんですね」
Y「大切ですね」
自分で書けば自分にとって一番
S「面白い小説が読みたければ自分で書くことだと言いますけど、自分で書いた小説は面白いんですか?」
Y「これが小説を書いたものの特権なんですよ。他人のどんな作品より面白い。俺は核心を持ってそういえる。自分で興奮して、自分で笑って、自分で号泣してるんですよ。(笑)」
S「号泣出来ますか?」
Y「自分で号泣しますよ。書いていて、自分でもヤバイぐらい号泣したことが何度も。ちなみに他人の小説で泣いたことって今まで一度もないんです。泣ける小説というので読んではみたんですが。でも、自分の作品で自分は号泣しています。これが書く特権ですね」
S「いいですね。自分で自分を感動させる」
Y「割と簡単ですよ。悲しいことを書けばだいたい感動しますから。(笑) 笑うほうが難しいですね。かなり面白いギャグなら七割で笑います。興奮はもっと難しい。緊迫感は書いていても、100枚に5枚ぐらいしかない。そういう展開は持続力もないですしね。正直、感動が一番簡単です。簡単な順に感動、性的興奮、笑い、緊迫感ですね」
S「だれることはないんですか?」
Y「背中が痛くなると、だれます。後、目が疲れると。作品に飽きるということはないですね。疲れが取れると、書きたくて仕方なくなる」
S「書く楽しさは僕には分かりませんね。大変じゃないですか?」
Y「俺はむしろ読むほうが大変です。他人の作品はヒット作でも読むのが苦痛。やっぱり自分の作品が面白くなりすぎて」
S「一度でも書くと、読む面白さを味わえなくなるとは掲示板なんかで何度か見たことがあります」
Y「本当に二度と楽しめないですよ。『俺は何をしていたんだろう』って目が覚めたようになる。書く楽しみを覚えれば、二度と本にお金を使わなくて済むようになって、おススメですけど、読書出来なくなっちゃいますけどね」
S「一冊書くのに二ヶ月かかりますよね?」
Y「そうですね。早くしようと思えば、出来ますけど、展開を思考して追及していくと、二ヶ月ぐらいですかね。情報の分解、再構築を日ごろからしている人はもっと早く出来ると思いますけどね」
S「Yさんは?」
Y「早ければ二日で小説一冊出来ます。最速は1,5日ぐらい。(笑)」
S「早すぎです。(笑)」
Y「ただそれは、思考にストックがある場合だけです。シナリオを深く練り上げるのには最低二週間はかかります。平均だと二十日ぐらいじゃないですか」
S「それでも早いと思うんですが」
Y「早いですね。質を高めるなら一月に一冊ぐらいが理想的ですね」
S「それでも早いんですよね?」
Y「まあ、遅い人はもっと遅いですけど、早ければいいというものでもありませんからね。速さを求めれば、催促で半日も可能ですよ。ギネス目指すなら、一生涯に10万冊書かないといけませんね」
S「10万ですか……」
Y「コピペありなら、30万ぐらいですかね。(笑)」
S「神の領域じゃないですか」
Y「いえいえ、人間の領域です。でも、30万冊も書く物好きはそういないでしょうけどね」
S「ところで号泣シーンを書くテクニックとかありますか?」
Y「テクニックと言うか……かえってきたドラえもんの型に従えば、全部号泣になる。火垂るの墓とか。感動した作品の筋書きに従えば、全部感動になりますけどね。正直、感動が一番簡単ですよ。緊迫感が一番難しい。こればっかりは森村誠一のミステリに勝てないなと思ってます。どうすればあのような緊迫したサスペンスが書けるのか」
S「課題ですか?」
Y「課題ですね。演出なら簡単なんですけど、ストーリーで緊迫感を出すにはジャンルをミステリやSFにするしかないのかというところにきている。ファンタジーで緊迫感はたぶん不可能ではないかと」
S「そんなに難しいんですか? 個人的には感動が一番難しいように思えますが」
Y「緊迫感ですね。これは最大の課題です。演出ではなくストーリーで緊迫感を出す。出すテクニックはいくつかあることはあるんですけどね。それを出すと、世界観を縮めることになってしまって、ファンタジー効果が小さくなってしまう」
S「バランスですか?」
Y「方向性ですね。緊迫感を出せている小説って限りなく少ないんです。で、それはやっぱりその方面に本格的に向かっているものです。そういうものばかりを書くわけにはいかないじゃないですか。理想とするのは、笑い、感動、緊迫感、謎の四つが揃っている作品なんです。で、この四つをすべてそろえようとすると、方向性がおかしくなる。おかしくせずにすべてを取り入れるというのは小説家だけではなく、シナリオライターの見果てぬ夢ですね。笑いはそのままですね。感動は主に痺れたとか、泣いたとか、鳥肌が立ったとかいう奴ですね。緊迫感は『次どうなるんだ?』的な奴ですね。謎はミステリ的なものでなくても、ワンピースの悪魔の実とかグランドライン的なものでもいいんです。で、その四つをかねそろえた作品を作ることが夢です。でも最近は五つ目のステータスに調和を入れたいんですよ」
S「それはどういう意味で?」
Y「例えば、伏線とその回収です。これはそういう意味だったのかというサプライズといいますか。でも、これは感動に含まれますかね。それだけでなく、ここでこう関わってきたかという複数の展開が調和する。そういうものも入れたい。五つをすべて入れたいですね」
S「凄まじく難しいんじゃないですか?」
Y「でも、60^{x}の小説の中にすべてをかねそろえたものが存在しているんですよ。見つけ出したいですね。見つけ出せれば、山をひとつ越えた感じになれると思います」
あとがき3
毎度、ありがとうございます。次もよろしくお願いします。
ありがとうございます。今度、ハンバーガーをおごらせて下さい。




