形勢逆転
到着。
ドアが開く。
今度はいきなり襲ってこない。
うん?
敵が見当たらない。
ラッキー?
いやそれどころかさっきから一つも札が無い。エレベーターだって。
おい!
端よ! とりあえず端に行けばどこかにはあるわ。
タイムリミットは二時間を切った。
焦る二人。
急いで!
あった!
ようやく右隅に到達。
010の札を発見。
エレベーターへ走る。
あと少しの所で団体さんに出くわす。
八体のモンスターが一斉に向かってきた。
アップアップの実はと…… ダメだ。品切れだ。
アキト! 盾を!
よし! 銅の切れ味を見せてもらおうか。
銅の盾で相手の動きを封じ、銅の剣を披露。
切れ味抜群!
モンスターは次々とやられていった。
ほい、これでお終いだ!
八体目を倒し、エレベーターへ。
村人達Ⓐは力尽きた。
儂らはもう完敗じゃ。何か聞きたいことはあるか?
百階の行き方を教えて。
それはできない! しかしヒントやろう。
いいかその札をよく見ろ。何と書かれておる?
だからさー。数字があるだけだぜ。
ふふふ。札をよく見るんだな。そして観察しろ。
何を言ってるのかわからないよ!
いいから! 触ったり、落としたり。ありとあらゆることを試してみろ。
はああ?
エレベーターは動き出した。
どういうこと?
知らないわよ! 自分で考えなさい!
俺、考えるの苦手なんだよ。
得意なものあるの?
さーね。
10階に到着。
雑魚キャラが待ち構えていた。
遠慮することなく銅の剣を振るう。
あーあ。張り合いがないなー。
良いから急ぐの!
切り進む。
雑魚Aが忠告する。
お前ら舐めていると痛い目に遭うぞ!
分かってるって。ハイハイ。
札を発見。
044
不吉な数字ね。
そうかなあ? 俺は気にしないけど。
とにかく時間が無いの。余計な階にかかわってる暇はないわ。
うーん。確かに。
札を取らずに南下する。
右下を目指して全力疾走。
疲れたぜ。少し休もう?
もうちょっと頑張って。
アップの実を拾う。
ターキー?
ナーニ?
個室があったよ。少し休んでいこう。
アキト! ふざけてるの?
いや、そうじゃないんだ。この部屋にあるかもしれないだろ。有益な物がさ。
もう、仕方ない。少しだけ行ってみますか。
お邪魔しまーす。
部屋には宝箱が三つ置かれていた。
ラッキー!
まず、一番小さな箱を空ける。
アップの実が10
アップアップの実が5
エナジードリンク2
遠慮なく頂く。
アキトはレベル21
ターキーはレベル22
大きい箱を後にして中身を確認。
ナビゲータのミニブタが入っていた。
これで迷う事は無くなった。
安心を手に入れた二人は最後に大きな箱を空ける。
何が入ってるのかしら?
へへへ。腹も減ってきたし何か食い物だといいがな。
残念何も入っていない。
と思った瞬間モンスターが現れた。
我は城の守り神の一人。
JPだ!
JP? 変わった名前だこと。
そうだな。今の俺たちに敵う者などいないさ。JP。
舐めやがって! 勝負!
槍を振り回す。
ガード!
銅の盾で身を守る。
ほう。良いものをもってんなあ。ちょっと見せてみろ。
いいよほら。
銅の盾と銅の剣を渡す。
ふふふ。馬鹿め! 引っかかりやがった!
いや、そんなこともないよ。実力差があり過ぎて遊んでるだけさ。
冷静さを忘れない。
なんだと!
俺様はJPだ! 最強だ!
ターキー頼んだ。
銅の剣で刺してくる敵に銅の盾で守り、カウンターを仕掛ける。
10階のレベルはたかが知れている。
JPの剣を払う。
しまった!
やったね。楽勝。
アキト気を付けてまだ終わっていない。
そんな事ないだろ。ほら早く返しな銅の盾と銅の剣をよ!
JPは下を向き笑い出した。
ここまでだ!
ピグウ……
大人しく渡してもらおうか?
アキト! 気を付けて!
構わずに銅の剣を拾う。
ほら、盾も返しな!
素直に従ったように見えたが盾を捨てると槍を持って走り出す。
ふふふ。
ミニブタを抱えると最後の抵抗に出る。
放しなさい!
従うか!
そのブタはさっき拾ったのよ。可哀想じゃない。
そう思うなら武器を捨て、投降しろ!
くそ!
おっと、動くな!
素手でもあんな奴!
焦らないの! チャンスを待ちましょう。
ふふふ。時間が過ぎていくぞ。
何!
お前らにとっては耐えられまい。
卑怯だぞ!
うるさい!
豚を放しなさい!
駆け引きが始まった。
JPは余裕たっぷりの顔でこちらを窺う。
どうだ。辛いだろ?
ちくしょう!
おっと、大人しくね。君達。はっはは。
ターキーは見守る。
JPは楽しそうだ。
隙ができる。
ほらほら このブタを取ってみな!
止めろ!
JPは徒にブタを振り回す。
怯えるブタは悲鳴を上げる。
辛そうな悲惨な叫び声。
大丈夫! 大丈夫だから。ね?
ふふふ。どうしたかかって来いよ!
分かってるくせに!
こんなブタが何だと言うんだ。まさかこちらの切り札とも知らずに。
何だって?
もう隠す必要もない。このブタはな。仲間なのさ。
あなたまさか? 信じられない!
ほらどうだ? ブタがどうなろうとお前らには影響がない。かかってくるんだな!
どうする?
ちょっとまさか攻撃する気? 可哀想でしょ。いくら仲間でもやらないとは限らない。
慎重だな。お二人さん。せっかくチャンスを与えたのに動けないか。まさか恐怖で震えて手出しできないなんてことはないよな?
あの野郎!
落ち着いて。敵の誘いに乗ってどうするの!
しかし……
馬鹿め! 攻撃をしないでタイムアップを迎える気か? それもよかろう。はっはは。
ちょっとタイム。