残照を望む時、ともに。
夕日影の中、ひとり路地に入って、高台の公園を目指して歩く。
一日中履いているローファーが、切なさを助長させる。
制服のスカートをめくる風が、無闇に心細さをあおる。
約束なんてしていない。
それなのに、振り返った坂道の途中に、君の姿が。
残照を望む公園に向かうのは、いつも私ひとりなのに。
私は言葉を失くし、ただ、君を見つめるだけ。
遠くで車のクラクションが鳴った。
その2秒後。
君が、花が綻ぶ様に、笑った。
「見つけた」
それ、私が、言いたかったセリフ。
反射的にそう思ったけれど、喉が詰まって何も言えなかった。
ひとりじゃ、なかった。
人も、作品(芸術活動によって、人に、作られたもの)も、あなたのそばに、在る。
だから、あなたは、ひとりじゃない。