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87.本音

「カペロから婚約を申し込まれたか?」


目を見開いてグレイ様を見てしまった。真剣な顔をしてたから何を言われるかと思ったら………きっ聞こえてたの??

……………そんなわけないよね、そうとう距離があったし…………。

しかもピンポイントで事実に近い………恐ろしいです推察力!!


「……………………。」


「リィ、答えて。」


熱を帯びた潤んだ瞳は変わってないが、雰囲気がさっきまでとは違う冷たい感じがした。

本能的に答えないとまずいと思えた。


「婚約は申し込まれてませんよ。」


()()()?」


「……………………。」


「リィ。」


名前を呼ばれただけなのに今のグレイ様からは優しさのなかにも圧力を感じる。

はぁ………これは堪忍するしかないか。。


「グレイ様と本当に婚約破棄をした際、結婚してほしいとプロポーズされました。」


「へぇ~結婚ね。」


いつもの優しい口調と違って冷たくて低い声のグレイ様にチラッと目を向けると無表情で目が怒ってるような冷たいような………思わず目を背けてしまった。


グイッと顎を持ち上げられグレイ様の方に向かせられチュッチュッと唇に軽くキスをされたと思ったらいきなり深いキスに変わった。


「んっ……………グッん…………。」


喋りたいのに息が苦しいほどの深いキス。

今までこんなに激しいキスを急にしたことなかったのに………。

手でグレイ様を押そうとしてもびくともしない。


何分たっただろう…………深いキスは私の思考が停止するのに時間はかからなかった。

頭がボーとしてる……………ようやく唇が離れると瞳にはグレイ様がとろんとした顔で私の唇を親指でぷにぷにと押しながら


「婚約破棄はしないよ。リィは俺と結婚するんだよ。俺との子供を生むんだよ。一生大事にするよ。俺の側から離さないよ。リィを誰にも見せたくない。閉じ込めたい。ずっと一秒も離れずリィをとろとろにして抱いていたい。」


はい??今なんて??

最初は私に諭すように話していたグレイ様の言葉をボーとした頭で聞いていたが、最後の方何か怖いことを言われたような…………だんだんと頭がはっきりしてきてそれでも聞き間違いでしょうか??と頭のなかでパニックになっている。


「リィのとろんとした顔も吸い付くような肌も誰にも見せないし触らせない。髪の毛一本も本当は触らせたくない。手をとるだけ……いや、リィの側に異性がいるだけで気が狂いそうになる。リィに近づくやつは抹殺したいくらいだ。」


どっどうしちゃったんですかぁ!?

ブッ飛びすぎです!!

最初から恥ずかしいことを言うなぁと思って聞いてたらだんだんと怪しくなっていく言葉に焦りだす。


「グッグレイ様!?本当にどうしちゃったんですか??」


いつもと違うのはわかるが、ここまでブッ飛んだことをグレイ様は言ったことがない。


「リィ、俺から逃げられないよ。なぁ………俺といれなくて辛かった?」


微笑んで問いかけてくれてるがまだダークな雰囲気を醸し出しているグレイ様に…………嘘はつけなそうだ。もう正直にいっちゃおう!!


「めちゃくちゃ寂しかったです。ヒロインとの噂でキスしただの深い関係になった……だのグレイ様から溺愛されているとヒロイン本人からも言われましたし……。グレイ様を信じていましたが、会いたくても会えないし噂も本当に噂なのか………最後は自信なくなってました。」


そっか………会わないのはわかってはいたけど、私はこの状況が自分が思ってたよりも辛かったんだ。

頬にツゥーーと冷たいのが垂れてきたのがわかった。グレイ様が私の涙を拭ってくれて初めて泣いていることに気づいた。


「何度会いに行こうと思ったか………その度に完全に息の根を止めないとリィが危険に巻き込まれたりずっと不安が抜けないだろうと思ってな。小さい頃からずっと不安だったことを取り除いてあげたくて。」


私の話を聞いてくれて私のことを想ってくれて不安要素を徹底的に無くしてくれたグレイ様。

小さい頃からずっと見守ってくれてたんだ。

わかっていたけど、グレイ様に直接言葉で言われると今までのことが込み上げてきて目頭が熱くなる。


「本人が噂を広めていた。噂のことは知っていたが否定しなかったのは泳がせておくためだった………ごめんな。だけど噂は全てでたらめだ。俺はリィ以外の人間に興味もないし触れていない。これだけは信じてくれ。」


真剣な顔をして私を見るグレイ様に


「信じます。」


と一言だけ呟いてぎゅっとしがみついたらグレイ様もぎゅっと私を抱き締めてくれた。


「で、リィは本当にカペロが好きか?」


ビクンッと言葉に身体が反応する。

抱き締められた腕が私の身体を拘束するかのように更にきつく抱き締められた。


「わかりません………。」


正直な気持ちを言った。

実際わからないのだ。一緒にいると紳士でドキドキしたり、さっきのプロポーズの時のようにふにゃりとした見たことない表情を見ると何とも言えない気持ちになってしまう。

私のことを想ってくれてたことを知り嬉しかったのは事実だ。

ただ、、クリスお兄様が言ってたことが気になるが………。

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