84.選択
「お前に選択肢を与えよう。」
「……………どういうこと?」
「わかってると思うが、裁判が始まれば処刑かよくて修道院送りだ。」
「……………わかってるわ。」
お喋りだった口を閉ざし青ざめた顔で俺を見ているが同情はない。
リィを悩ましてきたんだ、許すわけにはいかないそれに………。
「お前がしてきたことは優秀な人材の人生を台無しにしてしまった。その罪は重いものだ。」
「……………………………わかってる。」
聞き取れるかとれないかくらいの小さな声でボソボソと呟いた。
さっきまでの勢いが失くなったな。自分の現実を告げられたからなおさらか。
「ヴィングを知ってるな!?」
「どうして………その名前を……………。」
勢いよく顔をあげ悲しげでもあり優しさを含んだ声で小さく呟いたのを見ると、よほど大切なのだろう。
「ヴィングは生きてるよ。」
ガッシャン!!!!!
俺の言葉を聞いた途端、鉄格子から身を乗り出す勢いで投げ掛けてきた。
「生きてる……………生きてるの?」
鉄格子を握りしめている手を震わせながら俺の言葉を待つ姿は、ヒロインでもなくただの一人の女の子のようだ。
「急に別れを告げられただろ。お前が平民の時付き合ってたヴィングは、カヴァル男爵はお前を駒にするために引き取ったがヴィングが邪魔だった…………と言えばもうわかるだろ。」
「ヴィングは健康なのよね?」
青ざめた顔をして聞いてくるってことはカヴァル男爵がどのような仕打ちをしたのか考えられたか。
「ああ。健康ではあるな。今はカヴァル男爵から逃げ出した時すでに朦朧としていたところを保護されて、今もそのままある施設にいるな。」
「し…………施設……………。そっか…………生きてたんだ。生きてたんだ!!よかったぁぁぁ………………。」
涙を流しながら喜んでいるのを見て、まだ人を思いやる心があったのかと冷めた目で見ていた。
俺やリィ………周りに迷惑をかけて自分勝手に動いていたのにな。今までのことを考えると許すわけにはいかない。
俺がリィの側にいれなかったのは紛れもなくこいつのせいだ。
「感動的になってるがお前は二度とヴィングには会えない。」
「……………………そうよね。。」
「このままではさっきと同じ未来が待っているだろう。」
「……………………………………………。」
「俺にも使おうとしてたんだろ?皇太子である俺に使おうとするだけで重罪だ。それだけでお前は処刑になるだろう。だが、カヴァル男爵の悪行を包み隠さず話、リーゼ・ウォレットに対する行いも全てはけ。そうすれば修道院送りになるだろう。修道院送りになれば俺がヴィングに会わせてやるよ。」
「……………悪役令嬢のことも……………。」
予想だにしなかったことの証言を言われて少し戸惑いの表情を見せながら呟いていたが……………あとはこいつ次第だな。
「信じるか信じないかは勝手にしろ!よく考えて裁判に望むんだな。」
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「良かったんですか?ヴィングと会わせるなんて。」
自室に戻ってから手の手当てをしながらヴィゴが疑問に思ったんだろうことを俺に投げ掛けてきた。
「ん?ああ、いいんだ。全て自白して修道院送りになった場合、途中で馬車からヴィゴが連れ出せ。誰にも見つからないようにな。ヴィングがいる施設に送ってやれ。」
「わかりました。会わせていいんですか?」
「ヴィゴが調べてくれたからわかってるだろ今のヴィングの現状を。もう一生施設からは出られないだろう。あの女のことだ堪えられず、処刑の方が良かったと思うかもしれないな。」
それよりも、リィのことを証言させることの方が大事だ。
表立っては何も起きてないことになってるが、これまで俺達が会えなかった日々の代償は払ってもらう。
裁判が楽しみだ。
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「本当にそのままグレイセドに言ったのか?」
「はい…………正直に伝えました。」
クリスお兄様にグレイ様とどんな話をしたか話したら少し青ざめた顔をして珍しいな。
「カペロが好きなのか?」
「正直、好きか聞かれるとわかりません……………ただ、ドキドキはしますが…………。」
「そっか。……………グレイセドは大丈夫だろうか。」
「えっ??」
クリスお兄様がボソッと呟いたので聞こえなかった。
クリスお兄様も表情が固い。
「グレイセドはリィのために一生懸命だったよ。恋心と憧れはまた別物だからな。リィ、よく考えるんだよ。」
ん??クリスお兄様が言ってる意味がよくわからず頭のなかに?マークが表れてる私を見透かしてクスクスと笑いながら頭を撫でできた。
「ちょっと出掛けてくるよ。」
そう言って出ていったクリスお兄様の数分後に侍女達の悲鳴が聞こえた。




