8.お披露目2
グレイ様にエスコートされながらお茶会の会場に行くと、丸いテーブルがいくつかあり、数人単位で座っている。
ちらっと見えたが一番奥の席にお母様と王妃様がいた気がする。となるとそこまで私はグレイ様と行くのね。
出席してる同年代の子供達に付き添いの大人たちが一気に注目してるのがわかる。
いやぁぁぁぁ。めっちゃ目立ってる!
考えてみたら王子様にエスコートされながらって注目だよね!
困った。困った。今更ながら緊張してきた。
ここでうろたえる顔をしてはダメだ!
平常を保てリーゼ!!!!!
手をぎゅっとしてくれるグレイ様を見ると「大丈夫だよ。」と目で言ってくれてる。
目線を感じるけどそっちを向けず席の前に行くと、行方不明になっていたお母様が王妃様と楽しそうに話してた。
席に座る前に出席されてる皆様に向かってカーテシーをする。
王妃様がみんなが席についてるのを確認すると、
「今日はグレイの誕生日のお祝いを兼ねて皆さんに楽しんでいただけると嬉しいわ。」
その言葉を合図に沢山の大人が子供を連れてグレイ様に歩み寄ってくる。
「グレイセド王子、お誕生日おめでとうございます。うちの息子のサムウィルです。以後お見知りおきを。」
「サムウィル・ホルソンです。グレイセド王子おめでとうございます。」
「あぁ、第一騎士隊長ホルソンの息子さんだね。いずれ学園でも一緒になるだろうからよろしくね。」
グレイ様がお話ししてる間私は邪魔にならないよう影のように座ってる。
でもですね、何故か視線を………いたいほど感じるのです。
視線の感じる方向をちらっと見るとちょうど話をしているホルソン騎士隊長の息子さんと目があってしまった。
どうしてこっちを見るんだろう?と考えながらみてるとホルソン騎士た…もう面倒なのでホルソンJr.が顔を真っ赤にしてプイッとされてしまった。
えっ?えっ?なになに?
私何もしてないのに嫌われてるの??
さすがにショックだ。。。
それからグレイ様に挨拶に来る同年代の子供達は私を見て顔を赤らめてプイッとされるか、鬼の形相で睨み付け(特に女の子)敵対心を燃やされるかだった。
………何てことだろう。
みんな初対面にして私を嫌ってるみたいだ。
ショックどろこではない。。
私には欠点があるんだ!何もしてなくこんなに嫌われるなんて。
悪役令嬢そのものではないか!
大変だ!大変だ!何とかしないと!
みんなの挨拶が途切れたところでグレイ様に小声でそっと伝えようとすると、なんだか機嫌が悪いように見える。
「具合が悪いのですか?」
心配でグレイ様の顔を覗きこみ声を掛けた。
「何でもないよ。ちょっと虫除けが必要だなぁと思っててね。」
えっ?虫?
どこどこ?虫嫌いなんですけど。
そりゃー外だからいるだろうけど、グレイ様が気にするほどいるなんて怖い!
くっ。自分のことに気をとられててそんな状況になってるとは…怖いんですけど。
嫌いだから探そうと必死にキョロキョロするが全然見つからない。。
「大丈夫だよ。今周りにいないから。」
くすりと笑って私の頭を撫でた。
………………本当ですか?グレイ様がそう言うなら信じましょう!
信じてないと怖いです。
………………何事もなくお茶会終わりますように。
「みなさん、今日はお伝えしたいことがあります。」
透き通った声が響き、がやがやしていたムードが王妃様の一言でシーンとする。
「この度、私の息子グレイセド・クリフォードとリーゼ・ウォレット公爵令嬢の婚約を発表いたします。」
周りがざわつく中、私の心もプチパニックだ。
えっ??発表って今日だったの!?
えぇぇぇぇぇぇ!!もっと成長してからとばかり思ってた。
こっ……これで私は悪役令嬢の逃げ道がなくなった。
これから公表して沢山の人が知ることになるよね。
グレイ様を信じているけど、不安なものは不安だ!!
それに………………ひぃぃぃぃぃ!!
女の子の視線が殺伐として怖い。怖い怖い。
すみません、怖くて目をすぐにそらしちゃった。。
グレイ様を好きだったのかな?
優しくてかっこよくて素敵だもんね。
そりゃーみんな好きになるよね。
悪役令嬢のことも不安だけど、今この場の女の子達が怖いです。
とっ…友達作りどころではなかった。。
昨日までのうきうきな私さようなら。今から現実に生きます。
「リィを堂々と婚約者と言える僕は幸せだよ。」
めっちゃ甘いあまーい顔をして私に微笑みながら甘い言葉を言うのはやめてください。
ドキドキが止まりません……破壊力半端ないです!!
もうもう、私も幸せになっちゃいました!!
グレイ様の言葉で不安がふっとんじゃった。
驚いたけど、本当に不安は完全には消えてくれないけど、それでもこの幸せが続くなら私はあがいてみせます!
「はい。私もグレイ様の婚約者で幸せです。」
素直にそう言えます。