67.魔石2
「ふふふ。学園でもナージュ様にそんなことを聞かれたわ~。」
「当たり前です!!みんな気になってるんですよ!!」
「トップファイブ?だったからなのかしら?」
リィは椅子に座りコップを持って飲みながら侍女達と話をしているのが魔石がすべて映し出している。
侍女達は怖いくらい興奮してリィに話しかけている。
「「「「リーゼお嬢様!!みんなが憧れるトップファイブの方々ですよぉぉぉぉぉぉ!!!!!その方々が婚約候補になってるリーゼお嬢様に興味津々なのです!!!!!」」」」
侍女達の剣幕は凄く舞台の台詞のようにハモっているな。
リィが引きぎみになっているじゃないか。
「いいですか。まずは侍女の私達のことを気にかけてくださる笑顔が素敵な優しい優しい王子様のクリス様。」
俺はいつから王子様になったんだ。
「……………クリスお兄様はもう王子様になったのね。でもわかるわ!!わかる!!クリスお兄様は容姿端麗でそれで強くていつも守ってくれるしクリスお兄様がお兄様で幸せですもん。」
そんな風に思っていたとは……今度リィには「俺も幸せだよ。」と伝えておこう。
「そして騎士で礼儀正しく小さな子供まで虜になる可愛らしい甘いマスクのサムウィル様。この前リーゼお嬢様を送ってらした時に段差もないところでリーゼお嬢様が転びそうになったところを支えてお互いを見つめあってる姿はダンスを踊ってるようにキラキラしておりました。サムウィル様のガッチリとした身体に支えられるリーゼお嬢様………最高です!!」
「なっあれ見てたの…………。」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうに俯くリィ。それをサムウィルは思い出したのか真っ赤な顔をしてポーとなっているし、グレイセドは冷静にサムウィルを見ていた………。
グレイセド誤解するなよ……たぶんあれはなにもないところでこけたことを知られて恥ずかしがってるだけだから。
「ふふふ。リーゼお嬢様、これだけで恥ずかしがってたらいけませんわ。もうギャップが女性の心をくすぐる頭脳明晰でクールと思いきや優しい性格のカシリス様。リーゼお嬢様がカシリス様に勉強を教えてもらってた時、答えの欄が全部ずれていて涙目になりながら顔を真っ赤にしていたリーゼお嬢様にカシリス様は優しく頭を撫でてくれていたことを……………その時のカシリス様の優しい表情たまらなかったですーーーーー!!」
「ちょっ………なんで知ってるの!?あれめちゃくちゃ恥ずかしかったんだから……………。」
リィ………そんなミスしてたのか。
リィが恥ずかしさのあまり手で顔を覆っている。
まぁ…………恥ずかしいよな。
カシリスも思い出してふにゃり顔になってるぞ。リィとの時間が楽しかったのはわかるが…………グレイセドが睨んでるのは気づいてないな。
「あの、クリス様やグレイセド皇太子と並ぶイケメンのカペロ様が候補に入っていたことは驚きましたが………ナイスですリーゼお嬢様。」
「えっ?なにがナイスなの??」
「いいですか!?あの容姿にあの大人の色気………抱かれたい女性がわんさかいるのです!!嘘か本当かはわかりませんが見つめられるとみんなメロメロになり倒れてたとの噂もあるほどです!!」
「そんなに凄い方なのねカペロ様って。」
「いいですか、リーゼお嬢様。カペロ様はこんなにおモテになるのに婚約者を決めたことがありません!!女性から婚約を申し出るほどなのですよ!なのに誰一人見向きもされないのです。みんなの推理から心に決めた人がいるのでは…………と噂になるほどです。」
「そうなのね。もし噂が本当ならその女性の方は幸せですわね~。」
最初は面白くなさそうに聞いていたのに噂されてることを言われるとカペロが動揺している。
あんなにどんなことにも動揺しないやつがリィのことになると……見てて面白い。
「そうなのです。だからみんなリーゼお嬢様に注目されているのですよ!」
「なんで??」
「はぁ………首をかしげて見ないでください。リーゼお嬢様は可愛いのでついつい抱き締めたくなっちゃいますから。」
うちの侍女は何を言ってるんだ!
「カペロ様の心に決めた人がリーゼお嬢様ではないかと言われているのです。」
グレイセドにサムウィル、カシリス、リファエルとみんなカペロに一斉に注目をする。
カペロ……………噂されてるぞ。ばれるのも時間の問題だな。
「あははっ。まっさかぁ~。そんな凄い人が私のことを………ないない。」
はぁ…………それがあるんだよ。女性の推理は凄いな。
あのカペロも平静を装うのに必死みたいだ。
「この前天気が良い日に青空を見ていたリーゼお嬢様がひっくり返りそうになったじゃありませんか!それをカペロ様が慌てて支えてましたが芝生の上に倒れ込んでしまってリーゼお嬢様に怪我がないように抱き締めてくれてたではありませんか。カペロ様は女性に対して優しいですがあの行動は傷つけまいと庇いできた状況です!!リーゼお嬢様に愛を感じました。あの時の私達の興奮度ヤバかったですよ!!!!!」
「……………詳細に言わないで。私が天気がよくてはしゃぎすぎちゃったの…………空があまりにも綺麗で吸い込まれちゃって…………て私どれだけ恥ずかしいことを晒しているのかしら。」
リィそんなことをしてたのか。
まぁ、恥ずかしいと自覚してるだけでもいいが………カペロ隠しきれてないじゃないか。リィ以外にはバレバレだぞ。




