6.確認2
「おはようございます、グレイセド王子。」
「おはよう。朝早く押し掛けてしまって申し訳ない。ウォレット宰相が出掛ける前に早く渡したくてね。」
グレイセドから手渡させた書類を確認する。
「………国王陛下の承認を得てますね。昨日詳細は妻から聞いています。これからリィをよろしくお願いします。失礼ながらリィは少々心ここにあらずなところがあるので王子の婚約者が務まるかどうか…。」
「リィのそういう雰囲気が一緒にいて落ち着くんだ。これから王妃教育も始まるし、そんなにしっかりしていなくていいんだよ。僕の側にいてくれれば……ね。」
くすりと笑いウォレット宰相を見る。
「…わかりました。リィにはこの旨を伝えますか?」
書類をちらりと見て王子に目をやる。
「僕から伝えるからいいよ。詳細は内緒にしておいてね。」
「わかりました。」
はぁ。。リィ……とんでもない王子に惚れられたものだ。
まだ小さいのに根回しをしてしまうとは、、末恐ろしい。
普通、王子の婚約者の発表は内密に決まっていたとしても10歳までは伏せられるんだが、六歳の誕生日に公表とは………さっきの口ぶりからしてもリィを相当気に入ってるな。
はぁぁぁぁぁ。私のリィは世界で一番可愛い。可愛いがゆえにまさかこんなに早く婚約者が決まってしまうとは。。
お父様は寂しくて寂しくてリィに泣きついてしまいそうだよ。
側で一部始終見ていたティアは、夫が何を考えているか手に取るようにわかり『本当リィのことになると残念になるんだから…』と心で呟いた。
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「どうされましたか?グレイ様。顔がにやけてるように見えますが……」
リィと会う前の宰相とのやり取りを思い出していた。
早く公表する日が待ち遠しい。今すぐにでも公表してリィは僕のものだと広めたい。
「朝挨拶したときの宰相とのやり取りを思い出してね。」
「お父様と??」
首をかしげてこっちを見てくるリィは本当に可愛い。
何話したのか聞きたいけど聞けないとあたふたしてる姿がたまらない。
「宰相にも言ってあるんだけど、一週間後に僕の誕生日のお祝いを兼ねて僕と同年代の子供を集めてお母様がお茶会を開くんだ。そこにリィもネックレス付けて出席してね。」
こくりと頷いてネックレスを嬉しそうに触るその仕草だけで可愛くてたまらない。
あぁ、早くみんなに公表してリィを独占したい。
「ふふふっ。同じ年頃の方々と触れあう機会は今までなかったので、どんな方がいるか楽しみです。私にも友達出来るでしょうか~。」
アメジストの瞳をキラキラ輝かせて楽しみだと話すリィ。
リィは気づいていない。リィは笑うだけでどれだけ可愛いかわかっていない。
惹き付ける容姿は、みんな釘付けになるに違いない。
容姿だけでなく中身を知るとますます魅力が増してしまう。知ってるのは僕だけでいい。
安全策としてもう一つ追加しよう。
「リィ、お茶会中は僕の隣にずっといること。婚約者は側を離れちゃ駄目なんだよ。」
「そうなのですね!聞いてよかったです~もし離れたら大変でした。婚約者って嬉しいですね、グレイ様の側にずっといれるって幸せです。」
ヤバイ…………………ヤバイヤバイ。
何その発想!可愛すぎなんだよ。
ふにゃり笑った顔も激可愛い。
あぁ、もう絶対に目が離せない!!
「絶対に俺から離れないでね。約束だよ。」
こくりと頷いて戸惑いながら僕の腕をつかみ、アメジストの潤んだ瞳が近づいてきてドキリとする。
ちゅっと僕の頬にキスをするリィは顔を真っ赤にしながらやり遂げた。
「リィは覚えが早くて嬉しいな。」
僕の言葉でリィは嬉しそうだ。
約束の了承の合図はほっぺにキスだと教えておいた。
「お茶会楽しみだね。」
頬を赤らめた嬉しそうなリィを引き寄せて、ほっぺにキスをした。