5.確認1
ウォレット公爵家のお庭を全体に眺められる場所にテーブルと椅子が用意されている。
いつもこの場所でのんびり本を読むのが大好きで、席についたグレイ様の「気持ちいい場所だね。」の一言は嬉しかった。
……………ですが、近くないですか??
気のせいではなく近いです。
椅子二つにテーブルだと、普通対面で座りますよね。。
何故に並んで座ってるんですか!!
「グッグレイ様、あちらにお座りの方が広々としてますが………」
「あぁ、リィ知らないんだね。婚約者は隣に座るんだよ。」
えっ?
そっそういうものなの?
「すみません、さっきからあまりにも無知で恥ずかしいです。グレイ様の隣で恥ずかしくないよう頑張りますね。」
「リィはそのままでいいんだよ。これからぼくが教えてあげるから問題ないよ。」
頭を撫でながら言うグレイ様の優しさと手の温かさにとくんと心に響いた。
「グレイ様は本当に優しい王子様ですね。」
嬉しい気持ちを笑顔で伝えたけど……私きっと今顔が緩んでる。
きっと変な顔になってるんだろうなぁ。
でも、グレイ様の前だといいと言われたから心が広いって素敵だな。
んん??てことはグレイ様って変顔が好きなのか?
……完璧な人ほど自分にないものを欲しがるとか。。
「リィのふにゃり顔好きだなぁ。」
やっ、、やっぱりそうなの?グレイ様そうなの?
好きでいてくれてるみたいだけど……新たな一面を知って複雑だ。
……………………………………………よし、ここは触れないでおこう。
じゃないと私の心に多大なダメージを受けてしまう。
「リィの考えてること違うからね。」
じとーっと目を細目ながら私を見ている。
グレイ様の変な……素晴らしいところを考えてたからドキリとする。
「えっ?心が読めるんですか?」
「顔に書いてあるよ。リィは表情豊かだからね。自分のこともっとわかった方がいい。先が思いやられるなぁ。」
どういう意味だろう?
意味がわからず首をかしげてグレイ様を見る。
一瞬困った顔をしたがすぐに頬が赤く染まってく。
「………本当にリィは可愛いよ。」
「もう、そんなに可愛いといってくださると嬉しくて胸が熱くなるんです。好きになってしまったらどうするんですか?…………グレイ様素敵だから困るんです。」
悪役令嬢にならないように気を引き締めてるのに。。
目が熱くなって涙が溢れそうになってきた。
ポロッと頬に涙が流れてしまった。
「リィ」
私の両頬はグレイ様の手で覆われてグレイ様の顔の方に向けられる。
「そんな……優しい目でみないでくださいぃ…。きちんとわかってますから、、わかってますけどっ……あっ愛されてるように感じてしまいます……」
ぶわっと涙が溢れでて、泣き顔をさらしてしまった。
そっと親指でくいっと私の涙を拭き取ってグレイ様は真顔になった。
「話を聞いたときも言ったけど、リィを裏切るようなことはしないから僕だけを見ててほしい。今みたいに不安なことは話してね、リィの不安を取り除くから。僕はリィが大好きだからこれからも一緒にいようね。安心して僕を好きになってほしいな。」
エメラルドの瞳が真剣に私のことを思ってくれてるのが伝わってくる。
私も素直に答えたい。
「グレイ様は優しくてこんな私を好きだといってくれて、本当に嬉しいです。」
確証がある。こんなに想われて好きにならないわけがない。
「………こんな私ですが好きになっていいですか?」
「願ったり叶ったりだよ。」
嬉しそうな顔をみて安心してると、グレイ様がそっと抱き締めてくれた。
固まってる私を抱き締めながらくすくすと笑ってる。
「…………意地悪ですぅ~グレイ様。」
真っ赤になった顔を見られたくなくて、グレイ様の胸に顔を埋めた。
やったあと、こっちの方が恥ずかしいとわかって顔に熱が上がっていく。
うわぁぁぁぁぁ。私ったら何て大胆なことを……恥ずかしい。
離れようと体をじたばたさせてもピクリともしない。
私がつぶれないように、でもしっかりと抱き締めている。
頭の上から「(一生)逃がさないよ。」なんて言葉を言われますます顔が熱くなる。
想われていると興奮……いや嬉しくて胸がきゅんとなる。
「リィ、こっち向いて?」
ゆっくり顔をあげると至近距離にグレイ様の顔が…………
ですよね、ですよね。抱き締められてるから近いですよね。
わかってましたよ、恥ずかしくて顔をあげれなかったのに。。
でも、まじまじと至近距離で見るとなんて整った顔なんだろ。本当にかっこいい。
はぁぁぁぁ。かっこいいだけでため息って出るんだね。
エメラルドの瞳はキラキラとしてて見てて飽きない……ううん、吸い込まれていく。
「見つめてくれて嬉しいな。」
「すっ、すみません。つい。。」
言われるまでジーと見てたことに気づいてなかった。
だって、かっこいい顔が目の前に……たまりません。
「これからもリィの好きなだけ見ていいよ。それと、これは僕から。」
グレイ様が指を指す方向をみると、私の首にネックレスがついてる。
えぇぇぇ!いつの間にネックレスつけたの?
抱き締めてるとき?気づかずに?
グレイ様……完璧すぎます。本当に子供ですか?
私よりロマンチストでーーーす!!
シンプルだけどハートのエメラルドがクローバーのように連なっててすっごくかわいい。
「うわぁぁぁぁ。すっごく素敵です。可愛い。エメラルド?ですよね。グレイ様の瞳と同じ色で綺麗。私が貰ってもいいのですか?」
「もちろん、リィだけの物だよ。ずっと肌身離さず付けててほしいんだ。」
「寝る時もですか?」
「うん、いつも僕を側に感じてほしいんだ。そしたらリィも少しは不安が消えるでしょ。僕もリィが身に付けてくれてると安心するんだ(虫除けになるから)。」
笑顔で言うグレイ様を見て、きゅんきゅんしてしまう。
こんなに想われてるって思えるのが嬉しい。
「グレイ様が嬉しいと私も嬉しいです。グレイ様と思ってずっと離しません。こんな素敵なネックレスありがとうございます。」
嬉しすぎてふにゃりと笑ってるのを感じたがいいのだ。
今私はすごーく幸せな気持ちだから。
「……もう、可愛すぎ。無自覚って怖いな。」
グレイ様が顔半分を手で覆いながら話すから聞こえなかった。