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48.悪夢

ピチャッ…………ピチャッ………………。


どこまで歩いても続いていく沼のような地面。

辺りも暗くて誰の気配もない…一面薄暗い世界。


ピチャッ………ピチャッ………………。


どれくらい歩いただろう。歩いても歩いてもきりがない。

怖くなってきた。。

これ夢だよね?

夢だとしても薄暗くて怖い…。


「リーゼ・ウォレットね。」


声のする方を振り向くと女性らしき人が立っていた。


「誰?」


「初めましてかしら。私カヴァル・シーファ。ずっとあなたに会いたかったわ、()()()()()リーゼ・ウォレットさん。」


……………暗くて髪色が見えなかったけど、この人ヒロインだ。

悪役令嬢って言ってるあたりヒロインも転生者みたいね。

近くで見たのは初めてだけど、薄暗くてもわかるくらい綺麗な人だ。

こんな人に想われたら男性誰でも落ちるでしょう。

………………グレイ様も例外なく。


あれ?でも私ヒロインの顔もまともに見たことなかったのに夢に見るとかおかしくない?


「初めましてカヴァル・シーファ様。お会いしたことなかったですのに夢に出てくるって凄いですわ。それにとってもお綺麗ですわね。」


「あははっ。悪役令嬢なのに頭はお花畑なのね。現実ではなかなか会えないから夢の中へ会いに来てあげたのよ、魔術師の力を借りてね。」


「まっ…………魔術師?」


会いに来たってことは…幻ではなくて本当のヒロインってこと?


「だってぇ~、あなた全然悪役令嬢として働いてくれないんだもの。グレイセドやサムウィル、クリス様にカシリス様みんな私に無関心なんだから~。イベント起こらないんじゃ好感度も上がらないじゃない!!本当はみんなを虜にしたハーレムエンドもいいな~と思ってたのに………みんなあんたにベッタリなんだもん。」


可愛らしい言葉遣いとは裏腹に、最後はドスの聞いた声で言われビクッと体が強ばる。

やっぱりグレイ様にサムウィル様、クリスお兄様にカシリス様は攻略対象だったのね。


「ふふふっ。だから私わざわざ会いに来てあげたのよ~魔術師探してね。」


にやりと笑うヒロインを見て背筋が凍る。

怖いくらい悪い顔をしていたヒロインは、ふわふわ可憐ってイメージを持っていた私の意識を一瞬で変えてしまった。

胸騒ぎがする。


「単刀直入に言うわ。私グレイセドがターゲットなの。あたな邪魔なのよね!だからグレイセドの側にいるのやめてくれない?」


そうなんだ…………グレイ様のルートなのね。

いつかこういう日が来るだろうと思ってたけど、直接聞くとショックだな。


「……私も婚約者なので………嫌です。」


睨まれる顔が怖くて、必死に声を出して答えた。


「チッ。素直に離れればいいものを!まぁいいわ。どうせグレイセドは最後は私のものよ。これからグレイセドとの時間を増やしていきたいの。どうせ最後は断罪に婚約破棄されてみんなの前でゴミのように捨てられるのよ。ふふふっ、楽しみだわ。あなた邪魔だから消えてくれると私も手を汚さずにすむわ。そうね~今度の休み明けには行動で示してね。私ったら優しいわ~猶予を与えてあげるなんて。」


一方的にヒロインに言われ…………ヒロインこんなに気が強い子だったの!?

目的のためなら手段を選ばないと言われてるみたいだ。

私の夢に魔術師使って現れるくらいだから……ヒロインも本気なのだろう。

恐ろしい……………心の底から恐ろしいと思った。


「あぁ、そうそう。もし実行しなかったら魔術師使ってグレイセドに呪いをかけるから。ふふふ。」


笑いながらなんで怖いことを言えるの?

そんなヒロインを見て震えてきた。


「…自分の好きな人が苦しい思いしても平気なんですか?」


笑っていた顔がスーと真顔になり、近寄ってきて私の髪を思いっきり鷲掴みされ急に怒鳴りだした。


「はっ?グレイセドは好きよ。あの容姿に家柄申し分ないじゃない!今までグレイセドを独り占めしてきたあんたが憎いの!!なんで悪役令嬢が王子から溺愛されてるのよ!ふざけんじゃないわ!!ヒロインは私なの!!私が幸せになる為にある世界なの!!あんたは悪役令嬢で追放か処刑される運命なの!!わかったわね!」


力を強められ髪を捕まれたまま、顔を覗きこまれヒロインの目が血走ってるのがわかり震えが止まらない。


「あぁ、この髪本当に綺麗ね………憎たらしい程に。この髪にグレイセドが愛しそうに触ってたのを何度も見てたのよね。憎らしい髪の毛ね。」


ブチブチッと力を込められて髪の毛が引きちぎられ痛くて涙が出てきた。


「っ………………。」


「いい気味ね。ふふ。休み明け楽しみにしているわ。弱い悪役令嬢さん」


ヒロインはニヤリと笑って消えていったと同時に目が覚めると夢と同様泣いていて、ヒロインを思い出すだけで涙と震えが止まらなかった……………。

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