46.衝動1
はっ!!
今気づきましたが、サムウィル様が誓う忠誠ってイベントでヒロインにするものだったのかもしれない。
だって一生涯一人と言っていたし……。サムウィル様が私に言うってことはヒロインはサムウィル様ルートではないのかな。
ヒロインと直接会うことがなくてどんな動きをしてるのか、ヒロインの攻略対象が誰なのか…………わからない。
学園祭の舞踏会で身に付けていたドレスを見る限り、グレイ様かな~と思っていたけど………グレイ様からヒロインと会ったなど聞いたことがない。
コンコンと叩く音がして振り向くとグレイ様がドアに寄りかかりこっちを見ている。
「グレイ様、もう帰れますか?」
笑顔でグレイ様まで駆け寄って遠慮して手を握る。
抱きつきたい………抱きつきたいですが、サムウィル様がいる前では控えないとですね。
「ああ。サムウィルもういいか?」
「はい。グレイセド様ありがとうございました。では、リーゼ様また明日。」
にっこりと笑う、サムウィル様。
ん?どういうこと??サムウィル様何故ありがとうですか?
訳がわからないままグレイ様に連れられて馬車に乗り込む。
「グレイ様、先程サムウィル様から騎士の忠誠を誓われました。私も自分自身しっかりして皆さんに負担かけないように強くなりますね。」
「サムウィルは責任感強いからしっかりとリィの騎士として頑張ってくれると思ってるよ。今は修行の身だがいずれ俺よりも騎士として強くなるだろうな。」
「ふふふ。グレイ様はサムウィル様を信頼してるんですね。そうですね~サムウィル様は責任感が強くて成し遂げる人に思えますね。」
「……あまり俺以外の男を褒めるところは聞きたくないものなんだな。」
なになになに!
グレイ様かわいいですーーー!!
嫉妬ですか?嫉妬ですよね!?
もうもうもう、あの完璧なグレイ様が!!
ぎゅっーーーーーーと抱きついて嬉しさをアピールした。
「グレイ様、大好きですぅーーーーーー!」
勢いよく抱きついたのでグレイ様が体勢を崩して馬車の座席に倒れてしまったが、私をガッチリに支えてくれている。
ん?なんだか胸の辺りが温かい気がする……………てグレイ様の顔に私の胸が乗っかってるぅぅぅ!!!!!!!!
恥ずかしくてすぐに起き上がるとグレイ様と目が合ってしまいさらに恥ずかしくなる。
グレイ様も恥ずかしいのか、珍しく目線を少し外した。
「グッグレイ様すみません。勢いがつきすぎました。いまどきっ。」
言い終わる前に手が滑ってしまって、そのままさっきと同じようにグレイ様の顔に胸が乗っかってしまった。
これでは、私がグレイ様に胸を押し付けてるただの変態じゃないか!恥ずかしくて震えてくる。
グレイ様が急にぎゅっとそのまま抱きしめてきて、胸にグレイ様の顔がさらに埋まった。
「グレイ様?!」
身動きがとれず声をかけてみるが返事がない。
ぎゅっと抱きしめられて落ちないようにしてくれても、馬車が揺れるときにグレイ様の顔と私の胸も揺れてなんか変な気持ちになる………………。
私………わかってた。わかってたけど変態だ。
自分の胸を押し付けて振動で変な気分になるとかどんだけよ。
グレイ様に申し訳ないよ………こんな変態が婚約者なんて。
これからグレイ様の貞操の危機どんだけ訪れるのかな……ははは。
私が上から覆い被さってるからグレイ様の顔が動くたびに振動がすごい。
「んっ………………。」
ぎゃぁぁぁぁぁぁ。声だしちゃった。
だって、だって、だってぇぇぇ!!!!!
グレイ様変な風に思ってないですよね?!
そう思った瞬間、グレイ様により一気にひっくり返されて私はグレイ様の下にいて逆転してしまっている。
「リィの声かわいい。」
瞳をうるうるとして頬を火照らせて私を上から見ているグレイ様は、馬車の窓から差し込んだ夕焼けで金色の髪がキラリと光っていてなんとも色気が増している!
うわぁぁぁぁぁぁ。女でももんもんとすることをグレイ様わかってますか!?
「リィは柔らかいな。」
ぶわぁぁぁっと真っ赤になっていく私の顔。
なんてことを!なんてことをぉぉぉぉぉぉぉ!!
今その顔で言わないでください。エロいですよー!
色気が増しているからエロいんです!!
「…………グレイ様も唇柔らかいです。」
………………………………………何言ってるんだ私は!拍車をかけてどうする!
本当だとしても言うのは今ではなかった。
この状況で言うとグレイ様にキスして欲しいのをねだっているようではないか。
「リィは俺の唇が好きなんだな。」
くすりと笑い舌で唇を舐めるその姿がとっても色気があってくらくらします。
もうもう、限界です!頭の中でプツンと弾け……グレイ様が悪いんですよ……………。
大好きが溢れてきて私もグレイ様を無性に触りたくなりました。
ふふふ。グレイ様を味わいましょう。
両手でグレイ様の頬を包んで自分の唇へ引き寄せた。
グレイ様の唇をペロッと舐めるとグレイ様が少し引き気味になったので、両手に少し力を込めて引き寄せ唇にキスをする。
「ふふふ。グレイ様の唇美味しいです。」