45.忠誠
グレイ様が来るまで放課後の教室でサムウィル様が側にいてくれたとき、気になっていたことを伝えた。
「私の勘違いで………せっかく家に来てくださったのに最後はゆっくりできずこの前はすみませんでした。」
「謝らないでください。リーゼ様らしかったですよ。」
サムウィル様にこの前の謝罪をするが、くすりと笑って受け流してくれるなんて優しいです。
「ふふ。サムウィル様はお優しいですね。女性に人気なのがわかりますわ。」
「人気ですか…俺はただ一人にだけ想われたいですね。リーゼ様を守れるようにこれからもっと騎士として腕を磨きたい。」
「うわぁ。サムウィル様はやっぱり素敵な方ですね。サムウィル様に想われる方は幸せですわ。」
にっこりと微笑むとサムウィル様は頬を真っ赤にして答えられた。
「そう思っていただけたら幸せでしょうね。」
「まぁ、サムウィル様かっこいいですし想われたら嬉しいに決まってますわ。今度の剣術大会にお出になりますか?」
「はい。グレイセド様やクリス様には敵わないでしょうが、騎士として是非とも参加したいのです。」
「ふふふ。確かにグレイ様やクリスお兄様はお強いかもしれませんが、サムウィル様も小さい頃から訓練されてきたではありませんか。見学に行けませんでしたがお強いとの噂は存じておりますわ。剣術大会で得られるものもあると思いますの。それに、こうやって私の騎士としてクリスお兄様やグレイ様がサムウィル様を選んだのは強くて信頼してるからですもの。心強いですわ。」
「リーゼ様に言われると嬉しいです。剣術大会で頑張ったらリーゼ様何かいただけますか?」
「私からですか?」
「はい。それを糧に頑張れますので。」
「私にそんな力はありませんが………そうですね、サムウィル様は何か欲しいものありますか?」
「う~ん。考えてからリーゼ様にお伝えしてもいいですか?」
「もちろんいいですわ。決まったら教えてくださいね。」
悩んでるサムウィル様は珍しく、見てて面白くなりくすくす笑ってしまった。
「本当に欲しいものは昔から変わっていないのですが………。」
「ん?何か言いましたか?」
小さい声で何かを言われたので聞こえませんでした。
「いいえ。なんでもありません。…………リーゼ様に伝えたいことがあり聞いてください。」
「はい。どうされました?」
私もサムウィル様も席について話していたけど、急にサムウィル様が立ち上がり私の前に左膝をつき私を下から見上げる。
どっ…………どうしたんですか?!
「リーゼ様、この前グレイセド様に言われましたがリーゼ様の専属騎士としてこれからお守りいたします。俺にとってリーゼ様は『妖精令嬢』で大切な愛しい存在です。一生お守りさせてください。リーゼ様へ俺の騎士の忠誠を捧げます。」
サムウィル様は私の手をとりキスをした。
うわぁぁぁぁぁぁぁ。
ちょっ………………サムウィル様、刺激が強すぎます。
私グレイ様以外免疫ないんですよー!
しかも、すごく告白っぽく聞こえます。
わかってます。わかってますよ、告白ではないことは。
だけど、、真顔でサムウィル様が頬を赤くして言うんですもの。普通は勘違いしちゃいますよ!
「サムウィル様の気持ちありがとうございます。こんな私の騎士になっていただけるなんて感激です。騎士の忠誠って告白みたいでドキドキしちゃいました。ふふふ。」
「そうかもしれませんね。騎士の忠誠は一生涯一人に捧げるものですから。」
握ったままの手を強く握りしめられ、そんなこと言われたらプロポーズみたいじゃないですか!?
さすがに私でも赤面しちゃうくらいだから、普通の令嬢だとますます勘違いしちゃいますよぉぉぉぉぉ。
「そうなのですか?そんな大切な忠誠を私にして…サムウィル様大丈夫ですか?」
「元々リーゼ様以外考えていませんでしたので、夢が叶いました。」
「そっそうなんですか?大切な忠誠を本当に心からありがとうございます。私も大切にしますね。」
にっこりと笑顔で答えるとサムウィル様は見たことがない甘い顔で微笑まれた。
う~ん、これは破壊力半端ないぞ!
みんなが騒ぐわけだ…………サムウィル様はイケメンです!
何故私を選ばれたのかわかりませんが、大切な忠誠だったので私もサムウィル様に何かしらの形で返していけたらと思います。
「でも、これだけは言わせてください。危険なことがあったとしてもサムウィル様死なないでくださいね。」
「わかりました。もっと強くなってリーゼ様をお守り続けます。」
「ありがとう。」
サムウィル様は私の手を愛しそうに見つめ、もう一度キスをして手を放した。
ん?あんな目で見つめるなんて…サムウィル様は手フェチなのかしら?!
それにしても、忠誠をしてくれるなんて思っていなかったら、オープンな場所で膝をつかせたり手にキスなんて……………私が指示してるように見えないでもない!
…………………………私、悪役令嬢みたいじゃないですか!?