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42.欲望2

私は固まったまま立っているお母様とクリスお兄様を見ていた。


「グレイセド寝てるよな。何してるんだ、リィ。」


呆れたような声で私に言うクリスお兄様。

そうですよね、そうですよね。

クリスお兄様の友達でもあるグレイ様を寝てるのをいいことに襲ってる………しかも妹がですものね!!


「あらあらあら。寝込みを襲うなんてリィそんなにグレイセド様が好きなのね。ふふふ。ちょうどそのお話をしようと思っていたのよ。」


ん?なんだろう?首をかしげてお母様を見る。


「明日は急遽ミールがこちらに来ることになったの。そこでミールと私からのサプライズがあるから楽しみにしていてね。ふふふ。」


意味深なことを言ってお母様は私に近づいてきて耳元で呟いた。


「グレイセド様と既成事実大歓迎よ。ふふふ。」


なっなっなっ………………なんてこと言うのお母様!!!!

真っ赤に顔がなっているのがわかる。

…………………いつかはそうなればいいなとは思ってるけど、急に言われると心の準備が出来てませーーーーん。


「リィ、お母様に何言われたか想像はつくが()()()襲うなよ。明日朝イチで王妃様が訪問されるからグレイセドは俺の部屋に泊まることになったんだ。起きたら俺の部屋に連れてきてほしい。」


「クリスお兄様わかりましたわ。それにおっ襲うなんてそんなことし……………いえ、していましたがグレイ様の顔を見るとつい魔が差して……。あはは。」


「あははっ。リィが幸せならいいんだよ。」


ちらりとグレイ様を見て、クリスお兄様が私の頭を撫でて優しい笑みで私を見つめてから部屋を出ていき、お母様はふふふ。と笑いながら続いて出ていった。


はぁぁぁぁ。ビックリした!

グレイ様を堪能しようとして……いや堪能してるときにお母様とクリスお兄様が入ってくるとは思ってなかったです。

前にお母様にこういう現場を見られてたから気を付けていたけど……押さえられなかったですね。


グレイ様をちらりと見るとまだ寝てる……あぁぁぁぁぁ、あの綺麗な顔に頬にすりすりしたい!!!!!

……クリスお兄様から今日は襲うなと言われたばかり。

しかたない。グレイ様の側にいき顔を眺める。


「はぁぁぁぁ。触りたいけど触れない。グレイ様にすりすりしたい………。」


ボソッと呟く。だってだってだってーーーーーーこんなに大好きなグレイ様が無防備に寝てるのに何もできないなんて拷問ですぅぅぅぅぅーーーーー。


「触ってもいいのにな。」


「えっ?起きていたのですか?」


まさかまさか、襲っていたと気付かれてないよね?


「途中からな。俺はリィから寝込みを襲われてたんだな。」


くすくすと笑いながら私を見る。

終わった。終わったよー私。

婚約者からでも寝込みを襲われてるなんて嫌だよね。


「ごめんなさい。グレイ様を見てるとつい……魔が差してしまいました。」


魔が差したって………どんだけ欲求不満なんだって話よね。

もう、変顔に変態に欲求不満で襲う………今までのことを積み上げていくとグレイ様にとって私の印象はもはや令嬢ではないよね。

中年の親父みたいな頭の中してるではないか。

それでも見捨てないグレイ様は優しすぎです。

私だったらこんな令嬢嫌ですよ。


「俺はリィのものだから遠慮なく触っていいよ。」


「グレイ様は私のもの。グレイ様は全部私のもの。………いえ、

クリスお兄様から()()()()()()と言われているので我慢します。」


「へぇ~()()()我慢するんだな。」


くすくすと笑うグレイ様は楽しそうに強調して言われて、クリスお兄様から言われなかったら今日もこのまま襲いそうな私の心を見透かされてるみたいで恥ずかしい。


「…………グレイ様意地悪です。」


不敵な笑みをして私を引き寄せた。


「意地悪?リィには意地悪かもしれないな。リィから触れないなら俺から触ればいい。」


「えっ?グレイさ…………んっ。」


言ってる途中で口を塞がれた。

ぎゃぁぁぁ!!グレイ様の唇が!グレイ様の強引なところ………かっこいい。かっこいいーーーーたまらん。たまらん。

全然嫌じゃないからされるがままです。

唇が離れるときの吐息が……………グレイ様エロいです。

こういう時グレイ様の色気は普段より増すんですよねー。

グレイ様のこういう姿は私だけ知ってると思うと萌えますね。

………本当に知ってるの私だけですよね?

一度考えると不安な気持ちが膨れ上がって……………グレイ様から離れようとするがその度に力が強くなっていく。


「……はぁ………リィ、なんで逃げようとする?」


わかってますか?吐息がエロいですよーグレイ様!

甘~いとろんとした目で私を見るの反則です!襲いますよ?!


「だって………グレイ様慣れてて上手ですから私が初めてではないだろうなと思っていると頭から離れなくなってしまって…すみません、嫉妬です。」


グレイ様はきょとんとした顔をしてもじもじしながら話す私を見ている。

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