37.ウォレット家1
「リィ、聞きたいことがある。」
私の部屋に入ってきたクリスお兄様がソファーに座っていた私の隣に腰掛け質問してきた。
「なんですか??」
「今日の昼食の時、リィの様子がおかしかったが何かあったのか?」
やっぱり………クリスお兄様は何か感じ取ってたんですね!
もしかしたらカシリス様の想いも知っていたのかもしれない………。ここはクリスお兄様に聞いてもらうといいのかも。
「………ここの話を私がしたことを秘密にしてほしいのですが。。」
「誰にも言わないよ。」
「実は、昨日カシリス様の気持ちを知ってしまったのです。」
「ああ、カシリスも惚れてしまったみたいだね。あんなカシリス初めて見たな。あんなバレバレに視線を向ける奴とは思わなかったから意外だった。」
クリスお兄様は予想してたかのように頷きながら聞いてくれた。
「そうなのです。クリスお兄様に会う前に私は気付いたのですが……グレイ様に触れているとジーと見られてるみたいで居心地が悪く………どうしたらいいのかわからず…。」
「それで来たときグレイセドは機嫌が悪かったんだな。………まぁ、そんなことだろうとは思ったけど。」
「そうですよね……グレイ様も困惑されてたのだと思いますわ。友達と思ってたのに実は恋愛対象に見られていたなんて…。」
クリスお兄様の笑顔が固まって動かなくなった。
「ん?リィ今何て言った??」
「例えグレイ様であっても、カシリス様に想われてるとわかって困惑されますよね。」
「……………………リィなんで自分のことになると鈍いかな。」
クリスお兄様の言ってる意味がわからず、昨日の悶々とした気持ちを聞いてもらう。
「わかってるんです。人の心だからグレイ様を想うのやめてくださいなんて言えないです。グレイ様はモテますから女性の恋敵は現れるだろうと思ってましたが、まさか男性が恋敵になると考えていませんでした…。カシリス様の前でグレイ様の側にいるのも居心地が悪くて…ケーキも本当はグレイ様にあげたかったのでしょうが私に下さるカシリス様の気持ちが苦しくなってしまいます。」
「とりあえず面白いから………いや何もしない方がいい。俺もフォローするからな。いずれ二人にはわかるだろう。」
「そうですわね。私はグレイ様が心変わりしないように自分磨きを頑張ればいいですね。クリスお兄様と話してると心が軽くなりました~。ありがとう。」
クリスお兄様の頬にちゅっとしたら、私の頬にもちゅっとしてくれて頭を撫で微笑まれた。
「いつでも相談にのるよ。」
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今日はウォレット家にお話のため皆さんが集まる日です。
お昼をウォレット家でご用意となり、朝から家が慌ただしいです。
さっき知ったけど、クリスお兄様はもちろんのことサムウィル様にカシリス様も侍女達には人気だった。
学園外でもこんなに人気なんて………女の情報網は凄いです。
しかも、訪問がわかってからの侍女達の浮かれようが半端ないです。
『ああぁぁぁぁぁ!クリス様にグレイセド皇太子…ツーショット目に焼き付けるぞーーーーーー!!』『サムウィル様とカシリス様の私服姿、萌えーーーーー!!』と叫び涙を流しながら天井を拝んでいた。
そこまで??気持ちはわかりますがそこまで??
侍女達を見ながら引いてしまうけど、嬉しそうな姿を見るのは嬉しい………ですが喜び方が怖いです。
だけど、きちんと私のお世話もしてくれる優秀な侍女達にはいつも感謝していますよーー。
「えっ?このワンピース着るの?!」
侍女達が持ってきたワンピースはグレイ様から頂いたものでエメラルドのワンピース。ドレスよりも軽装でシンプルだけど少し丈が短いのです。制服と同じく膝まで長さがありますが、制服以外でここまで短いのは初めて着るんですよー。
これは密かに部屋着として使用しようと思ってたから少し恥ずかしい気もしますが………………。
「何言ってるんですか!リーゼお嬢様の綺麗な足を見せないと!もったいない!!!皆様リーゼ様に釘付け間違いなしですわ!!」
怖い怖いですよー!目が血走っております!
そんなに力説しなくても……もう何も言えないです。
釘付けですか…………よくわかりませんが、カシリス様は特にないです!グレイ様を好きですから…………とは言えませんが。
もうすでにグレイ様いらっしゃるんですよねー。
私まだ準備ができてなくてお出迎えができませんでした。
クリスお兄様と待ってるみたいだけど………早く会いたいです!
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「グレイセド……昨日はサムウィルとカシリスを威嚇し過ぎだ。」
「サムウィルの気持ちは知っていたが、カシリスまで………。見たかあいつの熱い視線を明らかにリィに惹かれてるだろ。」
「まぁ、カシリスを見てるとすぐにわかったが……人の気持ちはどうにもできないからな。」
「………リィが無防備過ぎて心配なんだ。」
「あははっ。リィには見せないように二人を睨み付け、リィを抱きしめ見せつけるお前は面白かったよ。」
「二人とも頼りになるのはわかっているが、リィのことになると冷静でいられなくなる。」
「お前はリィが絡むと面白いな。リィは自分のことになると鈍感だからお前も苦労するよな。」
くすくす笑いながら困ったグレイセドを見る。
どんなにリィがモテようが、グレイセドしか見えてないから大丈夫だとは言わないでおこう。