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33.学園祭6

「リーゼ様!!!!!!」


ナージュ様の叫んだ声が響き渡ると同時に、私の手を握っていた男性がお腹を蹴られ床に蹲り倒れ、捕まれていた手が引き寄せられグレイ様に抱きしめられていた。


「貴様リィに何をした。」


「……………っ。」


グレイ様が来てくれたと思った瞬間安心してフッと力が抜けてしまって初めて怖かったんだ私と気づいた。

動ける他の男性達が逃げ出そうとしているのをクリスお兄様が回し蹴りで会場の方へ吹っ飛ばした。


「リィに危害を加えて逃げられると思うなよ。」


もう一人の逃げ出そうとした男性を、抱き締めながら私を軸に動いてグレイ様が回し蹴りで会場の方へ吹っ飛ばした。


「一人も逃がすかよ。」


えぇぇぇぇぇ!!!!吹っ飛びましたよ!?

クリスお兄様は強いのは知っていましたが、グレイ様も劣らず強いのは初めて知りました。

グレイ様にクリスお兄様…………二人ともかっこよすぎです。


会場には急に飛ばされてきた男性達に何事かと注目が集まっている。


「お前はリィを捕らえてたからな。一番罪が重いぞ。」


グレイ様に蹴られ床に蹲っていた男性をクリスお兄様は首元を片手でつかんで持ち上げ会場へ投げ飛ばした。

いやいやいや、クリスお兄様、数年前よりもパワーアップしてますよね!!恐ろしいです。


「リィ大丈夫だったか?サラモン令嬢と一緒だったから油断した。」


「はい…手を握られたときは怖かったですが大丈夫です。」


「あの男殺す。リィに触りやがって…。」


「グレイセド落ち着け。貴様ら学園の生徒じゃないな。誰の命令だ?」


私の手を掴んだ男性は顔をあげ不敵な笑みをしながら周りを見渡し最後に私を見た。


「時間稼ぎの予定だったんだが…………ウォレット令嬢があまりにもいい女だからつい口説いてたんだよ…な。」


はぁぁぁぁぁぁ?!

くくくくくっ口説いてた!?いつですか??

何か言われてた気がするが…怖いとしか思えなかった。

それに私なんてとんでもない。いい女って言うのはナージュ様のような方ですよ。


「口説かれた覚えはありませんが?」


不敵に笑って口説いたと言った男性が目を見開いてこっちを見ている。


「はっ?皇太子やめて俺にしろと言っただろ?」


「はい。それは確かに言われましたがそれが何か?だいたい何ですの?どこかに付き合ってほしかったのですか?それ私じゃなくてもよろしいのでなくて?もう、手を放さずに一緒に来いと言われて怖かったですわ。」


「「「「…………………………。」」」」


騒動で静まり返っていた会場にはリーゼの声が響き、『そういう意味ではないだろ。』と誰しもが思った。



「「「リィ。」」」


お父様とお母様とセディオお兄様が騒ぎを聞きつけてきてくれた。私の前に男性達から盾になるように立ってくれている。


「グレイ様とクリスお兄様が助けてくれたので大丈夫です。」


にっこり笑って三人を見る。


「よかったわ。それにしても誰この人達は。」


鋭い目をして男性達を見る。

こういう目をするときのお母様は怒っているんだよね。

そうだよね。娘が連れていかれそうになったから当たり前か。


「リィを狙ったな。ウォレット家(うち)を敵に回すとはいい度胸だ。覚悟しろよ。」


セディオお兄様………男性達を汚物を見るような目で恐ろしいです。


「………お前達みたことあるぞ。確か…ハムロ侯爵と一緒にいたよな。」


お父様の言葉を聞いて男達が震え動揺し始めた。


「うちの子供に手を出すとどんな目に遭うか知りたいらしい。後始末は俺が引き受ける。」


グレイ様もクリスお兄様もお父様に頷いた。


「うわぁぁぁぁ。」


震えていた男性達の一人が逃げ出そうとしているが、お父様がすぐに動いて片手で捕まえる。


「さて、ここからは大人の時間だ。じっくりと話をしようじゃないか。」


なんですか!なんですか!

お父様がとてもかっこいいです!

あんなに残念になるお父様…………今日はかっこいいではありませんか!

ギャップが激しいですーー。

心配してくれる私の家族大好きです。


考えてみたら、ウォレット家勢揃いではありませんか。

確かにクリスお兄様が一番強いですが、セディオお兄様やお父様は決して弱くありません。クリスお兄様が強すぎるだけなのです。

果たして()()()()…大丈夫でしょうか。


――――――――――――――――

―――――――


「先程はナージュ様助けてくださりありがとうございました。気づいてくれて嬉しかったです。」


ナージュ様の方へ駆け寄って両手を握りしめ微笑んだ。


「気づくのが遅くてすみませんでした。もっと早く気づいていれば怖い思いをしなかったかもしれませんわ。」


「いいえ。あんなことになると思わないですから……ナージュ様に危険がなくてよかったです。ふふふ。」


話してるとふらっとして力が抜けてグレイ様が支えてくれた。


「あれ?すみません。少し立ち眩みがしました。」


「リィ、自分が思ってる以上に精神的にも肉体的にもきてるんだろう。サラモン令嬢今日はありがとう。リィを連れて帰るよ。」


「いいえ、リーゼ様を守れてよかったですわ。グレイセド皇太子がおっしゃる通り、リーゼ様今はゆっくりとお休みになってください。また学園でお会いしましよう。」


「ナージュ様ありがとうございます。また話しましょうね。」


その場でグレイ様がお姫様抱っこをしたので皆さんの注目の的となった。

ぎゃぁぁぁぁ!恥ずかしいです!皆さんの前は入学式以来です。

二度目でも恥ずかしいものは恥ずかしいでーーーーす。

でも、グレイ様の胸に顔を埋めてスーーーと匂いを嗅ぐと安心する…………こんな時でも変態です。


この日、舞踏会で起きたことは瞬く間に国中に広がった。

リーゼ様に手を出すとグレイセド皇太子並びにウォレット家がキレて身の保証はない。ということが一緒に伝えられた。

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