28.学園祭1
「ナージュ様は誰にコサージュあげるのですか?」
ざわざわしてた周りの生徒達が一斉にシーンとなった。
えっ?聞いてはいけないことだったかな……………………………………………………あっ!
小さい頃そういえばグレイ様が好きと言ってたよね。
その事をみんな知ってるんだ。
ヤバイ…………蒸し返したみたいになってる!!
「ごめんなさい、軽率でした。決して変な意味ではないですから。。」
慌てて弁解はしたが、そう思われないよね。。
最悪だ…………グレイ様を好きと言われたことをすっかり忘れてたなんて。。
ナージュ様が友達でいてくれるから。。
「ぷっふふふ。本当にリーゼ様って可愛らしいわね~。もう過ぎたことですし、リーゼ様だけだと見ているとわかりますわ。もう私はすっきりしてますわよ。」
「ナージュ様って本当に素敵な方ですね。大好きです。」
ナージュ様の優しさが嬉しくてぎゅーーーーっと抱きついた。
周りのみんなは羨ましそうに見ている。
ふふふ。いいでしょ。いいでしょ。
こんな綺麗なナージュ様に抱きついて羨ましいでしょ。
女友達の特権なのです。
「私もリーゼ様好きですわ。」
好きと言われ嬉しくてにっこり笑顔でナージュ様を見つめると
ナージュ様もにっこり笑顔で答えてくれた。
笑顔がすごく綺麗で見惚れていると、
「ぼっ僕も好きです。……………リーゼ様」
おっ、男性陣から声が上がった!
そうでしょ。そうでしょう。
ナージュ様は気品あり容姿完璧な上に性格も優しい、凄い人なのです。
…………………………………………………ん?
今私の名前だった??
クラスの男性と目が合うと真っ赤な顔をしていた。
「「「「「「「リーゼ様、僕も好きです。」」」」」」」
「「「「「「ナージュ様が好きです。」」」」」」
いいねいいね、ナージュ様の声も上がっている。
て、なにこれー!告白大会みたいになってますが!!
どどどどーしたらこんな状況に??
えーーーーーーと、クラスの男性陣だけでなく女性陣までも一緒になって叫んでますが。。
視線の中心に抱き合う私とナージュ様。
どうしてこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「えーと………………。」
「これはリーゼ様から始まった告白大会ですわね。」
くすくす笑いながらナージュ様が私を見る。
はい。確かにナージュ様には言いましたが……こんなクラスの皆さんを巻き添えにしようと思ってたわけではありませーーーーん。
「あははははっ。何これ。リィのクラスは面白いね。グレイセドは心中穏やかではないだろうけどさ。」
声がした方を見るとクリスお兄様が立ってた。
きゃーーーーーーーっと黄色い歓声が上がる。
クリスお兄様は新入生の中でも人気で、私も大好きなのでそこは素直に嬉しい。
「とりあえず、勇気を出した男達のコサージュを受け取ってあげなよリィ。」
最初に目があった男性は真っ赤になりながらコサージュを持って手が震えていた。
私は近づいていき素直に答えた。
「お気持ちありがとうございます。クラスの一員として好きといってくださって嬉しいです。きっとあなたが好きになる方は幸せでしょうね。残り二つのバラは想い人に渡すときっと喜ばれますわ。」
コサージュを受け取り微笑んだ。
その時クラスの生徒達は、頭にクエスチョンマークを描いた。
「みんなごめんね。リィは恋愛面はとんと弱くて………特に自分のことになると疎いんだ。妹ながら厄介でね。」
その場にいた生徒達は、好きの意味が伝わってないのか!と心の中で叫んだ。
この時の告白大会はこの後学園に語り継がれることとなり、リーゼの可愛らしい一面を知った男性達はさらに虜になってしまったことは言うまでもなかった。
「リーゼ様、私はあなたには敵いません。」
その光景を目の当たりにしていた女性達はボソリと呟いていた。
ナージュ様と話していただけなのに、いつの間にかコサージュをクラスの男性から大量に貰うというよくわからないことになってしまった。
私のバラは朝グレイ様にすでにお渡しし、クリスお兄様に渡そうと思ってたから来てくれてよかった。
「クリスお兄様、どうぞ。」
バラを差し出すと、嬉しそうな笑顔で頭を撫でてくれた。
「ありがとう。リィから貰えるのもいつまでかなぁ~。はいこれ俺のバラ。」
「ふふふ、私にとっていつまでも大好きなお兄様です。クリスお兄様、バラありがとう。」
「それじゃ、生徒会に戻るか。みんなリィのことよろしく。」
微笑みながら帰っていったクリスお兄様の後ろ姿を見てクラスの女性達は目がハートになっております。
クリスお兄様………会いに来てくれたのは嬉しいですが、それだけで信者が生まれておりまーーーーーーす。
――――――――――――――――――――――
――――――――――――――
「ということがありました。グレイ様………どうされました?」
教室の出来事を話すとグレイ様が笑顔だったかと思ったら困った顔になったり、、最後は険しい顔になってます。
「クリスは無意識で信者を作るんだよな。兄弟って似るもんなんだな……………。」
困った顔をして私の頭を撫でる。
「……………グレイ様こそ沢山貰ってたじゃないですか。。私みたいに友達的な感覚ではないでしょう。」
「これは俺にではなくて皇太子としての俺にだろうな。リィから貰ったバラだけで幸せだよ。」
「私も…グレイ様がくれたバラ大事です。今は髪に付けてますが、家帰ったら即効宝箱にいれなければ。」
「リィ可愛いね。」
ぎゅっと抱きしめてくれて安心するグレイ様の匂いをスゥーと嗅いだ。
はぁぁぁぁぁ。癒されます。
そういえば、コサージュって異性の好きな人にあげるって聞いたけどヒロイン接触してきてるんじゃないかな。
グレイ様は何も言わない。きっと接触してきたら言ってくれると信じてる。
うぅぅ……………考えだしたら気になってしまう。
「ぐ「そうそう、リィが心配するような人だったりイベント?だったりはなかったな。」」
言葉が重なったけど考えてたことを言われてしまって体がビクッとなった。
そんな私の体を『安心して』と包むようにぎゅっぎゅっと抱きしめてくれた。
学園祭は始まったばかり。
どうか、学園祭三日間楽しい思い出になりますように。