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25.前兆

遅くなってしまった…リィ待ってるだろうな。

リィの教室に近くなったところで大きな音がした。

何かあったのかと急いでリィのもとに行くとサムウィルと二人きりだった。


二人きりだったという事実に目の前が真っ赤になる。

落ち着け、落ち着け。

よく見ると倒れているリィを抱きとめているサムウィルがいた。何かあったのか?

腕の中のリィをぎゅっと抱き締め、頭をなでさらさらとした銀色の髪を指に絡めて髪にキスをした。


「何をしている。」


我慢の限界だった。つい怒りを交えた声で言ってしまった。


「………グレイセド皇太子。リーゼ様が突然倒れられたので慌てて支えました。頭や体はどこも打ってません。」


リィが無傷でよかったことは安堵しそこまでなら許せたが、抱きしめて髪にキスをするのは違うだろ。

目の前の光景に心が煮えたぎるように熱い。でもそれよりも今はリィのことだ。


「リーゼをありがとう。詳細はまた後に聞こう。」


駆け寄ってすぐにリィを自分の腕の中に抱き締める。

まだ意識はないようだ。顔色も少し悪い……何があったんだ。

気になるが今はリィを早くベッドへ寝かせなければ。


「わかりました。」


頭を下げてサムウィルはその場を離れるとき、リィに視線を移し心配そうな顔をしていた。


サムウィル…………お前はいいやつだが、リィだけは譲れない。



――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――



ん~…………………はっ。目を開けると見覚えのある天井。

窓の外が暗いことからもう夜なのね。

えーと、、どうやって帰ってきたのかな……思い出せない。

確か……グレイ様を待っててサムウィル様と話したり本を読んだりしてるときにあの視線を感じて……………思い出しただけで手が震えてきた。

なんなの?あの怖い感じは、、グレイ様だけだと思ってたけど私に対する憎悪って言った方が合いそうだ。

グレイ様………帰りは見れなかったな。。


身を起こそうとすると掌に温かい温もりを感じた。

暗闇のなか目を凝らすとありもしない姿が見えてビックリした。


「グッグレイ様!?」


私の掌を包んで握っているグレイ様はベッドに伏せて眠っている。

ぎぁぁぉぁぁ!グレイ様の寝顔だぁ!

起きているときと変わらず寝てても整ってます!!

もっと明るくしてじっくりと拝みたいが、、起きてしまう可能性があるためできない。。

手持ちの小さなランプをつけると今度は私のでれた顔が浮き上がってホラーになりそうだから無理だ。


ふふふ。こうなったらもっと近くで見ちゃえ!

グレイ様ってまつげも長いんだなぁ。

唇も整ってて……柔らかくてってちがーう!

どこ見てるんだ私は!変態すぎて今グレイ様が起きたら怯えられそうだ。

でも………近くで見たい。。

心で葛藤しながら眺めていると、クスクスとグレイ様が笑いだした。


「もう、リィ鼻息荒すぎ。」


…………………なんてことだ!

好きな人に前のヨダレに引き続き興奮して鼻息まで荒くなってたの?!

女…………捨ててる私。親父みたいになってる。。


「すみません!あまりにもグレイ様の寝顔が綺麗で興奮してしまいまして。」


て、何言ってるんだ私!

ここ素直に言わなくていいところだった。恥ずかしいだけだから。


「いつの間にか寝てしまったな。リィの寝顔も綺麗だったよ。」


……………どうか半目になってたりしてませんように。


「すみません、実は覚えてなくてグレイ様が連れて帰ってきてくれたのですか?」


「ああ。帰り遅くなってごめんな。何があったか教えてくれる?」


最近の視線について話をした。

グレイ様と一緒の時からだったが、今日教室でサムウィル様と一緒の時も同じことが起きたこと。一人の時も感じるようになってきたこと。

話ながら震えてる体をグレイ様が優しく抱き寄せてくれた。

頭をなでながら強く強く抱き締めてくれる。

グレイ様の腕の中は安心するなぁ。


「誰が狙われてるのかまだハッキリとわからないが、リィ一人で行動しては絶対にダメだ。出来るだけ俺が側にいる。」


「わかりました。ありがとうございます。」


グレイ様に抱かれて安心したからか瞳から大粒の涙が溢れてきた。

ぎゅっと抱きついて安心できるようにグレイ様の体温を感じた。

怖かったよー。本当に怖かった。

今日は偶然にサムウィル様がいてくれたから一人にならなかっただけで……………一人だったらと思うとゾッとする。


………私知らないうちに悪役令嬢のような振る舞いをしてしまってるんじゃないだろうか。

それともゲームの強制力?っなのかな。。

学園でヒロインに会ったことがないため、私がヒロインに対して悪役令嬢にはなってないはずだ。

そういえば、ヒロインの話をグレイ様にしても誰からも聞いたことがない。

………学園にいるよね?


「グレイ様……少し落ち着きました…ありがとうございます。」


「いいよ。リィが不安なときは側にいたいんだ。」


「小さい頃から変わりませんねグレイ様は。素敵な方です。」


「リィ限定だけどな。」


グレイ様がちゅっとおでこにキスをしてくれた。

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