24.警戒
入学式から数日がたち、足も自分で歩けるほどに回復した。
グレイ様や教室ではナージュ様やサムウィル様にはずいぶんと迷惑をかけちゃった。
その間にホルソンご令息からは名前でいいと言われ、サムウィル様と呼ぶようになった。もしかして初めての男友達になりますか?
そうだ!今度何かお礼しよう。
足は治って嬉しいのですが……………なっ慣れません。
キッキッ……………キッ…………………ぎゃぁぁぁぁぁ!
思い出してしまった。
なかなかの刺激でした。あの日は興奮し………心が乱れて夜寝不足になりました。
あれからグレイ様と会うたびに整った唇を見てしまう。
ヤバイやつだ私。絶対にでれた顔で見てしまっている自信ある!
グレイ様に気づかれてないといいけど。。
はぁぁぁぁ。グレイ様会いたいです。
いや、朝も一緒に登校したんだけど最近やばいなぁすぐ会いたくなっちゃう。
重症だな私。
「ィ……リィ?」
「グ…グレイ様!?」
突然目の前にグレイ様の顔が現れてビックリしてしまった。
「お昼になって迎えに来たが……ボーと何か考え事?」
「………………………。」
あぁぁぁぁ。
勉強しなくてグレイ様を妄想してました。なんて言えない。
真っ昼間からなにしてんだ私は。
覗きこんでいる顔が近いです………………あの整った唇が………ぎゃぁぁぁぁぁ。
はっ。また見てしまっていた。
だめだめ、ここは学園で日中です。
「リィ顔に出すぎ。朝も見てたしそんなにまた……したい?」
「なっなっなっ何を言ってるんですか。」
いやぁぁぁぁぁ。
私の耳元にグレイ様が呟き、不敵な笑みをしてなんてことを言うの!
思わず、「お願いします!」と言ってしまいそうになったじゃないですか!
よく呑んだ!よく呑んだよ私!
私はランチのテラスに行くときも………いやグレイ様といるときは必ず腕に巻きついている。
傍から見たらとんだバカップルであるのはわかってるが、不安なものは不安なんだよね。。
グレイ様も何も言わないしいっかーっと思って甘えさせてもらってる。
んーー。最近グレイ様と一緒の時は特に視線を感じるんだよね。
なんだろ………グレイ様といるから注目され見られてるからだろうと思ってたけど違う気がする悪寒がする感じだ。
………初めて気付いた時はあまり思わなかったけど最近怖くなってきた。。
………………………………なるべく一人になるのは避けよう。
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―――――
お昼の時に放課後少し遅れると言われてたので教室で待つことにした。
まだ帰っていない人もいるから一人になることはないだろう。
あの悪寒のする視線のことを思い出すと体がブルッと震える。
久し振りに本でも読んでようかな。
実は前世の記憶は曖昧にしか思い出せてないが、どうも読書が好きだったみたいだ。
……恋愛小説が中心だったはずだから残念ながら勉学の知識は身に付いてはないが、今でも本を読むことは苦痛ではないのでよかったと思う。
だって………王妃教育が本が大量にあるんだよ。。
初めて見たときはさすがに本好きな私でも気が遠くなりそうだった。
さてさて、持ってきた本は恋愛小説だから息抜きにぴったり。ふふふふーーーーん。周りに聞こえないように鼻歌歌っちゃってます。
最近忙しくて途中までしか読めてなかったんだよねー。
気になるところでおあずけだったからふふふふーーーーん。
「リーゼ様、楽しそうですね。」
声をかけられてビックリして顔をあげればにっこり笑顔のサムウィル様がいた。
鼻歌聞こえてないよね?聞かれてたら恥ずかしすぎる。
「ええ、本が読めるのが嬉しくて。サムウィル様は帰らないのですか?」
「そうですね、もう少し教室に居たくなりました。リーゼ様はグレイセド皇太子を待っているのですか?」
よしよし、この感じだと鼻歌は聞こえてないな。
よかったよかった
「はい。少し遅くなると言われて本でも読んでいようかなと思いまして。よかったら……読みます?恋愛小説ですが…………て冗談で「それでは一冊貸してください。」」
「えっ。サムウィル様も恋愛小説に興味があるのですか?ふふふ、意外です。」
サムウィル様は武術系だと……体動かす方が好きなのだと思ってました。
「あまり読まないのですが……リーゼ様がとても楽しそうなので興味が湧いてきました。」
「ん~それでしたらこちらどうぞ。私は読んでしまっているので気にせず読んでくださいね。」
ベタベタの恋愛小説よりも少しさっぱりとした恋愛小説をお貸しした。
「ありがとう。」
自分の席についてサムウィル様は読み始めた。
サムウィル様も誰か待ってるのかな。
周りを見ると誰もいなくなってた。サムウィル様がいなかったら一人だった………よかったいてくれて。
ゾクッ。
なっなに?周りを見てもサムウィル様以外誰もいない。
見られてる気がする………しかもいい意味ではないよね………だって体が震えてくる。
なんで………グレイ様といないのに。。
サムウィル様がいるから?わからない。。
怖い………。
「震えてますが大丈夫ですか?」
私が異常だったのかサムウィル様が声をかけてくれた。
「あっ………大丈夫………で…………す………。」
答えるのが精一杯で………怖くて怖くて意識が途切れていく。
ふらついて倒れそうになっていたのだろうガタッと床に落ちる感覚が………意識が朦朧として力がはいらない。
頭打たなければいいなぁと咄嗟に思いながら意識が遠のいていった。
「リーゼ様、危ない!」
倒れるリーゼをサムウィルが慌てて抱きとめる。
その時にはリーゼは意識がなくなっていた。