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23.クリス

家に着くと、知らせを受けたお母様が出てきていた。


「リィ大丈夫??グレイセド皇太子報せていただいてありがとうございます。お父様ももう少ししたら帰ってくるから……あの人心配で仕事切り上げてくるって………。とりあえず中に入りましょう。」


「心配かけてごめんなさい。」


グレイ様がお姫様抱っこで家の中まで連れていってくれて、こんなタイミングでなんと出会ってしまった。


「リィ大丈夫だった??」


「クリスお兄様…帰ってらしたのですか?心配かけてすみません。」


「俺もさっき帰りついたんだ!学園で様子見に行きたかったんだけど生徒会が忙しくて……ごめん。」


「クリスお兄様が謝ることないですよ~。ふふふ。」


「…………で、そろそろ下りようか!侍女達と部屋に行って着替えておいで。その間グレイセド話をしよう。こっちにどうぞ。」


顔は笑ってるが目を細目ながら氷のような視線を向けてきた。

しかもグレイ様を呼び捨て………クリスお兄様とグレイ様って顔見知りなのかな。


「わかりましたわ。グレイ様送ってくださりありがとうございました。」


侍女達に支えられ後にする。

クリスお兄様は、お父様ゆずりの金髪に私と似た紫系の目の色。容姿だけでいえばどこかの国の王子様のように容姿端麗である。

セディオお兄様と違い人懐っこくてすぐに人気者になれるタイプである……………………が、性格はセディオお兄様と比べ物にならないくらい冷酷になれる。

私絡みだと特に酷くなる。

あの残念なお父様の溺愛以上に私に対する溺愛っぷりはすごい。

グレイ様の婚約者になったときも、後で知ったクリスお兄様がまだ私も小さかったこともあって単独で王宮に乗り込もうとし、家族みんなで必死に止めた。

あの時はお父様が足を骨折してしまいいろんな意味で大変だった。

そう、お兄様は容姿や性格だけでなく武術、剣術すべてを網羅した完璧人間なのだ。

私は幼い頃からクリスお兄様だけは逆らってはいけない人だと思っている。


実は今日も教室にクリスお兄様が乗り込んでこないかひやひやしていた。

私が挫いたとなれば原因やもし関わった人がいれば容赦なく敵とみなし攻撃しかねない。


そんなクリスお兄様だけど、私は大好きなお兄様なのだ。

グレイ様大丈夫かなぁ。。



―――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――



「さて、グレイセド今日のことを詳細に話してもらおうか。」


椅子に座って足を組んで目の前のソファーに座っているグレイセドを鋭い目付きで見ている。


「お前………相変わらずリィが絡むと怖いな。」


「大切だからな。リィを傷つけた者は叩きのめす。」


「リィにぶつかってきたの者は例の者だ。護衛騎士に聞いたが、女の子が走って来て通りすがると思っていたら急にリィを目掛けて突進したそうだ。リィが振り向く前に護衛騎士が例の者を囲ったから問題ない。」


「リィが前に言っていた話からするとグレイセドとの出会いだったのかもしれないな。その図太さからするとまたリィかお前に接触してくるだろうな。」


「ああ、リィに近づけないようにしないとな。それから、俺の側近候補にはクリスお前も入ってるからくれぐれも気をつけろよ。」


「はっ。リィに危害を加える女に心許さないよ。女じゃなければ容赦しないんだがな。グレイセドお前の性格は知っているが、前も言ったように万が一リィを悲しませることをしたら許さないぞ。その時は覚悟するんだな。」


「安心しろ、リィを裏切るようなことはない。……………昔から見た目と中身が違いすぎて恐ろしいよお前は。」


「それはお前もだろ。」


本当、恐ろしいやつだよ。

くすりと笑いながら、冷酷な目をしてゾッとするようなおぞましいオーラを醸し出している。


こんなクリスをリィは知らない。

リィは一生見ることはないだろう……クリスは小さな頃から知っている幼馴染みだがこいつほど敵にまわしたくないと思った者はいない。

俺も唯一信用できる相手だからこそリィを守るため極秘に話をしていた。


「お前の側近候補者が狙われるみたいだが、第一騎士隊長の令息のホルソン・サムウィルと俺と今グレイセドの側にいるあいつに間違いないか?」


「ああ、その三名だな。もし側近候補者以外も狙われてるとなるとあと数名はいるな。それに、クリスとサムウィルは問題ないな。」


「俺は別にしても何故サムウィルは………………………リィに惚れてるのか?」


グレイセドの顔を見ながらクリスは悟ったように言った。


「俺が知ってる限りだと一目惚れかもな。数年のうちにどうなるかと思ったが今日もリィを助けたらしい。あの様子だとリィ以外眼中にないだろう。クラスが一緒で頼りにしてる反面………個人的には積極的になられると困るんだがな。」


「ふーん、なるほどな。まぁ、お前がリィを繋ぎ止められるかはお前次第だな。」


「…………クリス、わかるか俺の気持ちが。あの純粋な目で見つめられると可愛いんだ。」


「グレイセド………相当リィにやられてるな。」


今のくすくすと笑うクリスの顔は、陽気な本当に楽しいときの笑顔だ。


「俺はリィ以外は興味がない。」


「だからってリィの嫌がることはするなよ。帰ってきてからリィを見るお前の顔緩んでヤバイぞ。」


「………お前には頭があがらないよ。」


「これからもリィを守れよ。頼りにしてるよグレイセド。」


こくりと頷く。

俺もお前が友達だと何があっても安心だろうと思えるくらい信頼してるよ。

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