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19.学園入学

とうとうこの日が来た。

これから小説のようなヒロインとイベントとかあるんだろうなぁ。。

最初は出会いのイベントだろうけどどんなのなんだろう………記憶になくてわからないって回避したくても出来ないから悔しい。

攻略対象の側近候補達はもうグレイ様の周りにいるんだろうな。

入学は楽しみと不安でいっぱいだ!

もし…………………………考えたくない……考えたくはないけど、グレイ様がヒロインに恋に落ちるようなことがあっても嫌がらせはしないようにしよう。断罪は回避したい!

うぉぉぉぉ!リーゼ!心を広く持て!繰り返し自分に暗示をかけないと……押し潰されそうだ。


「入学おめでとう。制服もとっても似合ってるよ。」


「懐かしいわ~。私もその制服だったのよ。リィは私にそっくりね。ふふふ。」


「学園で何かあればすぐに教えるんだよ。俺が対応してあげるからね。(特にグレイセド皇太子な)」


「ありがとうございます。ふふふ。」


ダークなオーラが出てます、セディオお兄様!!

一体どんな対応をされるつもりですか!

セディオお兄様は学園を卒業して宰相のお父様の元で学んでる最中だ。いずれグレイ様が国王陛下になったとき今のお父様のように支えになってくれる存在になるだろうな。


「それと、クリスが学園でリィを待ってるよ。」


なんですって?!

当日の行く直前に言いますか!!

……何事もないといいんだけど。。


これから毎日グレイ様が迎えに来てくれて学園へ行くことになっている。


「おはよう。リィ入学おめでとう。」


「ありがとうございます。グレイ様、おはようございます。今日から学園でもよろしくお願いしますね。」


「うん、よろしく。ウォレット宰相、ウォレット婦人、セディオ殿ではまた。リィ行こう。」


エスコートをしてくれて馬車に乗り込むと手を握ったままグレイ様の隣にちょこんと座る。


「ふふ。グレイ様と同じ制服で並んで学園に行けて幸せです。」


「朝から可愛いこと言うねリィは。」


握ってる手を持ち上げちゅっとキスをした後、頬にもちゅっとキスをしてくれた。

なんだろうな。。なんだろうな。。

何度もしてきたけれど、とっても嬉しいけれど、慣れなーい。

ドキドキが朝から止まりません。

だってキスをした後、グレイ様私を見つめる瞳がとろけるように甘いんだもん。

そんな目で見つめられると朝からくらくらしちゃいます!


んーーーー!なになに?

何で見つめられてるの?なかなか逸らしてくれない。

あっ、私からしてないから?

すみません、ドキドキ止まらずいっぱいいっぱいでした。

私も頬にちゅっとキスをすると満足そうに微笑むグレイ様。


破壊力半端ないです!

やめてください、朝です!!私がどうにかなっちゃいそうですからーーーーーーーー!


ん?あわわわわ!

ハンカチハンカチ!


「グレイ様、すみません。キスしたら頬に私の唇の色がついちゃってます。」


慌ててグレイ様の頬をそっと拭いてると、


「とらなくてもいいのに……。」


ボソッと言ってますが聞こえてますからね。

何を言ってるんですかー!!

つけてると朝から何してたんだー!と噂になっちゃいます。

そんな噂をたてられたら大変だ!!


「朝いつもの頬にキスはやめた方がいいですかね……。」


「駄目だ!」


頬を拭いている私の手を掴んで真剣な顔で私を見て言うからビックリしたけど、そこまで重視してくれてるのかと嬉しくなる。

正直、私もしたい!だって触れるチャンスだよ!

朝からグレイ様に触って安心したい!

自分の変態なところは隠して、気持ちを素直に伝えよう。


「ふふふ、わかりました。明日からは唇にはつけてきません。……私も朝からしたいです。」


「…………リィは可愛くて困る。」


そう呟いたグレイ様の顔は嬉しそうだった。


―――――――――――――

―――――


「着いたよ。リィ行こう。」


「はい………。」


泣いても笑っても今から小説と同じならヒロインとの出会いが始まる。

私も素直でいよう!

いじめないよー!怖くないよー!嫉妬したりで優しくは………出来ないかもしれないけど、元々恐ろしくて関わりたくありません!


馬車からグレイ様のエスコートで下りると大勢の人から一斉に注目が集まったように感じる。

確かに皇太子であるグレイ様にエスコートされるのは目立つよね。


だけどだけど、今まで引きこもってた私には怖いのですー!

めっちゃ見られてる………あの婚約発表のとき以来こんな視線浴びてないから怖いです。。

手をぎゅっと握ってると、大丈夫だよっと言うようにグレイ様が私に微笑んでくれる。


グレイ様を見てるとドンッと背中に衝撃があって、よろめいたときに足元でグキッと鈍い音がした………。

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